きのこの食べ過ぎのリスクは?健康効果は?気になるきのこの栄養【管理栄養士監修】
食感や風味を楽しめるきのこ。おいしいだけでなく、健康への効果も言われているので、たくさん食べると体に良さそうですよね。しかし、どのくらい食べていいのか、食べ過ぎのリスクも気になるもの。きのこにどんな栄養があるのか、食べ過ぎるとどんな影響が考えられるのか、お伝えします。
きのこの食べ過ぎのリスクは?
健康によいイメージのあるきのこですが、食べ過ぎのリスクはあるのでしょうか?
(※本記事は市販されているきのこを対象とします。なお、野生のきのこを採取して、誤って毒のある種類を食べてしまうと、食中毒を起こし危険です。くれぐれも注意しましょう。)
エネルギー不足・栄養の偏り
種類による多少の違いはありますが、きのこは100gあたり、だいたい20~30kcalであり、総じて低カロリーな食材です。そのため、きのこをたくさん食べて太るという心配はないでしょう。
その反対に、食事の内容がきのこに偏ってしまうと1日に必要なカロリーが摂れず、体がエネルギー不足に陥る可能性があります。また、摂取できる栄養素も限られることになり、不足する栄養素も出てきてしまうでしょう。「低カロリーだからダイエットになる」と考えてきのこばかりを食べるのは、健康を害する恐れがあるため、おすすめできません。
便秘になりやすくなる
きのこ類には食物繊維が多く含まれています。便通のためにたくさんきのこを食べようと考える人もいるかもしれませんが、食物繊維を特定の食品に偏って摂ることは避けた方がよいでしょう。
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、きのこは不溶性食物繊維の割合が多い傾向があります。不溶性食物繊維は便のかさを増す方向に働くため、不溶性食物繊維ばかり摂ってしまうと便が硬くなり、便秘になりやすくなる恐れも。食物繊維は水溶性と不溶性をバランスをよくするために、さまざまな食品から摂ることが大切です。
プリン体の摂り過ぎ|干ししいたけに多い
干ししいたけにはプリン体が多く含まれています[*2]。プリン体の摂り過ぎは高尿酸血症や通風のリスクを高めると考えられます。予防のためにプリン体の摂取量を少なくしたい場合は、干ししいたけを食べ過ぎないようにするとよいでしょう。また、プリン体は水に溶けやすいため、干ししいたけの戻し汁を使わずに捨てるなどの工夫を行うのも1つです。
きのこに含まれる栄養素のポイント
きのこばかりに偏るのは健康のためによくありませんが、きのこに栄養がないということではありません。きのこに含まれる栄養素について解説します。
食物繊維|なめこがおすすめ
きのこ類は食物繊維が豊富ですが、お伝えしたとおり、不溶性食物繊維の割合が多い傾向にあります。便通を整えるにはいろいろな食品から食物繊維を摂れるようにすることが基本ですが、不溶性食物繊維と比べて水溶性食物繊維の豊富な食品は少なく、摂りにくいかもしれません。
そのようなときにおすすめしたいのが、なめこです。なめこには他のきのこの2倍ほどの水溶性食物繊維が含まれています。
<100gあたりの食物繊維量>[*1]
えのきだけ 水溶性:0.4g 不溶性:3.5g
しいたけ 水溶性:0.4g 不溶性:4.1g
エリンギ 水溶性:0.2g 不溶性:3.2g
なめこ 水溶性:1.0g 不溶性:2.4g
ビタミンD|舞茸がおすすめ
ビタミンDはカルシウムの吸収や利用に欠かせないことから、骨をつくるうえで大切なビタミンです。きのこはビタミンDを含む代表的な食品です。また、天日干しにすることでビタミンDが増えるのも特徴です。これは、紫外線を浴びることで、きのこに含まれるエルゴステロールという成分がビタミンDに変化するためです[*3]。
干ししいたけに多いイメージのビタミンDですが、実は舞茸が非常に豊富です。
<100gあたりのビタミンD量>[*1]
しいたけ(ゆで) 0.5μg
干ししいたけ(ゆで) 1.4μg
エリンギ(ゆで) 2.6μg
舞茸(ゆで) 5.9μg
強い骨を維持しようと思ったら、カルシウムを含む食品とともに、舞茸やエリンギなどのきのこも取り入れるとよいでしょう。
ちなみにビタミンDは食品からも摂取できますが、日光に当たることで体内で合成することもできます。
きのこの適量はどのくらい?
きのこ類はそれぞれに栄養の特性がありますが、1日にどのくらい食べたらいいのでしょうか?
適量の目安|1日約100gまで
きのこの1日の目安量は特に決まりはありませんが、100gまでを目安にするといいでしょう。
<きのこ類の100gの目安*>
しいたけ 約4~5枚
エリンギ 約2本
えのき 約1/2株
しめじ 約1パック
(*大きさなどによって異なります)
野菜は1日に350g以上摂ることが目標とされています[*4]。きのこ類も野菜の一種と考えてよいですが、きのこ類だけで350gを摂ってしまうと、ビタミンやミネラルが十分に補えません。緑黄色野菜や淡色野菜も摂ることが望ましいため、きのこ類は100gくらいがいいでしょう。食事のバランスを考えて、さまざまな食品を摂ることを心がけてくださいね。
乳幼児は少量でOK
まだ乳幼児は咀嚼機能が十分ではないので、弾力のあるきのこ類はなかなか噛み切ることができず、苦手な子も多いです。無理に量を食べさせる必要はありません。風味やうま味をプラスする目的で、小さく切ったものを少量取り入れれば大丈夫です。乳幼児期はきのこ類を何gを摂ろうと目標設定しなくてもいいでしょう。
まとめ
きのこは低カロリーなので食べ過ぎると他の食品が食べられず、必要なカロリーや栄養素が不足する恐れがあります。一方でビタミンDなど、きのこに特徴的な栄養素もあるので、適度に取り入れるのがよいでしょう。骨の健康を意識するなら舞茸を使ってみたり、便通が気になるならなめこを使ってみたりしてもよいですね。きのこだけでなく、肉や魚などのたんぱく質、緑黄色野菜なども組み合わせて、バランスの良い食事にしていきましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]痛風・尿酸財団:食品・飲料中のプリン体含有量
[*3]池田裕一:培地組成および栽培環境がアラゲキクラゲ Auricularia polytrichaのビタミンD含有量に及ぼす影響,新潟県森林研究所研究報告 No.57 (2017)
[*4]厚生労働省:健康日本21
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます