子どもの世界が広がる! プログラミング体験前に知っておきたいゴールとは『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング』#6
小学校でプログラミングが必修化されたけど、親はどうしたらいいの?プログラミング知識ゼロの方も必見! プログラミングスクールTechKidz ACADEMY代表・熊谷基継さんの著書『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』(すばる舎)よりプログラミングを親子で楽しむコツをお届けします。
実際にプログラミングを体験する前に知っておきたいこと
ゴールを見せて目標をもたせる
「何の意味があるの?」といわれたら
はじめてプログラムに触れる前にまず、プログラムで何ができるのかを知ることで動機づけをすることができます。そもそもプログラムに興味がある子どもならば何の問題ないのですが、そうでない子の場合はいきなり「プログラムをやってみよう!」だと、
「なんで? やらなくちゃいけないの?」
「(ゲームで遊びたいのであって)ゲームなんて作りたくない!」
「何の意味があるの?」
などと反発してしまうかもしれません。
でも、3つめの「何の意味があるの?」という疑問に対しては、以下のような多分野でのプログラミングが活用されているという現実を説明してあげることで興味をもってくれるかもしれません。プログラミングを使ったものは、ゲームやロボット以外の世界でも多岐にわたり、以下のようなものがあります。
・【アートの世界】teamLabo をはじめ、多くの企業が創造している参加型のアートミュージアムや水族館でのプログラミング
・【ライブや演劇の世界】音楽や動きに合わせて舞台演出が目まぐるしく変わるステージでのプログラミング(Perfume のライブ演出を担当しているRhizomatiks などが有名)
・【映画の世界】爆発シーンや葉っぱの落ちるようすなど、現実世界で起こりうる現象を創造・再現する際のプログラミング
・【ファッションの世界】3D プリンタを使って服ができたり、自分の体にフィットする採寸型ボディースーツのようにスマホで体型計測をしたりする際のプログラミング
・【WEBサイトの世界】Amazon など、いろんな場面でレコメンド商品が表示される際のプログラミング
以上のようにゲームやロボット以外でもITの活用で広がる世界がたくさんあり、そこではプログラミングが技術の下支えをする、いわば縁の下の力持ちになっています。
いまの子どもたちはIT時代の申し子、いわゆるIT ネイティブ世代です。自分の好きな世界で、IT技術を駆使した表現がごく自然にできるようにどんどんなっていくでしょう。
人はゴールが見えることでモチベーションが上がり、行動に出ることができます。専門学校の学生たちも、「こういうゲーム作りたい」「こういうCG作りたい」という夢をもって、基礎から1つ1つスキルアップに取り組んでいました。
ゴールを先に見せて「こういうのができるんだよ」と伝えて、そこで子どもが目を輝かせたら、あとはちょっとしたプログラム体験をするだけです。そこから子どもがやりたいと思う方向へ、夢の翼を広げさせてあげてください。
社会でうまくいくための、いろんな力を身につける
前述のとおり、プログラムを学ぶことでプログラミング的思考が身につきます。プログラミング的思考を具体的に分解したのが上図です。これまで話してきた論理的思考力、段取り力、問題発見&解決力、プレゼン能力など、社会で生きていくうえで使えるスキルばかりです。
どんな仕事や家事にも段取り力が必要なのは先述のとおりで、タスクを分解・整理して効率のよいアルゴリズムを考えるときに論理的思考力とともにベースになるスキルです。
たとえばYoutuberや小説家であれば、人がのめりこむためのストーリー作りのために、面白くするためのシナリオ、すなわち変化をつけた展開や流れが必要です。同時にまた、自分の作品や企画を多くの人に納得させるためのプレゼン能力も必要です。
そこでもロジカルに考えて、どういう順番で話すと効果的かといった論理的思考が必要になってきます。子どもたちが将来なりたいどんな職業にも、プログラミングを通じて得られる思考力が役立つことも、繰り返し述べたとおりです。プログラミングは、デザイナーやアニメーター、Youtuber、小説家、こうしたクリエイティビティを発揮する人になりたいと思うなら、絶対に身につけておくべき汎用性の高いスキルなのです。
(熊谷基継『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』(すばる舎)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
全6回に渡り、プログラミングの基本ルールと親子で楽しむためのコツをお届けしました。書籍には体験編として、ツールの使い方やポイントもわかりやすく解説されています。
続きはぜひ書籍でお楽しみください。
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書籍『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』について
小学校での必修化、あせらなくても大丈夫。まずは無料ソフトを使って、家庭でいっしょにトライ! できた! 楽しい! という体験をお子さんと積み重ねてください。
プログラミングの面白さに目覚めた子どもは、論理的に考える力、自分で答えを導き出す力をぐんぐん伸ばしていきます!
【目次】
はじめに/子どもたちがプログラミングを学びたくなる8つのステップ
第1章 いま最も必要とされているプログラミング教育〜親が知っておくべき7つのポイント〜
第2章 これだけ知っていれば大丈夫! プログラムの基本ルール
第3章 いますぐ始めるプログラミング【体験編】
第4章 いますぐ始めるプログラミング【クリエイティブ編】
第5章 いますぐ始めるプログラミング【継続編】
おわりに/おすすめ書籍およびWEBサイト
熊谷 基継さんのプロフィール
有限会社ENY代表取締役、プログラミングスクールTechKidzACADEMY代表。
1975年生まれ。 東京出身。 青山学院大学大学院理工学研究科修了。 院生時代に脳科学の一分野であるバイオフィードバック(生体自己制御)によるリラクゼーション・システムを研究。 大学院修了後、日本電気株式会社(NEC)のインターネット・サービス・プロバイダ事業(当時)BIGLOBEにて販促・営業を経験。
その後、飲食業界へと転身。 中目黒のおでん屋で料理人・店長として働く。 さらに企画・コンサルティング会社でWEB開発・マーケティングを担当したのち、新宿の専門学校HAL東京で講師(プログラミング、WEBデザイン担当)を務めた。
講師時代に「もっと早い時期からプログラミング教育はなされるべきだ」と思い立ち、オンラインによるプログラミング早期体験スクールを立ち上げ、現在に至る。開発したプログラミング教材が長崎県対馬市教育委員会に認定され、対馬市小学校のプログラミング教材として採用される。
マーケティング・エンジニア、デザイナー、イラストレーター、料理人など多彩な経歴を、小学生向けのプログラミング体験イベントやオンライン学習サービスの提供、中小企業向けITコンサルティング、WEBデザイン・開発などに生かしている。
代表的な著書
小学校6年生までに必要なプログラミング的思考力が1冊でしっかり身につく本
早く仕事を終わらせたいから、プログラミングはじめました。