キャベツの食べ過ぎのリスク|太る?下痢になる?注意点と1日の適量【管理栄養士監修】
煮ても焼いても炒めても、生でも食べられる万能食材のキャベツ。日本人がよく食べている野菜のひとつです。たくさん食べても低カロリーなイメージですが、食べ過ぎても太らないのか、体に影響はないのかなども気になるところ。今回は食べ過ぎのリスクや適量のほか、キャベツの栄養の効果などをまとめてお伝えします。
キャベツのカロリーはどのくらい?
野菜なので低カロリー(エネルギー)なイメージのあるキャベツですが、実際にカロリーは低いのでしょうか? 確認してみましょう。
キャベツは低カロリー
9割以上が水分でできているキャベツは100gあたり21kcalと低カロリーな食材です。では、キャベツと同じ他の淡色野菜と比べるとどうでしょうか。レタスは11kcal、白菜は13kcaⅼなので、キャベツの方が少し高いですね。キャベツはレタスや白菜よりも少し糖質が多いので、カロリーにも差が出ていると考えられます。しかし、いずれにしてもカロリーが低いことには変わりありません。
食べすぎるとどうなるの?
キャベツは低カロリーだからたくさん食べても大丈夫、と思うかもしれませんね。しかし、キャベツばかり食べるとデメリットが生じる場合もあります。
食べ過ぎのリスク① 食べ方によっては太る
キャベツ自体はカロリーの低い食べ物ですが、生のキャベツや蒸したキャベツを、味を付けずにそのまま食べることはあまりありませんよね。
キャベツのサラダといえばコールスローなどが定番ですが、ドレッシングやマヨネーズは油脂を多く含むので、一緒に摂るとカロリーも高くなります。ダイエットのためにキャベツでお腹を満たそうとしてたくさん食べれば、使用するドレッシングやマヨネーズの量も増えるので、逆効果になる可能性も。
加熱して食べる場合も油を使用すればその分カロリーが高くなるので、食べ方によってはキャベツで太るということも考えられるでしょう。
ちなみに生のキャベツを茹でるとかさが減りますが、かさが減っているからといってカロリーが減っているわけではありません。
食べ過ぎのリスク② 腹痛や下痢・便秘
ダイエット目的などでキャベツだけを大量に食べた場合、キャベツに含まれる食物繊維の摂り過ぎによる影響が考えられます。
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維との2種類があり、生のキャベツには100gあたり水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維1.4gが含まれます。食物繊維は通常、下痢や便秘の改善に役立つ方向に働きますが、過剰に摂取すると腹痛や下痢、便秘になったり、おならが増えたりすることがあるので注意が必要です。
また、カルシウムや鉄などのミネラルの吸収が妨げられる可能性も。これは食品から摂取する食物繊維の量で起こるとは考えにくいですが、摂れば摂るだけ良いというものではないことは、知っておくとよいかもしれませんね。
アレルギーの可能性に注意
アブラナ科の植物にアレルギーがある場合、キャベツを食べたときにも交差反応によってアレルギー症状を起こす可能性があります。これはアレルギーの原因となる花粉中の抗原(アレルゲン)と似た成分がキャベツに含まれるために起こります。アブラナ科の植物でアレルギーが出る方は注意してください。
甲状腺機能の低下に影響する?
キャベツやブロッコリーといったアブラナ科の野菜をたくさん摂取すると甲状腺機能に影響するという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。アブラナ科の野菜に含まれるゴイトロゲンという物質が甲状腺ホルモンの合成を阻害する作用をもつためです。健康な人が通常の食事で摂取して甲状腺機能の低下が起こるといった報告はありませんが、甲状腺機能低下症の人は大量にキャベツを摂取するのは控えた方がよいでしょう。
キャベツは1日どのくらいがいいの?
キャベツばかりを食べ過ぎるのは気を付けたいですね。では、1日の目安として、どのくらいを適量と考えればいいのでしょうか?
適量の目安|1日小鉢2つ程度
キャベツをどれくらい食べてもよいかという基準はありませんが、通常の食事で食べる量であればおそらく安全だとされています。そのためここでは、野菜をバランスよく摂るという観点から考えてみましょう。
食事バランスガイドでは野菜1単位(SV)を70gとしており、これはだいたい小鉢1つ分という意味です[*2]。副菜として1日5~6単位の野菜を摂るのが目安ですが、バランスを考えるとキャベツはこのうち2単位(140g)くらいが適量ではないでしょうか。キャベツ以外の淡色野菜や緑黄色野菜もしっかり摂取し、栄養の偏りがないようにすることが大切です。
食材によって栄養素や量は異なるため、キャベツばかり食べていると体に必要な栄養を十分に摂れないことが考えられます。ひとつのものばかり食べるのではなく、いろんな食材をバランス良く食べることを心がけましょう。
その他の野菜などの食べ過ぎはこちら
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
キャベツに含まれる栄養のポイント
1年中手に入りやすく、味にくせのないキャベツはどんな料理にも使いやすい万能野菜なので、適量の範囲で上手に取り入れたいですね。キャベツの栄養についても見ていきましょう。
ビタミンC|美肌効果が期待できる
キャベツはコラーゲンの生成に欠かせないビタミンCが豊富です。皮膚や粘膜を健康に保ってくれるので美肌効果が期待できます。また、ビタミンCは鉄の吸収をよくする作用もあるため、アサリやレバー、大豆、枝豆、きくらげなどの鉄分の多い食品と組み合わせると効果的です。
ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いので、キャベツのビタミンCをなるべく摂取するならば、生で食べるのがよいでしょう。加熱する場合は短時間にするのがおすすめです。
ビタミンU|胃の健康を支える
キャベツに特徴的な栄養成分の1つにビタミンU(※)があります。キャベツから発見されたため「キャベジン」という別名をもちますが、胃薬の名前として聞き覚えのある方も多いでしょう。胃酸の分泌を抑えて粘膜の修復を助け、胃炎や胃潰瘍の治療や予防に役立つとされます。
キャベツには止血作用のあるビタミンKも含まれるので、ビタミンUと合わせて胃の健康に役立つことが期待できるしょう。
(※)ビタミンといっても正式にはビタミンと似た作用をする「ビタミン様物質」に分類されます[*1]
食物繊維|整腸作用がある
食物繊維は過剰に摂取しなれば便通の改善などに効果的に働きます。お伝えしたとおり、キャベツには水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれます。
不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸の動きをよくし、排便をスムーズにする働きがあります。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やしたり、急激な血糖値上昇を防ぐといった働きがあります。
日本人の1日の食物繊維の摂取目標量は成人男性で21g以上、成人女性で18g以上ですが[*3]、ほとんどの年代で不足しており、特に20代の女性での不足が多いです[*4]。キャベツのような常備野菜は手軽に食物繊維を摂れるメリットがありますね。もちろん、キャベツだけでなく他の野菜や穀類などからも十分に摂るようにしましょう。
芽キャベツもおすすめ
キャベツの仲間である芽キャベツもおすすめです。キャベツと比較するとビタミンCは約4倍、ビタミンKは約2倍、葉酸と食物繊維は約3倍、β-カロテンは約14倍と、多くの栄養素が含まれています[*1]。
シチューやスープ、味噌汁などの具にしたり、ごま酢和えにしたり、ベーコンなどと一緒に炒め物にしたりといろんなな使い方ができ、おいしく栄養を摂取できます。見かけたときには手に取ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
キャベツは低カロリーでビタミンなどの効果も期待できるのでダイエット目的で食べることがあるかもしれませんが、キャベツだけを大量に食べるとよくないことも。キャベツの栄養を生かすためにも適量の範囲で食べるようにし、他の食品と組み合わせておいしく味わっていきましょう。
(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]農林水産省:食事バランスガイドについて
[*3]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版
[*4]令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます