野菜でも食べ過ぎはよくないの?どのくらいが適量?野菜のメリットと食べ方の注意点【管理栄養士監修】
野菜は体に良いイメージがありますよね。「野菜をしっかり摂りましょう」とよく聞きますが、食べ過ぎの心配はあるのでしょうか。また、「しっかり」とは具体的にどのくらいかも気になりますよね。食べ過ぎのリスクと適量の目安について、お伝えします。
野菜の食べ過ぎのリスク
「野菜をたくさん食べましょう」と言われることから、健康に悪いイメージはないですよね。そんな野菜でも食べ過ぎのリスクはあるのでしょうか。
糖質の多い野菜への偏りは太るかも
基本的に水分が多くカロリーの少ない野菜が多いですが、例外もあります。
たとえば糖質が豊富に含まれている野菜。代表的なものとしてはかぼちゃが挙げられます。糖質はエネルギー源となる大切な栄養素ですが、野菜以外からの摂取が多いものです。摂取する野菜がかぼちゃなど甘い野菜に偏ると全体的な食事のバランスも糖質に偏り、たんぱく質や脂質とのバランスが気になります。
このほか、野菜の中では珍しく脂質の多いアボカド(果実的野菜)もあります。見た目からはイメージしにくいですが、含まれる三大栄養素のうち脂質が6割なので、他の野菜と同じように考えていると脂質やカロリーの摂り過ぎにつながるかもしれません。
糖質や脂質の多い野菜ばかりの食べ過ぎには気を付け、毎日同じ野菜を食べるのではなく、色々な種類の野菜を食べることを意識できるとよいですね。
エネルギーが不足する可能性
ほとんどの野菜にはエネルギー(カロリー)が豊富には含まれていません。そのため、野菜でばかりを食べて、肉・魚、卵、大豆製品などのたんぱく質やご飯、パンなどエネルギー源となる食品を十分に食べられないと、エネルギー不足となってしまいます。
野菜だけに偏らず、主食、主菜、副菜のバランスを考えてさまざまな食品を食べることが大切です。野菜のみでお腹がいっぱいになってしまわないように、バランスの良い食事を心がけましょう。
種類によっては胃腸症状が気になる場合も
野菜とひとくくりにいってもさまざまですが、種類によっては食べ過ぎると胃腸の調子に影響する場合があります。たとえばたけのこやキャベツ、玉ねぎといった野菜は、大量に食べてしまうと腹痛や下痢、便秘などの症状が引きおこる可能性も考えられるので、量には注意しましょう。
おもな野菜などの食べ過ぎはこちら
<野菜など>
▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
野菜を食べると何が良いの?
特定の種類に偏って食べるのはよくありませんが、基本的に野菜は不足させたくない食べ物です。体にはどのような効果があるのでしょうか。
食物繊維|腸内環境を整える
腸内には多くの細菌が生息しており、大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌があります。理想的な腸内環境のバランスを作るためには善玉菌を増やすことが必要ですが、そのために欠かせないものの1つが食物繊維です。
野菜は食物繊維の主な摂取源としての役割があります。日頃から野菜を食べることで食物繊維をしっかり摂取できれば、腸内環境を良い状態に維持でき、下痢や便秘といった不調の改善にもつながります。
ビタミン類|体の調子を整える
野菜にはさまざまなビタミンが含まれています。ビタミンにはビタミンA、B群、C、D、E、Kなどがあり、それぞれが体内で生命活動を助ける役割を担っています。簡単にいうと全身の調子を整える働きがあるのですね。
ただし、ビタミンの働きはそれぞれで異なるため、特定のビタミンだけを摂れば良いということではありません。野菜によって含まれているビタミンもさまざまなので、不足するものが出ないように摂取するためには、特定の野菜だけではなく多様な野菜を食べることが大切です。
生野菜で摂れるカリウム|血圧を下げる作用
多くの野菜には、ミネラルの1つであるカリウムが豊富に含まれています。カリウムは余分なナトリウム(塩分)を体外へ排泄する手助けをし、血圧を下げる働きがあります[*1]。血圧の気になる方は生野菜をしっかり食べることで高血圧を予防すると良いですね。
カリウムは茹でこぼすと減ってしまうので、なるべく生野菜で摂取できるといいのですが、ドレッシングが塩分の摂り過ぎにつながる可能性もあります。塩梅が難しいところですが、血圧安定のために生野菜を摂る場合には、味付けの塩分量に気を付けましょう。
また、腎臓に疾患のある方はカリウムを体外へ排泄することが十分にできないため、摂り過ぎには気を付ける必要があります。主治医へ相談し、指示に従って野菜を食べるようにしましょう。
野菜の適量はどのくらい?
糖質や脂質の高い一部の野菜は食べ過ぎに注意が必要ですが、基本的に野菜はしっかり摂ることが望ましい食品です。といっても、摂り過ぎているのか不足しているのか、適量の目安がないとわからないですよね。どのくらいなのか見ていきましょう。
適量の目安|1日350g以上
野菜の摂取量は1日当たり350g以上を目安にするとよいでしょう[*2]。350gがどのくらいかというと、ほうれんそうのお浸しなどの小鉢で5~6皿分程度になります[*3]。1食当たりでは1~2皿程度の小鉢を目安にするとよいでしょう。
わかりやすい摂り方だと、お浸しのような小鉢を1食に2つ用意する習慣をつけてもよいですし、小鉢1つと具沢山の味噌汁で2つ分にしてもよいですね。特定の野菜のみにならないよう、いろんな野菜を楽しみながら食べましょう。
野菜の摂り方のポイント
野菜の摂り方として、生野菜のサラダがまず思い浮かぶ方も多いでしょう。生野菜はビタミンなどがしっかり摂れるのでよいですが、量を摂るためには加熱するのもおすすめです。野菜に火を通すことでかさが減り、生の状態よりもたくさん食べることができます。
おすすめなのは味噌汁を野菜で具沢山にすること。具が増えることで汁の部分が少なくなるので、塩分を抑えることにもつながりますね。
生で食べるときのポイントとしては、ドレッシングをかけ過ぎて塩分が過剰にならないように注意しましょう。生で食べるのも加熱して食べるのも、それぞれにメリットがあるので、うまく組み合わせていくのがおすすめですよ。
子どもは野菜をどのくらい食べるといいの?
子どもにとってもビタミンやミネラルの豊富な野菜を食べることはとっても大切です。子どもは1日にどのくらい食べるとよいのでしょうか。
子どもの場合の目安量|1日小鉢3つくらい
大人同様、子どもにとっても野菜はしっかり摂る必要があります。ただし、野菜を摂り過ぎてご飯などほかの食品が食べられないと、エネルギーが不足してしまいます。目安としては1日あたり小鉢3つ程度です。3食で偏らないよう、毎食小鉢1つ(70g)ずつ摂れると理想的でしょう[*4]。
いろいろな野菜にチャレンジできるとよいですが、苦手な野菜をあまり無理に食べさせなくても大丈夫です。味付けを変えてチャレンジしてみたりし、苦手な野菜を少しずつ減らしていければうれしいですね。
離乳食の野菜はいつから?
離乳食は生後5、6ヶ月頃から野菜を取り入れてみてください。硬さとしては、ポタージュ状からスタートすると食べやすいでしょう。はじめはにんじんやかぼちゃなど、すりつぶしやすくて甘みのある野菜からチャレンジするのがおすすめです。慣れてきたら少しずつ野菜の種類を増やしていきましょう。
まとめ
ビタミンやミネラルが豊富な野菜は毎日しっかり摂ることが大切ですが、あくまでもバランスの良い食事を意識することが重要です。ご飯やパンなどの穀類や肉、魚なども同じように大切なので、野菜だけでも大丈夫とは考えないでくださいね。目安は1日350g程度です。不足しているようならしっかり取り入れていきましょう。
(文:山田奈都乃 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:e-ヘルスネット「野菜食べていますか?」
[*2]厚生労働省:健康日本21(第二次)
[*3]]農林水産省:食事バランスガイド
[*4]農林水産省:親子で一緒に使おう!食事バランスガイド
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます