トマトを食べ過ぎても大丈夫?気になる体への影響を解説!1日の目安量も【管理栄養士監修】
種類が豊富で最近ではカラフルなものも増えてきたトマト。生のままでも加熱してもおいしいトマトは使える料理も豊富ですよね。カロリーも低いのでときには食べ過ぎてしまうことがあるかもしれません。栄養が豊富でおいしいトマトですが食べ過ぎには注意したい点もいくつかあります。一緒に見ていきましょう。
トマトの栄養の3つのポイント
トマトは身近な食材なので、栄養がたくさん含まれていることは何となくご存じの方が多いかもしれませんね。具体的にどんな栄養が含まれているのか、詳しく解説します。
トマトの栄養① βカロテン|ビタミンAに変わる
トマト(赤色トマト)には100gあたり540μgのβカロテンが含まれています[*1]。
βカロテンは植物に含まれる色素成分であるカロテノイドの一種です。体内でビタミンAの働きをすることからプロビタミンAとも呼ばれます。老化や免疫機能の低下などを引き起こす活性酸素から身体を守る働き(抗酸化作用)のあることがわかっています[*2]。
また、ビタミンAそのものは過剰症の心配がありますが、βカロテンは必要に応じてビタミンAに変わるため、摂り過ぎてもビタミンAが過剰となる心配がありません。安心して摂取できる栄養素です。
βカロテンは油と一緒になると吸収率が上がるので、トマトを炒め物などにすると効率よく摂取できます。また、スライスしてオリーブオイルやチーズとあわせたカプレーゼはぜひ取り入れたい料理です。
トマトの栄養② リコピン|血圧改善の期待
トマトでリコピンをイメージする人は多いでしょう。リコピンもカロテノイドの一種で、トマトの赤い色のもとになっている成分です。
リコピンに特有の健康効果については現在、血圧を下げる効果があるとされている論文がいくつかありますが、まだはっきりしたことはわかっていません。ただし、βカロテン同様にカロテノイドの抗酸化作用が期待できるでしょう[*2]。
トマトの栄養③ ビタミンC|体の調整役
ビタミンCといえば果物のイメージですが、トマトにも含まれています。
ビタミンCは人の体内では作ることができないため、食品から摂取する必要がある栄養素です。コラーゲンの生成のために必須であり皮膚や粘膜の健康維持に役立つほか、鉄の吸収をよくすることも知られています。
ただしビタミンCは熱に弱く加熱調理では分解されやすいので、ビタミンCを摂取するなら、トマトは生で食べた方がよいでしょう。カプレーゼもおすすめですし、付け合わせとしてちょっとミニトマトを添えるのも簡単でいいですね。
トマトのメリット|野菜の摂取量を増やしやすい
厚生労働省では生活習慣病などを予防し健康に過ごしていくために、成人の1日の野菜摂取目標量を350g以上としています[*3]。毎日野菜を350g摂るのは大変ですが、トマトは生のままいろんな料理に添えて食べることができるというメリットがあります。ミニトマトも取り入れやすいでしょう。
普段の食事にちょっとトマトやミニトマトを足すだけでも野菜の摂取量は増えます。トマトの色で食卓が華やぐのもいいですね。
トマトの食べ過ぎのリスクは?
トマトにはご紹介したビタミン類だけでなく、カリウムやリンなどのミネラルも含むメリットの多い食品ですが、食べ過ぎたらどうなるのか気になる方もいるでしょう。基本的にあまり注意は必要ありませんが、「ちょっと注意できたらいいな」というポイントをお伝えします。
胃腸が冷える場合も
ビタミンCのためには生で食べたいトマトですが、冷蔵庫で冷やしたトマトを一度に大量に食べると胃腸が冷えて腹痛を起こしてしまうかもしれません。
βカロテンの摂り過ぎによる柑皮症
適量を摂取する分には問題ありませんが、βカロテンを大量に摂取すると柑皮症(かんぴしょう)の原因になる場合があります。柑皮症の症状には皮膚が黄色く変色するなどがありますが、摂取を控えれば自然に回復します。
トマトの皮の消化不良
トマトは皮ごと食べることも多いと思いますが、皮は消化されにくく、そのまま便として排出されます。乳幼児や高齢者、胃腸の弱い人は皮をむくとよいでしょう。気にならなければそのままでもかまいません。
トマトの目安量|1日1個くらい
トマトの具体的な目安量はありませんが、1日の野菜の目安摂取量350g以上のうち、緑黄色野菜を120g以上とすることが推奨されています[*3]。カロテンを摂取できるトマトは緑黄色野菜に分類されるため、1日120gが1つの参考になるでしょう。中くらいのトマト1個、ミニトマトなら9個ほどです。
とはいえ、摂取する野菜がトマトばかりになるのはおすすめできません。他の野菜も取り入れて栄養のバランスをよくするのが大切です。
なお、医師から生野菜を控えるように言われている場合には医師に相談しましょう。
そのほか、トマトなど野菜類に含まれるシュウ酸はカルシウムの吸収を阻害したり[*4]、胆石や尿路結石症の原因になる場合があります[*5]。もっとも、これらは1日の食事をトマトだけにするなど大量に食べた場合の話です。一般的に食べる分には差し使えはありません。
その他の食品の食べ過ぎについてはこちら
<野菜など>
▶野菜 ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
妊娠中のトマトに関して注意点はある?
妊娠中には食べ方に気を付けたいものもありますが、トマトは通常の範囲で食べることにまったく問題がない食材です。ちょっとした注意点をお伝えします。
冷えたトマトの食べ過ぎ
冷やしたトマトは食べ過ぎないようにし、常温に戻したり加熱して食べるなどの工夫をしましょう。また、トマトにかけるドレッシングなどの味付けで気づかないうちに塩分や油分の摂り過ぎになる場合もあるので気を付けてくださいね。
ただし、つわりでトマトが食べやすいときにはあまり気にせず、食べられるものを食べることを優先しましょう。
トマトジュースは塩分無添加が安心
トマトジュースにもいろんな種類がありますが、塩分の摂り過ぎを避けるためにも食塩無添加のものがよいでしょう。食塩無添加のトマトジュースはスープやスムージーなど、料理にも使いやすいです。
まとめ
手軽に食べやすいトマトは毎日の食事に取り入れやすいですね。どんな食材も食べ過ぎには注意が必要ですが、適度に取り入れることで健康維持に役立ちます。生のままでも、加熱してもおいしく食べられるトマトを食卓に追加してみてはいかがですか。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:e-ヘルスネット「カロテノイド」
[*3]厚生労働省:健康日本21目標値一覧
[*4]公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット「カルシウムの働きと1日の摂取量」
[*5]Mindsガイドラインライブラリ 3 再発予防 CQ29 シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また,シュウ酸の摂取について工夫すべきことはあるか?
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます