ルッコラは食べ過ぎても大丈夫?1日の適量や栄養の効果は?【管理栄養士監修】
別名「ロケット」とも呼ばれる「ルッコラ」は、イタリアやフランスでよくサラダとして食されています。辛みと苦みが特徴でごまのような風味もあり、日本でも人気の高い野菜の1つです。ルッコラを食べ過ぎてしまうと、どうなるのでしょうか? どのような栄養が含まれるのかということも一緒に、確認していきましょう。
ルッコラに含まれる栄養素と効果は?
近年、スーパーなどでも簡単に手に入るようになったルッコラ。ルッコラとはイタリア語であり、英語では「ロケット」といいます。主にサラダや料理の付け合わせに利用されているハーブの一種です。身体にうれしいたくさんの栄養を含んでいますが、どのような特徴があるのでしょうか?
アリルイソチオシアネート|ワサビと同じ成分
ルッコラはアブラナ科の野菜で、アリルイソチオシアネートという成分を含んでいます。同じアブラナ科のワサビやカラシの風味のもととしてよく知られますが、ピリッとした辛みを感じるのが特徴です。
アリルイソチオシネートは食欲増進効果や殺菌効果のほか、発がん防止効果も期待できるとされていますが[*1]、ルッコラなどの野菜を食べてこれらの効果が期待できるとは言いにくいでしょう。ルッコラで辛みを感じたら、これはワサビと同じ成分が少し入っているんだなと思って、味のアクセントとして楽しむとよいですね。
ビタミンC|生で食べるから摂りやすい
ビタミンCは体内で合成できない栄養素のため、食べ物からしっかり摂取しなければなりません。成人は1日に100mg摂ることが推奨されていますが[*2]、ルッコラはビタミンCが100g中に66mgと豊富に含まれています[*3]。
ビタミンCは水に溶けやすく茹でたりすると流出する性質があり、加熱調理では減ってしまうのが難点です。その点、サラダなどで生で食べることが一般的なルッコラは、ビタミンCを摂るうえで非常に優れた食材といえます。
ビタミンCをしっかり摂りたいと思ったら、生で食べられるものを選んだり、水にさらし過ぎないようにする、茹ですぎないようにするなどを意識するといいですよ。
β-カロテン|ビタミンAとしてもはたらく
ルッコラにはβ-カロテンが3,600μg[*3]も含まれており、緑黄色野菜の1つです。緑黄色野菜の代表であるにんじんと比べると半分ほどの量ですが、緑黄色野菜の基準が「β-カロテンが600μg以上」なので、それでもルッコラのβ-カロテンはとても豊富なのがわかりますね。
β-カロテンは抗酸化作用があるほか、体内で必要な分だけビタミンAに変換され、粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保ったり、視力を維持するためにもはたらきます。身体の健康を保つ役割をもつ大切な栄養素の1つです。なお、ビタミンAそのものと違って過剰摂取の心配がないのも、β-カロテンのメリットでしょう。
ビタミンE|抗酸化作用が期待できる
ルッコラに含まれるビタミンEは、体内での活性酸素の産生や働きを抑制する抗酸化作用があるといわれています。活性酸素が増えすぎると老化やがん、生活習慣病の要因となります。体内にも抗酸化防御機構というものがありますが、抗酸化物質を含む食べ物を摂取することも有効です[*4]。
また、ビタミンEには血管の拡張を促す作用もあり、血流の滞りを予防することにも役立つと考えられています[*5]。
ルッコラを食べ過ぎたらどうなる?
このように栄養に優れたルッコラですが、食べすぎたらどのような影響が身体にでるでしょうか。
腹痛や便秘のリスク
ルッコラには食物繊維が2.6g含まれますが、その多くは不溶性食物繊維です[*3]。不溶性食物繊維は水に溶けにくい性質があり、便のカサを増やすので腸を刺激して排便をうながす効果がありますが、場合によっては便を硬くして排泄しにくい方向にはたらく可能性もあります。そのため、ルッコラばかり大量に食べてしまうと、腹痛や便秘などを起こすこともあるかもしれません。
水に溶けやすく、便を軟らかくする水溶性食物繊維と一緒にはたらくことが効果的なので、ルッコラだけでなく、ほかの食べ物も食べていきましょう。水溶性食物繊維を含む果物などを意識するのも良いですね。
エネルギー不足のリスク
生でもおいしく食べられるルッコラは、栄養素を効率よく吸収できるおすすめの食材ではありますが、サラダでルッコラを摂ろうして、サラダ中心の食事にならないように注意しましょう。サラダでお腹いっぱいになり主菜や主食の量が減ってしまうと、エネルギー不足になってしまいます。同時に何らかの栄養素の不足も生じることになり、身体への悪影響も次第に出てくるでしょう。健康を意識するなら1つの食材の効果にこだわるよりも、バランスの良い食事をとることが大切です。
硝酸塩は過剰に心配しないで
野菜には硝酸塩という成分が含まれますが、ルッコラやかぶ、大根、ビーツなどには多く含まれる場合があります[*6]。硝酸塩は通常、野菜から摂取する程度では特に有害なものではありませんが、一部ではリスクも指摘されています。硝酸塩が体内で亜硝酸塩に変化すると、ヘモグロビンの異常や発がん性物質の生成をうながす可能性があるというものですが、はっきりとしたことは判明していません[*7]。通常の食べ方であれば、ルッコラによる硝酸塩のリスクを過剰に心配する必要はないでしょう。
野菜は、ビタミンやミネラルなど身体に不可欠な栄養素の大切な供給源です。野菜を食べないデメリットを考えると、硝酸塩を怖がり野菜の量を減らすよりも、異なる種類の野菜をバランスよく摂取していくことを大切にしましょう。
ルッコラの1日量の目安は?
いろいろな野菜の1つとしてルッコラを食べていきたいですが、どのくらいを目安にしたらよいのでしょうか?
1日に70g程度
健康日本21では1日の野菜摂取量の目標を350g以上とし、このうち緑黄色野菜で120g以上が望ましいとしています[*8]。ルッコラは緑黄色野菜ですが、ルッコラを120g以上摂るのでなく他の緑黄色野菜もあわせて120g以上にしたいものです。また、ハーブであるルッコラは他の野菜と比べて量が食べにくいということもあります。生のルッコラを食べる際は小鉢1つ分の70g程度がほどよいでしょう。
ちなみに、1日350g以上の野菜を食べるのが大変だと感じる場合、すべて生で摂ろうとするとカサが多くなるので、適宜、加熱してカサを減らすとたくさん食べられますよ。
サラダ以外の食べ方
ルッコラの辛みや苦みが気になり、生だと食べにくいという人は加熱して食べてもよいでしょう。炒めたり茹でたりすると辛みや苦みを抑えることができます。
また、フードプロセッサーを使ってルッコラの香りを生かしたソースにしてもよいですね。
その他の野菜などの食べ過ぎはこちら!
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶パクチー ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
ルッコラのおすすめレシピ
生で食べることが多いルッコラですが、今回は定番のサラダではなく茹でたルッコラを使ったレシピをご紹介します。茹でるとビタミンCなどは少し減りますが、その分、サラダで食べるよりたくさん食べられるのであれば、茹でて食べるのも1つですよ。
ルッコラのごま和え
■材料(一人分)
・ルッコラ 70g
・砂糖 小さじ1
・しょうゆ 小さじ1/2
・すりごま 適量
■作り方
① ルッコラを茹で、流水で色止めしたら食べやすい大きさに切る
② 砂糖、しょうゆを混ぜ合わせ、①とすりごまを加えて合わせる
まとめ
ルッコラはビタミンC、Eが豊富でβ-カロテンもたくさん含まれている緑黄色野菜です。栄養がたくさん詰まっていますが、かといって食べ過ぎると腹痛やエネルギー不足も心配になります。硝酸塩の影響を過剰に気にする必要はありませんが、満遍なくいろいろな種類のものを食べるということが大切です。何か1つの食べ物に偏ることのないようにしましょう。
(文:茅野陽 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]一色賢司ら:アリルイソチオシアネートによる食品の健全性確保, 食品と微生物, 10(1)1-6, 1993
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*5]厚生労働省:e-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」
[*5]厚生労働省:eJIM「ビタミンE」
[*6]食品安全委員会:食品安全関係情報詳細「ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、食品中の硝酸塩及び亜硝酸塩に関するFAQを公表」
[*7]農林水産省:食品中の硝酸塩に関する基礎情報
[*8]厚生労働省:健康日本21(第二次)
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます