卵と玉子の違いがわかる!意味で漢字を書き分けよう
「卵」と「玉子」、どちらも「たまご」と読みます。会話中はあまり意識していませんが、わざわざ別の漢字を使うのですから、意味が違うのでは……?疑問を解決するために、新聞や書籍のなかで見る「卵」と「玉子」の違いについて調べてみました。
生き物のたまごは「卵」
一般的に、魚、虫、鳥のたまごは「卵」と表記します。カメやヘビなど、爬虫類のたまごも「卵」です。これから孵化して、生物が生まれてくるたまごを表しています。
学術的な説明をする際も、「卵」という漢字を使います。
食べるたまごは「玉子」
「玉子」は食用のたまごを指します。
ただし、食用のたまごすべてではなく、鶏(にわとり)や鶉(うずら)のたまごを表すのが一般的。
魚のたまごは、「卵」の文字をあてて「魚卵(ぎょらん)」と呼ばれます。たとえば、キャビアはチョウザメのたまごですが、「チョウザメの玉子」とは書きません。
食用にする魚卵には、鮭のたまごである「いくら」やトビウオのたまごである「とびこ」、タラのたまごである「たらこ」などがあります。いずれも魚の名前に「子」の意味がある「こ」を足した名前で表されています。
生は「卵」調理済みは「玉子」
鶏のたまごは、状態の違いによっても漢字の書き分けがあります。生の状態の鶏卵は、「卵」と書き、調理済みの状態の鶏卵は「玉子」と書くことが多いようです。
とはいえ、厳密な決まりではありません。ゆでたまごは「ゆで卵」とも書きますし、「温泉卵」という料理もあります。
生たまごをかけるたまごかけごはんは、多くが「卵かけごはん」と表記されていますが、「玉子かけごはん」と書いても間違いではありません。
調理済みのたまごを「玉子」と書くのは、現存する日本でもっとも古い料理書「料理物語」に記されているから、とも考えられています。
「卵」まめ知識
「卵」という漢字は、虫や爬虫類の卵が連なったようすを表しているといわれています。一方で、膜に包まれた精子や卵子が引き合うようすを表した象形文字が由来という説も。
「玉子」は、たまごの丸い形状から「玉の子」で「玉子」の漢字が使われるようになったようです。この漢字を「たまご」と読み始めたのは室町時代で、江戸時代に広まったとされています。
ちなみに、英語でたまごは「egg」。魚のお腹にあるたまごのことを「roe」ということもありますが、基本はすべて「egg」で表します。
まとめ
「卵」と「玉子」の漢字の使い分けに関しては、おおまかにはあるものの、厳密なルールが存在しませんでした。ほとんどの方は、感覚で使い分けているのではないでしょうか。
言葉は生き物で、使っていくうちに変化します。これまで食用とされていなかったたまごが食べられるようになったとき、鶏以外の「玉子」の使われ方が誕生するかもしれません。