子どもの読書量を増やすコツとは?大切なのは自由に好きな本を読ませてあげること
子どもには自己肯定感や、ものごとを判断する力、コミュニケーション能力などの高い大人になってもらいたいですよね。こうした能力に影響する、子ども時代の習慣があることがわかりました。それはずばり、読書です。読書が良いのはよく言われることですが、実際、調査によってそのことが示されています。
子どもの頃によく読書をした人はどう成長する?
現代はゲームや動画、SNSなどに費やす時間が多く、大人でも読書好きでなければ、その機会は減っているのではないでしょうか。昔から「読書は良い」と言われますが、実際に読書量の違いが、その後の能力に影響するのか、調べたものがあります。その結果、どのようなことがわかったのでしょうか。
子どもの頃の読書量が大人になったときの能力に影響
調査では、子どもの頃(小学校高学年・中学校・高校)の読書量に応じて、「小中高を通して読書量が少ない」「小中高で読書量が低下している」「小中高で緩やかに読書量が上昇している」「小中高を通して読書量が多い」という4つのグループに分類しています。
このグループごとに、大人になった現在の「自己理解力」「批判的思考力」「主体的行動力」の違いを比べています。すると、子どもの頃の読書量が多かった人は、これら3つがいずれも最も高くなりました。このことから、子どもの頃の読書量が、大人になってからの能力に影響していることが考えられます。
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・自 己 理 解 力:「今の自分が好きだ」「自分には自分らしさがある」など自己肯定感を包含
・批判的思考力:「ものごとを順序立てて考えることが得意だ」など客観的、多面的、論理的に考える力、自分あるいは他者の意見をまとめる力、コミュニケーション力を包含
・主体的行動力:「分からないことはそのままにしないで調べる」など何事にも進んで取り組む姿勢や意欲
読書量の多さは興味に応じた自由な読書体験が関係
読書は昔から推奨されてきたことではありますが、読書離れが叫ばれて久しいなか、子どもの読書量をどう増やせばいいのかが気になりますよね。
子どもの頃に読書量が多かった人には、どのような特徴があったのでしょうか?
調査でわかったのは、
「本を持ち歩いて読むこと」
「地域の図書館で本を借りたこと」
「ジャンルを問わず読むこと」
「同じ本を繰り返し読むこと」
「目次、前書き、解説など本文以外の部分も読むこと」
「図書委員、子ども図書、読書コンシェルジュの活動をしたこと」
「絵本を読んだこと」
――などの体験が読書量の多さに関係していることでした。
自分の興味に応じた読書体験が自然と読書量の増加にも結び付いていったことが想像されます。
一方、読書の少なさに関係するような読み方もあることがわかりました。「1日に読むページを決めて読むこと」「著者がどのような人か理解してから読むこと」「学校や市の推薦図書を選ぶこと」などを多く体験した人は、読書量が少ない傾向に。
義務的な読書ではなく、あくまで自分の興味のまま自由に読むことが、読書量の多さにつながるといえそうです。
読書ツールによる違いは?
現在は、年代に関係なく本(紙媒体)を読む人が減少しており、1ヶ月に読む本(紙媒体)がゼロ冊の人も年々増えています。その一方で増えているのは、携帯電話やスマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスを用いて本を読む人です。
では、読書ツールにより「自己理解力」などの高さに違いは出るのでしょうか? 調査では以下のようにグループ分けをしたうえで、比較しています。
各グループと「自己理解力」「批判的思考力」「主体的行動力」の関係をみてみると、どのツールを使用しているかにかかわらず、読書をしている人は読書量が少ない人に比べて、意識・非認知能力が高い傾向にありました。
なお、読書ツール同士で比べた結果は、本(紙媒体)中心で読書をしている人で、現在の「自己理解力」などが最も高い傾向にあることもわかりました。
子どもに自由な読書をさせることが大切
この調査では、子どもの頃から本を読むことは、大人になったときの自己肯定感や論理的思考、コミュニケーション能力、主体的に行動する力などの高さに関係することがわかりました。また、あくまでも自分の興味に従った読書が、読書量のアップにつながっているようです。そのため、親としては、読む本を指定したり、読書をルール化したりするのではなく、子どもが自由に読書を楽しみ、自然と多くの読書体験ができるようにサポートしてあげるのが大切になるでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
調査概要
国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」
・調査地域:全国
・調査対象:20~60代までの男女(各年代男女500人ずつ)
・有効回答数:5,000サンプル