しいたけの食べ過ぎのリスクは?プリン体は大丈夫?適量の目安を解説【管理栄養士監修】
椎茸(しいたけ)には独特の風味があり、料理のアクセントや出汁としても使える食材です。一般にきのこは健康効果のある成分を含むイメージもありますが、しいたけはどうなのでしょうか。食べ過ぎによるリスクはあるのでしょうか。適量とあわせて見ていきましょう。
しいたけを食べ過ぎたらどうなるの?
きのこの中でもうま味が強く、出汁としても活用できるしいたけ。体に良さそうなイメージですが、食べ過ぎたらどのようなリスクがあるのか、見ていきましょう。
便秘
しいたけには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、しいたけなどのきのこ類には不溶性食物繊維が豊富です。生しいたけには、100gあたり水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維4.1gが含まれています[*1]。
水に溶けにくい不溶性食物繊維は過剰に摂取すると便を硬くし、便秘や腹痛を招く恐れがあるので注意が必要です。水に溶けやすく、便を柔らかくする作用のある水溶性食物繊維も併せて摂取することが、食物繊維のメリットを得るには大切になります。
水溶性食物繊維の多い食品としては、海藻類や果物、大麦やオーツ麦などの穀類がありますよ。
プリン体の摂り過ぎ|干ししいたけの場合
干ししいたけにはプリン体が多く含まれています[*2]。
プリン体は肝臓で代謝され、尿酸となって体外へ排泄されますが、多すぎると血液中にたまってしまいます(高尿酸血症)。その状態が続くと結晶化した尿酸が関節などに沈着し、痛風を引き起こす可能性があります[*3]。
高尿酸血症を予防するためには、プリン体の多い食品に偏った食事をしないようにすることが大切です。干ししいたけの食べ過ぎには注意しましょう。ビールやレバー、魚介類にもプリン体は多く含まれているので、トータルで摂り過ぎないようにしたいですね。
なお、生しいたけの場合、プリン体は少ないため、心配する必要はありません。
プリン体は水に溶けやすく、水で戻すことで干ししいたけのプリン体はある程度戻し汁に移行するため[*4]、戻し汁を控えるのもプリン体の摂り過ぎを防ぐ方法の1つです。
低血糖になる?
ちなみに、しいたけの食べ過ぎで低血糖を引き起こすという話を見聞きしたことがある人もいるかもしれませんが、しいたけに含まれる成分が関係して低血糖の症状が起こるとは言えないでしょう。
アレルギー症状にも注意
しいたけは食物アレルギーの特定品目ではありませんが、食べた後にかゆみが生じたケースなどが報告されています。
しいたけ皮膚炎
しいたけを摂取することで皮膚にかゆみや発疹を生じる「しいたけ皮膚炎」が引き起こる可能性があります。もし、しいたけを食べて皮膚炎の症状が出たら、皮膚科を受診しましょう。
しいたけ皮膚炎を発症する原因はわかっていませんが、加熱が不十分なしいたけを食べたり、干ししいたけをそのまま食べたりしたあとに発症しているケースもあるため、しっかり加熱して食べることが予防策の1つです。
しいたけの適量はどのくらい?
しいたけをうまく食事に取り入れる場合、どのくらいが適量となるのか、見ていきましょう。
適量の目安|1日4~5枚程度(100g)まで
しいたけは1日あたり4~5枚程度(約100g)を目安にするとよいでしょう。
野菜は1日に350g以上、このうち緑黄色野菜を120g以上摂ることが目標とされています[*5]。しいたけなどのきのこ類も野菜の一種として考えましょう。緑黄色野菜や淡色野菜も一緒に摂ることを考え、しいたけは100gくらいまでが望ましいといえます。
種類によって含まれている栄養素が異なるので、さまざまな野菜を摂ることが大切です。しいたけばかりではなく、食事のバランスを考えてたくさんの種類の野菜を摂るようにできるとよいですよ。
しいたけに含まれる栄養素
しいたけの食べ過ぎのリスクについて確認しましたが、しいたけは栄養が豊富なため、適量のなかで取り入れたい食材でもあります。しいたけにはどのような栄養と効果があるのか、解説します。
便通を整える食物繊維
食物繊維は不溶性ばかり摂ってしまうと便秘のリスクを高めてしまいますが、バランスよく摂取できれば、不溶性食物繊維の持つ特性を便秘の改善に生かせるでしょう。不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸を刺激するため、腸の運動を活発にして便通を整える効果が期待できるのです。
便秘でお悩みの方は不溶性食物繊維の豊富なしいたけとともに、水溶性食物繊維を含む果物なども食事に食べるとよいでしょう。
骨の健康を支えるビタミンD
しいたけにはビタミンDが含まれています。
●生しいたけをゆでたもの…0.5μg(100gあたり)
●干ししいたけをゆでたもの…1.4μg(100gあたり)[*1]
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、強い骨を維持するために役立ちます。よりビタミンDを摂取したい場合は、干ししいたけを選ぶといいかもしれませんね。
なお、ビタミンDは体内でもつくることができ、日光に当たると皮膚で合成されるので、適度に日光に当たることも有効です。
ビタミンDを効率よく摂取する食べ方
ビタミンDは脂溶性なので、脂質と一緒に摂ることで効率よく吸収することができます。肉、魚、卵など動物性脂肪を含む食品と一緒に食べたり、炒め物や揚げ物など油を使う調理で食べるのがおすすめです。
コレステロールを下げるエリタデニン
しいたけにはエリタデニンという成分が含まれています。エリタデニンはしいたけ特有の成分であり、血中のコレステロール値を低下させる働きがあります[*6]。ただし、しいたけを食べたからといってコレステロール値が実際に下がるかはわかりません。
コレステロール値が気になっている場合、しいたけを食事に取り入れてもいいかもしれませんが、効果を期待しすぎず、楽しく食事をすることを忘れないようにしましょう。
子供はしいたけを食べてもよい?
しいたけは子供にとっても大切な栄養素がたっぷり含まれているので、しっかり摂りたい食品です。子供はどのくらい食べてもよいのか、離乳食ではいつから食べても大丈夫なのかを最後に見ていきましょう。
子供は1日2~3枚が目安
カルシウムの吸収を助けるビタミンDの豊富なしいたけは、丈夫な骨を作るために、子供もしっかり摂りたい食品ですね。1日あたり2~3枚程度を目安にするとよいですよ。なお、健やかな成長のためには、いろいろな食品を取り入れてバランスの良い食事をこころがけましょう。
離乳食期の赤ちゃんには難しい
しいたけの出汁を使う場合は大丈夫ですが、しいたけそのものは弾力があって赤ちゃんには噛み切りにくく、消化もしにくいため、あまり離乳食にはふさわしいとは言えません。風味がよいので味付けの代わりになりますが、使う場合は必ず細かく刻んでから与えましょう。ただし、消化されずにそのまま便として出てくることも少なくありません。
まとめ
しいたけを食べ過ぎると便秘を招く恐れもあるため、量には注意しましょう。また、干ししいたけにはプリン体が多いので、特に尿酸値が気になる人は食べ過ぎないようにしたいですね。食物繊維やカルシウムの吸収を助けるビタミンDなど、体にとって必要な栄養素も含まれるので、適量を取り入れてくださいね。1つの食品ばかり摂るのでなく、バランスのよい食事を心がけていきましょう。
(文:山田奈都乃 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]痛風・尿酸財団:食品・飲料中のプリン体含有量
[*3]厚生労働省:e-ヘルスネット「プリン体」
[*4]金子希代子:食品に含まれるプ リン体について-血清尿酸値に影響を与える食品と食品中のプリン体含量,痛風と核酸代謝,第31巻,第2号(平成19年)
[*5]厚生労働省:健康日本21
[*6]豊増哲郎ら:エリタデニン高含有シイタケの開発とその脂質代謝に及ぼす影響,日本応用きのこ学会誌 Vol.11, No.4 (2003)
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます