かぼちゃの食べ過ぎの影響は?糖質の摂り過ぎになる?1日の適量を解説【管理栄養士監修】
緑黄色野菜であるかぼちゃは積極的に摂りたい野菜です。甘みがあって美味しいので、好きな人も多いでしょう。たくさん食べてしまうこともあるかもしれませんが、どんな食べ物でも、それだけに偏って食べると心配なことがあります。かぼちゃに含まれる栄養素や食べ過ぎによるデメリットについて、管理栄養士が解説します。
かぼちゃに含まれる栄養素とメリット
かぼちゃは和食にも洋食にも合う便利な野菜ですよね。西洋かぼちゃと日本かぼちゃがありますが、私たちが普段目にしているのは西洋かぼちゃが多いでしょう。西洋かぼちゃには、どのような栄養素が含まれるのでしょうか?
β-カロテン|緑黄色野菜の中でも多い
かぼちゃの栄養の特徴の1つがβ-カロテンの豊富なことです。β-カロテンは体内で必要に応じ、目や皮膚の健康などに重要なはたらきをもつビタミンAに変換されるという特性があります。また、ビタミンAとしての作用以外にも、抗酸化作用や免疫機能を活発化させる作用もあると言われています[*1]。
したがって日頃からぜひ摂取したいβ-カロテンですが、かぼちゃはこのβ-カロテンが100gあたり3,900μgと、とても豊富です[*2]。100gあたりのβ-カロテンが600μg以上である野菜を緑黄色野菜と呼びますが、かぼちゃは代表的な緑黄色野菜といえますね。
ビタミンE|100gでしっかり補える
ビタミンEにはα-、β-、γ-、δ-トコフェロールなどの種類があります。このうち、体内ではたらくビタミンEの大部分がα-トコフェロールのため、ビタミンEの摂取基準はα-トコフェロールとして示されていますが、かぼちゃ100gには4.9mgのα-トコフェロールが含まれています[*2]。これは18~29歳の女性の1日の目安量とほぼ同じです[*1]。かぼちゃはビタミンEが豊富な野菜といえますね。
ビタミンEは通常の食事で欠乏しにくいですが、体内に侵入してくる細菌やウイルスに対抗するためなどにも必要となるので[*3]、日頃から摂れるといいでしょう。
食物繊維|水溶性と不溶性を含む
かぼちゃ100gには水溶性食物繊維が0.9g、不溶性食物繊維が2.6g含まれています[*2]。食物繊維は便通改善に役立つほか、腸内環境を整える作用による生活習慣病の予防が期待されます[*4]。水溶性と不溶性の両方をバランスよく摂ることがより効果的です。水溶性食物繊維は摂りにくい傾向がありますが、かぼちゃは不溶性だけでなく水溶性も0.9g含まれるので、よい摂取源となってくれるでしょう。
カロリー|野菜の中では多い
ゆでたかぼちゃ100gのカロリー(エネルギー)は80kcalです[*2]。野菜の多くはカロリーがとても少ないため、その中では多いといえます。ただし、穀類や肉類などほかの食品群と比べれば、それほどでもありません。ゆでたかぼちゃ100gは食べ応えがあることを考えると、100kcal以下というのは嬉しいですね。ちなみに、ゆでたかぼちゃ100gは煮物のサイズで3~4個に相当します。
かぼちゃを食べ過ぎたときのリスクとは?
かぼちゃは摂り過ぎに注意の必要な栄養素が少ないため、基本的にリスクはありません。普通に食べる分には全く問題ないでしょう。そのうえで頭に置いておくとよいことをお伝えします。
血糖値が気になる場合の注意
血糖値が高めで糖質の摂取量を気にしなければならない場合は、「緑黄色野菜だからたくさん食べるのが良い」と考えてかぼちゃを食べ過ぎてしまうと、思ったより糖質を摂ることになるかもしれません。
かぼちゃは他の野菜と比べると糖質が少し多めといえます。実際、ゆでキャベツは100gあたり1.9gですが、ゆでかぼちゃは17.4gです(※)[*2]。ご飯100gが38.1gであるのと比べれば少ないため、「かぼちゃを食べない」とする必要はありませんが、医師の指示に従いつつ、食べる頻度を減らすなどするとよいでしょう。
また、芋類も野菜のイメージがあるかもしれませんが、糖質の多い食べ物です。食事バランスを考えるときに、野菜と芋類は別に考え、さらにかぼちゃは芋類としてカウントすると、穀類以外からの糖質の摂取がどのくらいか、つかみやすいかもしれませんね。
腹痛や下痢などに注意
かぼちゃに限らず、どんな食べ物でも一度にたくさん食べ過ぎると腹痛になったり、下痢を引き起こしたりすることが考えられます。
また、お伝えしたとおり、かぼちゃは腸ではたらく食物繊維が豊富ですが、大量に摂取した場合には排便のリズムが乱れてしまうことも考えられます。便秘解消のためとして極端な量を食べることは避けるとよいでしょう。
ビタミンAの過剰は心配不要
ビタミンAは体に蓄積されやすいため、摂り過ぎてしまうと過剰症が起こります。しかし、かぼちゃに含まれるβ-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため[*1]、ビタミンAの摂り過ぎにつながる心配はありません。安心して摂取しましょう。
かぼちゃの1日の目安量は?
では、かぼちゃは1日にどのくらいの量が適切なのでしょうか?
1日100~120g程度が適量
野菜は生活習慣病予防の観点から1日に350g摂取することが推奨されており、その中でも緑黄色野菜は120g以上となるのがよいとされています[*5]。
かぼちゃはいろいろな調理方法で食べることができるので、緑黄色野菜の中でも摂りやすいでしょう。生のかぼちゃで1日100~120g程度を目安にしてみてください。4cm角ほどに切ったものなら3つくらいでしょう。
なお、1日分の野菜をかぼちゃだけで摂ろうとすると、他の野菜に含まれる栄養素が摂取できないため、栄養バランスの観点から望ましくありません。野菜の1つとして考えて、他の緑黄色野菜や淡色野菜も組み合わせていきましょう。
どんな料理にも合わせやすいかぼちゃはおすすめの野菜です。食欲がないときには、かぼちゃのポタージュなどにしてみると、食べやすいかもしれませんね。
その他の野菜などの食べ過ぎもチェック!
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
まとめ
かぼちゃは豊富なビタミンと糖質を一緒に摂れる貴重な食材です。また、調理の幅が広いのも嬉しいですね。健康維持のためには、毎日同じものを食べ続けたり1つの食材で栄養を摂るのではなく、いろいろな食材をバランスよく食べることが大切です。その選択肢の1つとして、かぼちゃも楽しみましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]厚生労働省:eJIM「ビタミンE」
[*4]厚生労働省:e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
[*5]厚生労働省:e-ヘルスネット「野菜、食べていますか?」
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます