おかひじきの食べ過ぎに注意は必要?どんな栄養がある?うれしい効果を解説【管理栄養士監修】
しゃきっとした歯ごたえがおいしいおかひじき。食感が癖になり、つい箸が止まらなくなってしまう人もいるかもしれませんね。野菜の一種ですが、食べ過ぎのリスクはあるのでしょうか? そもそも、どんな栄養が含まれるのか知らない人も多いでしょう。おかひじきの特徴や注意点、また、おすすめのレシピもご紹介します。
おかひじきに含まれる栄養素の効果
おかひじきは海岸に自生する野草で、葉の形が海藻のひじきに似ていることから、このような名前になったという説があるようです[*1]。おかひじきに含まれる成分をみていきましょう。
食物繊維が豊富
おかひじき100gには食物繊維2.5gが含まれますが、このうち水溶性食物繊維が0.5g、不溶性食物繊維が2.0gです[*2]。食物繊維を含む食品の中では、比較的、水溶性と不溶性のバランスがよいといえます。水溶性食物繊維は便を軟らかくする作用があり、不溶性食物繊維は便のカサを増やす作用があります。便秘がちな人にとっては、便通改善に役立つ食品の1つになりそうですね。
β-カロテンを含む
100gあたりβ-カロテンを600μg以上含む野菜のことを緑黄色野菜といいます。一般に色の濃い野菜が緑黄色野菜のイメージかと思いますが、とてもきれいな緑をしているおかひじきは、緑黄色野菜なのでしょうか?
おかひじきに含まれるβ-カロテンは3,300μg[*2]なので、立派な緑黄色野菜です。その他の緑黄色野菜と比べてもβ-カロテンは多い方だといえます。β-カロテンは抗酸化作用があるとされるので、おかひじきもうまく取り入れるとよいですね。
<100gあたりのβ-カロテン量>[*2]
にんじん…6,900μg
ほうれん草…4,200μg
おかひじき…3,300μg
ブロッコリー…900μg
かぼちゃ…700μg
カルシウムが牛乳よりも豊富
意外かもしれませんが、おかひじきはカルシウムが豊富な食品でもあります。その量はなんと牛乳を上回るほど。牛乳に含まれているカルシウムは100gあたり110mgなのに対し、おかひじきのカルシウム量は150mgなのです。カルシウム摂取源の代表格と一般に考えられている牛乳より多いとは、びっくりですよね。
妊婦さんには嬉しい葉酸
葉酸には赤血球の生産を助けるほか、動脈硬化を予防する効果を期待されており、日頃からしっかり摂取したい栄養素です。また、発育にも不可欠であり、特に妊婦さんが摂りたい栄養素としても知られます。妊娠前から妊娠中にかけて葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常のリスクを減らすことができます。
生のおかひじきには100gあたり93μg、茹でたおかひじきにも85μgの葉酸が含まれます。葉酸は水に溶け出しやすい性質がありますが、おかひじきの場合は損失が少ないことがわかります。一方、ブロッコリーやほうれん草は生の状態だと200μg程度の葉酸を含みますが、茹でると半減してしまいます。おかひじきは、効率よく葉酸を摂れる食べ物だといえますね。
ビタミンCを含む
おかひじきにはビタミンCも100gあたり21mg含まれます[*2]。ビタミンCの推奨量が100mg[*3]ということを考えると、おかひじきから摂れる量はあまり魅力的に見えないかもしれませんが、ビタミンCに限らず栄養素の摂取はいくつもの食品の積み重ねによるのが基本です。
ちなみに、トマトに含まれるビタミンCは15mg[*2]なので、トマトよりもおかひじきの方が多く含まれるんですよ。
おかひじきの食べ過ぎのリスクは?
おかひじきは過剰摂取による健康への影響のリスクが低いため、あまり神経質に考える必要はありません。ただし、何かの効果を期待して異常な量を食べたりすると、他のものが食べられなくなり、食事バランスが乱れる心配があります。
偏食で栄養不足になるリスク
おかひじきはカロリー(エネルギー)が100gあたり16kcalと非常に低カロリーです。消化されにくい食物繊維も豊富なことから、たくさん食べるとおひじきだけでも満腹を感じるかもしれませんが、そうすると必要なカロリーが不足することも考えられます。また、食品によって含まれる栄養素は異なるため、おかひじきに偏ることで摂れない栄養素も出てきてしまうでしょう。ダイエット目的などで、おかひじきを主食にして食事を終えるようなことはおすすめできません。
ワーファリン服用中は注意
ビタミンKはさまざま食品に広く含まれている栄養素で、血液凝固作用などがあります。多量に摂取した場合の健康障害の報告がないことから、上限量は設定されていません。おかひじきなどの食品から摂取するビタミンKで体に悪影響がでる心配は低いでしょう。
ビタミンKの摂取量に注意が必要となるのは、血液を固まりにくくする薬(ワーファリン)を服用している場合です。ビタミンKを多く含む食品と一緒に摂ることで、薬の作用を弱めてしまうことがあります。では、その場合はおかひじきを食べない方がよいのでしょうか?
薬の説明書には「納豆」「クロレラ食品」「青汁」は避けるように書かれており[*4]、納豆には600μg、青汁には1500μg(いずれも100gあたり)のビタミンKが含まれます。一方、茹でたおかひじきのビタミンKは360μgです[*2]。納豆や青汁と比べてそれほど多くないため、食べ過ぎなければよいと思われますが、医師や薬剤師に相談したうえで食べるようにしましょう。
適量の目安|1日50~70g程度
食事バランスガイドでは野菜70gを野菜1単位として、1日に5単位(野菜350g)食べるようにとしています[*5]。いろいろな種類の野菜を摂取したいので、おかひじきは1単位分くらいがよいでしょう。1パック100g前後のものなら、その半分くらい(50g)をだいたいの目安にするのがわかりやすいですね。
おかひじきの保存方法とおすすめレシピ
おかひじきがとても栄養豊富なことがわかりましたね。実際に食べる方法を簡単なレシピとともにご紹介します。
保存方法
おかひじきは冷蔵庫で保存します。冷気が直接あたらないよう、新聞紙やラップに包んで、野菜室に入れるとよいでしょう。冷凍保存も可能ですが、食感が変わってしまうため、あまりおすすめはできません。冷蔵保管でなるべく早く食べるようにしましょう。
おすすめレシピ
おかひじきとカニカマのカラフルナムル
材料(約2人分)
・おかひじき 100g(1パック)
・カニカマ 3本
・鶏ガラスープの素 ひとつまみ
・ごま油 小さじ2
・にんにく 少々
・塩 少々
・白ごま(すりごま) 小さじ2
作り方
① おかひじきは30秒ほど茹でて水気をきり、食べやすい長さに切っておく
② カニカマはほぐす
③ ボウルなどに①、②を入れ、調味料もすべて加え、混ぜ合わせる
白ごまはいりごまでもいいですが、半分は擦って入れると風味がでて、よりおいしくなります♪
その他の野菜などの食べ過ぎはこちら!
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
まとめ
おかひじきはカルシウムを豊富に含む野菜であり、そのほかにもうれしい栄養成分をたくさん含んでいます。しかし、効果を期待してたくさん食べるとお腹を壊してしまったり、からだを動かすためのエネルギーが不足することも考えられます。野菜の1つとして1日50~70g程度食べることで、ビタミン・ミネラル類をほどよく補えるので、適量を取り入れるようにしましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]農林水産省:うちの郷土料理「おかひじきのからし和え 山形県」
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版
[*4]医薬医療機器総合機構:添付文書 処方箋医薬品「 ワーファリン」
[*5]農林水産省:食事バランスガイドについて
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます