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2022年07月27日 11:30 更新

えごまの葉は食べ過ぎても大丈夫?体への影響はあるの?栄養素の特徴や適量【管理栄養士監修】

えごまの葉は韓国料理でよく使われる食材であり、韓国料理のブームとともに日本でも生産されています。また、種の部分はえごま油の原料として使用されていますね。えごまにはどんな成分が含まれているのでしょうか? 食べ過ぎる心配になる成分はあるのでしょうか? 何か健康効果が期待できるのかという点も含めて解説します。

えごまの葉に含まれる栄養と効果は?

えごま

えごまはしその一種です。独特な香りがあるので韓国料理で肉と一緒に食べたり、キムチなどとあわせたりすることがあります。では、どんな栄養があるのでしょうか。

β-カロテンが豊富

えごまはしそと同様にβ-カロテンが豊富に含まれると考えられます[*1]。β-カロテンは抗酸化作用があるほか、ビタミンAとして働く特性もあり、β-カロテンが豊富な緑黄色野菜から積極的に摂ってきたい栄養素です。えごまやしそには、代表的な緑黄色野菜よりもβ-カロテンが多く含まれます。

●生100g中に含まれるβ-カロテン●
在来種えごま…13,700μg [*1]
しそ…11,000μg [*2]
韓国種えごま…7,900μg[*1]
にんじん…6,700μg [*2]
トマト…540μg[*2]

これだけみると、「えごまを食べていれば他の緑黄色野菜を頑張って摂らなくて大丈夫!」と思うかもしれませんね。ただし、えごま100gは約100枚に相当します(えごま1枚で約1g)。日常的にえごまをβ-カロテンの摂取源として考えるのは難しいでしょう。ちなみに、しそも同様です(しそは1枚で約0.7g)。

えごまを毎日、何十枚も食べようと考えるより、えごまがβ-カロテンの補給に役立つという程度にとらえて摂取するのがよいでしょう。えごま1枚はミニトマト1個分のβ-カロテンと同じくらいです。ほかの緑黄色野菜をしっかり摂りつつ、えごまも取り入れるといいですね。

Lazy dummy

ちなみに、えごまの葉は在来種(日本)なのか韓国種なのかで、栄養素の組成に違いが見られるようです[*1]。

えごまの葉にα-リノレン酸は含まれない

えごまの葉の栄養成分は日本食品標準成分表に収載されていませんが、脂質はとても少ないと考えてよいでしょう[*1]。同種であるしその葉にも、ほとんど脂質は含まれません[*2]。したがって、脂質の一種であるα-リノレン酸も、えごまの葉にはほとんど含まれません[*1]。ただし、あとで詳しくお伝えしますが、えごまの種子にはα-リノレン酸が豊富です。

ポリフェノールの1つ「ロズマリン酸」

ポリフェノールは何千もの種類があるといわれており、ほとんどの自然界の植物に含まれています。しそやえごまにはポリフェノールの中でもロズマリン酸(ロスマリン酸)が含まれるといわれています。

ロズマリン酸にはアレルギー予防効果があるともされますが、では、えごまを食べてその効果が期待できるかというと、明らかではありません。えごまにどの程度のロズマリン酸が含まれているか、その効果が得られるかどうかは未確定です。

ポリフェノールはさまざまな植物性食品に含まれており、えごまにも含まれていると知っておくのは、よいかもしれませんね。

えごまの葉を食べ過ぎたらどうなる?

えごま 韓国料理

えごまを食べ過ぎたらどうなるのでしょうか? 「食べ過ぎると危険なの?」と心配している人もいるかもしれません。

食べ過ぎても大丈夫

えごまは過剰摂取による健康障害のリスクがある栄養素が少ないため、食べ過ぎても健康に大きな問題が生じる可能性は低いでしょう。あまり心配する必要はありません。

極端な偏食に注意

食べ過ぎによる問題は、他の食品の摂取状況も関係して総合的に生じやすいものです。なにかの効果を期待してえごまばかり食べると、食事バランスが崩れる可能性があるので注意しましょう。

香味野菜のえごまの食べ方としてはなかなか考えにくいですが、極端な例を想定すると、たとえば、ダイエット中などで摂取カロリーを抑えようとして、えごまでお腹を満たそうとした場合、消化不良をきたして腹痛や下痢、便秘などの症状が生じるかもしれません。

また、必要なカロリーや栄養素が十分に摂れず、体調にも影響が出てきてしまいます。えごまは香味野菜の1つとして食べる程度にし、その他の野菜はもちろん、穀類や肉・魚類などもしっかり食べ、栄養が偏らないようにしましょう。

えごまの葉の1日の適量は?

えごま サムギョプサル

えごまの摂取量に基準はなく、「1日〇g以上は危険」というような上限もありません。いつもの食事の中で取り入れるうえで、全体のバランスからほどよい量をアドバイスいたします。

適量の目安|1日10枚程度

えごまをもし毎日食べるならば、1日10枚くらい(10~15g)だと他の食事への影響も少なくてちょうどよいのではないでしょうか。

なお、野菜の1日の摂取目安は350gとされており、そのうちの120g以上は緑黄色野菜で摂るようにします[*3]。β-カロテンが豊富なえごまは緑黄色野菜に分類されますが、えごま以外の緑黄色野菜を摂ることも大切です。えごまで必要な緑黄色野菜の量をすべて賄おうとはせず、色々な野菜の1つとして食べていきましょう。

えごまの葉を使ったレシピ

えごまは1枚1gと少量なので、栄養素の摂取源として期待するのはとても難しいものの、少しでもβ-カロテンなどがプラスできるのはうれしいですよね。普段の食生活に取り入れてみましょう。

えごま海苔巻き

えごまの葉を使った海苔巻きは、食欲がないときでも、その独特な香りで食べやすいことがあります。具に野菜やたんぱく質食品を使用すれば、栄養が摂りやすい一品になります。

■材料(約3人分)
・にんじん 1/3本
・ほうれん草 1束
・卵 1個
・えごまの葉 6枚
・ご飯 150g程度
・塩 ひとつまみ
・いりごま 小さじ2
・のり(全形) 3枚
・ごま油 少々

■作り方
① ご飯にいりごまと塩をまぶして冷ましておく
② 卵は溶いてフライパンで薄く焼き、千切りにしておく
③ にんじんは千切りにしてからゆで、水けをきっておく
④ ほうれん草はゆでて水けをしっかりしぼっておく
➄ まきすにのりを置き、その上にご飯を薄くのせる
⑥ ➄にえごまの葉2枚をのせ、野菜や卵を適宜のせて、まきすでまく
⑦ 食べやすい幅で切る

Lazy dummy

具として野菜や卵を用意するのが難しいときは市販のナムルなどでも代用可能です。その場合はご飯に塩をふらないほうがいいでしょう。

えごま油の効果は?

えごま油

ここまで、えごまの葉についてお伝えしましたが、種子から作られるえごま油もありますよね。えごま油には「機能性表示食品」として売られていたりもしますが、どんな「機能」が期待できるのでしょうか?

えごま油はα-リノレン酸が豊富

えごまの葉にはα-リノレン酸はほとんど含まれませんが、えごまの種からとれるえごま油にはα-リノレン酸が多く含まれています。α-リノレン酸は魚の脂に多いDHAやEPAと同じn-3系脂肪酸です。n-3系脂肪酸は肉類の脂質(飽和脂肪酸)と異なり血中のコレステロール値に悪影響を与えないため、健康効果が注目されています。

機能性表示食品として届け出がなされているえごま油でも、α-リノレン酸には血中の悪玉(LDL)コレステロール値を下げる機能が報告されていることなどが表示されています[*4]。ただし、機能性表示食品はあくまで食品であり、医薬品ではありません。パッケージにも「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。 疾病のある方、薬を服用されている方は、必ず医師、薬剤師にご相談ください」という注意を記すことになっています[*5]。パッケージに記載されている注意事項や摂取目安量、摂取方法などをよく確認して、摂るようにしてくださいね。

機能性表示食品とは
機能性表示食品とは、事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するという制度です。根拠をもとに消費者庁に届け出されたものが「機能性表示食品」として流通します[*5]。国が安全性と機能性の審査を行ったうえで許可する特定保健用食品とは異なり、あくまで事業者の責任において表示されるものであるというのが特徴です。

まとめ

えごまはしそに似ていながら、少し異なる独特な風味があり、食欲も促進されますね。適度に取り入れて食生活を豊かに楽しいものにしていくといいでしょう。食べ過ぎによるリスクは低く、また、特に栄養効果が期待できるというものでもありません。なにかの効果を期待して過剰に食べると、食事バランスが崩れる可能性がるので注意しましょう。

(文・監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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