大事なのは小さな成功体験! 3つの法則をベースにアルゴリズム思考を高めよう『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング』#2
小学校でプログラミングが必修化されたけど、親はどうしたらいいの?プログラミング知識ゼロの方も必見! プログラミングスクールTechKidz ACADEMY代表・熊谷基継さんの著書『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』(すばる舎)よりプログラミングを親子で楽しむコツをお届けします。
【プログラミング教育】親が知っておくべきポイント
小さな「できた!」の積み重ね
「一喜一憂」から「一喜一勇 」へ
プログラミングを学ぶことで小さな成功体験をいくつもすることができます。小さな「できた!」体験によって、自信がつくのです。「できた!」がうれしいので、さらにゴールに向かって、エラーが出てもトライ&エラーを繰り返していくようになります。
たとえばビジュアル・プログラミングの場合、1つブロックをおいてみて、それでプログラムが動いただけで子どもたちは「やった!」となります。このとき小さな成功体験をすることができます。
次にもう1つブロックを組み合わせて動かす、さらにブロックを増やしてみる……というふうに次々と自分がやりたいことをふくらませながら「やった!」の体験を繰り返していきます。
トラブルを歓迎する気持ちで
逆に、自分が意図して作ったものが動かなかったときは、「何がいけなかったんだろう?」「こうやってみたらどうだ?」などと原因の分析をして、さらにトライ&エラーを繰り返します。
分析をして何度でもできるまで挑戦する力が育つのも、プログラミングのすばらしいところです。しかも楽しみながらです。
大事なのは、子どもたちに教えるときにエラーが出たからといって困ったり悩んだりしないこと。エラーが出たらむしろ喜んで子どもたちがそれをどう乗り越え解決するかを見守り、サポートしてあげてください。それは将来、子どもたちが何か問題や課題に直面したときに、自分で考えて問題解決する力になるのです。
たった3つの考え方の組み合わせ
「じゅん・くり・じょう」と覚えよう
それでも「やっぱりプログラムってむずかしそう」と多くの方がおっしゃいます。はたして本当にむずかしいのでしょうか?
じつは、難解そうに見えて、すべてのプログラムはたった3つの考え方でできています。携帯電話やスマホもしかり、銀行のATM(現金自動預け払い機)もしかりで、それらを動かしているシステムはすべて3つの考え方の組み合わせでできているんです。
その3つの考え方とは、次の3つ。
① 順次実行 ② 繰り返し ③ 条件わけ
それぞれについてはのちほどくわしく述べますが、イメージをまとめて図解したのが上図です。
赤い文字で示したとおり「順々に次々と」「もどる」「わかれみち」この3種類のどれかで、すべてのプログラムは成り立っています。そして、驚くなかれ。それらはみな日常生活でごく当たり前に私たちが行なっている作業です。このことをまず「教える人」であるあなたが理解しましょう。
書く前に考える癖をつける
欲張ると工程は複雑化する
簡単なものなら、プログラムはいきなり書き始めて完成させることもできるでしょう。しかし、複雑なものを作るときは、どういうふうに作るか(ある程度)考えてから取りかかる必要があります。
最初はゲーム感覚で楽しみながらやってみるのが大事なので、思うままにどんどんやってみることが大事です。しかし、少し自信がついてきて「あんなことやりたい!」「もっとこうしたい!」といった欲が出てくると、それにつれて求められるプログラムの工程がどんどん複雑になってきます。
そんなとき、「どうやってやったらいいんだろう?」と壁にぶつかることがあります。思いつくままにプログラミングをしていたら、「いま何をやっているのかがわからなくなってしまった」とか、「本当はもっとシンプルに作れたはずなのに、やたら複雑なものになってしまった」とか……こういうことが多々あるのです。
アルゴリズム思考で脳をととのえる
こうした残念な事態を避けるために、簡単なプログラムが自力で作れるようになって慣れてきたなと思ったら、ぜひプログラムを書く前に考える癖をつけるように意識してください。
「こんなのを作りたい!」というゴールを、それに必要な機能やルールに分解して、どういう順番でやるかを考えるプロセスのことをアルゴリズムといいます。
このアルゴリズムを考えてから実行する癖をつけることが、さらなるステップアップにおいてはとても重要になります。
(熊谷基継『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』(すばる舎)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
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書籍『親子で学べる いちばんやさしいプログラミング おうちでスタートBOOK』について
小学校での必修化、あせらなくても大丈夫。まずは無料ソフトを使って、家庭でいっしょにトライ! できた! 楽しい! という体験をお子さんと積み重ねてください。
プログラミングの面白さに目覚めた子どもは、論理的に考える力、自分で答えを導き出す力をぐんぐん伸ばしていきます!
【目次】
はじめに/子どもたちがプログラミングを学びたくなる8つのステップ
第1章 いま最も必要とされているプログラミング教育〜親が知っておくべき7つのポイント〜
第2章 これだけ知っていれば大丈夫! プログラムの基本ルール
第3章 いますぐ始めるプログラミング【体験編】
第4章 いますぐ始めるプログラミング【クリエイティブ編】
第5章 いますぐ始めるプログラミング【継続編】
おわりに/おすすめ書籍およびWEBサイト
熊谷 基継さんのプロフィール
有限会社ENY代表取締役、プログラミングスクールTechKidzACADEMY代表。
1975年生まれ。 東京出身。 青山学院大学大学院理工学研究科修了。 院生時代に脳科学の一分野であるバイオフィードバック(生体自己制御)によるリラクゼーション・システムを研究。 大学院修了後、日本電気株式会社(NEC)のインターネット・サービス・プロバイダ事業(当時)BIGLOBEにて販促・営業を経験。
その後、飲食業界へと転身。 中目黒のおでん屋で料理人・店長として働く。 さらに企画・コンサルティング会社でWEB開発・マーケティングを担当したのち、新宿の専門学校HAL東京で講師(プログラミング、WEBデザイン担当)を務めた。
講師時代に「もっと早い時期からプログラミング教育はなされるべきだ」と思い立ち、オンラインによるプログラミング早期体験スクールを立ち上げ、現在に至る。開発したプログラミング教材が長崎県対馬市教育委員会に認定され、対馬市小学校のプログラミング教材として採用される。
マーケティング・エンジニア、デザイナー、イラストレーター、料理人など多彩な経歴を、小学生向けのプログラミング体験イベントやオンライン学習サービスの提供、中小企業向けITコンサルティング、WEBデザイン・開発などに生かしている。
代表的な著書
小学校6年生までに必要なプログラミング的思考力が1冊でしっかり身につく本
早く仕事を終わらせたいから、プログラミングはじめました。