速さの基礎力を確認しよう|中学受験算数の基礎力を伸ばす#4
今回のテーマは「速さの基礎」について。中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんが、速さの基礎を3つのポイントに分けてお伝えします。【速さ】はどの学校でも出題される重要単元。ぜひ早いうちから基礎をマスターしましょう!
1. 時間の単位変換
速さの単元を学習するに前に身につけて欲しいのは、「時間の単位変換」です。
「時間の単位変換」を理解できていないために、速さの問題を正解できないケースも多いのです。
では、時間の単位変換がすぐにできるか、お子様に確認してみましょう。
例えば、「10分を時間に直すと?」とお子様に聞いてみてください。「1/6時間」とすぐに答えられますでしょうか。(10÷60 = 10/60 = 1/6 と考えます。)
できるようなら、下に、分数・小数に直す問題を5問ずつ用意しましたので、同じ要領でテンポ良く答えられるか確認してみましょう。
分を時間に直しましょう。答えは分数で答えましょう。
30分 → 1/2時間
20分 → 1/3時間
40分 → 2/3時間
15分 → 1/4時間
45分 → 3/4時間
分を時間に直しましょう。答えは小数で答えましょう。
6分 → 0.1時間
18分 → 0.3時間
24分 → 0.4時間
36分 → 0.6時間
42分 → 0.7時間
時間の単位変換がマスターできると、時速5kmで3時間36分…と見た瞬間に、5×3.6 = 18kmと考えることができるようになります。
2. 速さの基礎問題
次に、速さの基礎問題を理解しているか確認しましょう。
はじめに、速さの意味を確認します。 速さの意味を理解しておかないと、後々の解説の意味がわからなくなってしまいます。
次のような形で、お子様に聞いてみてください。
Q. 分速50mはどういう意味ですか?
A. 1分間で50m進む速さです。
Q. 秒速3mはどういう意味ですか?
A. 1秒間で3m進む速さです。
この時、「1分間で」「1秒間で」という部分が大切です。
できましたでしょうか。
では、ここから速さの基礎問題に入っていきます。
「単位が揃っていてかけ算・わり算だけで解ける問題」と、「単位を揃えてから解く必要のある問題」の2つのパターンを確認します。
最初は、速さの基本問題(単位が揃っている問題)です。
次の5問を時間を測って解いてみてください。
1. 300mの道のりを6分で歩く速さは分速何mですか。
2. 分速150mで5分走ると、何m進みますか。
3. 2000mを分速80mで歩くと、何分かかりますか。
4. 360mを18秒で進む速さは、秒速何mですか。
5. 時速120kmで6時間進むと何km進みますか。
いかがでしたでしょうか。
5問を1分以内で解けるようになっておきたいですね。
理想は30秒です。
こちらが解説です。
【解説】
1. 300 ÷ 6 = 50 (答) 分速50m
2. 150 × 5 = 750 (答)750m
3. 2000 ÷ 80 = 25 (答) 25分
4. 360 ÷ 18 = 20 (答) 秒速20m
5. 120 × 6 = 720 (答) 720km
【解説】
1. 300 ÷ 6 = 50 (答) 分速50m
2. 150 × 5 = 750 (答)750m
3. 2000 ÷ 80 = 25 (答) 25分
4. 360 ÷ 18 = 20 (答) 秒速20m
5. 120 × 6 = 720 (答) 720km
5つ目の問題で120 ÷ 6 = 20 としてしまっていませんか?
数字が割りやすいかどうかで、式を判断してしまっている場合があります。
その時は、もう一度、「時速120kmの意味」をお子様に聞いてみてください。
続いて単位をそろえる必要がある速さの問題です。
実際に問題も解いてみてください。
自信があるお子様は、時間を測ってみてください。
1. 8kmを時速12kmで進むのに何分かかりますか。
2. 8kmを20分で進む速さは、時速何kmですか。
3. 分速120mで50秒進むと何m進みますか。
4. 時速25kmで24分進むと何km進みますか。
どうでしたか。
理想は2分以内ですが、難しいと感じるお子様は、まずは時間を気にせず、1つ1つ丁寧に取り組みましょう。
もし、うまく解けない場合は、第1回の「算数の基礎力とは?」で考え方を詳しく確認する方法を説明しております。ご覧いただき、もう一度チャレンジしてみてください。
では、解説です。
【解説】
1. 時速12kmは、分速200m。(60分で12km進む→1分で、12000÷60=200(m))
8000÷200=40(分)
答え 40分
もしくは、8 ÷ 12 = 2/3(時間) → 2/3×60 = 40(分)
2. 20分で8km進む → 60分(1時間)で、8×3 = 24(km)
答え 時速24km
もしくは、20分 = 1/3時間。 8 ÷ 1/3 = 24(km/時)
3. 分速120mは、秒速2m。(60秒で120m進む → 1秒で、120÷60=2(m))
2 × 50 = 100(m)
答え 100m
もしくは、
50秒 = 5/6分。 120 × 5/6 = 100(m)
4. 24分 = 0.4時間
25 × 0.4 = 10(km)
答え 10km
単位が複数ある場合は、どちらにそろえるかを考えることが大切です。
分数や小数を使う場合も、計算がしやすくなる方にそろえましょう。
例えば、4番の時速25kmを分速に直そうとすると、分速1250/3 (m)となり、計算がややこしくなります。
理解でき解けるようになったら、あとは練習あるのみ!反復練習をしましょう!
「ドリる算数」では、基礎問題の練習が何度も楽しくできるようになっています。
速さの単位変換
速さの基本問題
単位の違う速さの問題
3. 旅人算の考え方を説明する
最後は、旅人算の考え方の理解度をチェックしましょう。
旅人算とは、2人以上の登場人物が、出会ったり追いかけたりする問題です。
では、典型的な4パターンの問題を見てみましょう。
※ 速さは知ってるけど、旅人算を知らないお子様でも考えれば解けます。ぜひチャレンジしてみてください。
兄は分速120m、弟は分速80mで進みます。
1. 兄と弟が同時に家を出て、同じ方向に歩きます。1200mの差が開くのは何分後ですか?
2. 弟が家から600m離れている地点を歩いている時に、兄が家を出発し弟を追いかけました。
兄が弟に追いつくのは、兄が家を出発してから何分後ですか?
3. 1km離れた場所から、兄と弟が向かい合って同時に歩き出します。何分後に出会いますか。
4. 兄と弟は同時に家を出て、兄は東方向に、弟は西方向に歩き出しました。
2人の間の距離が1200mになるのは2人が出発してから何分後ですか?
いかがでしょうか。
この4問を「2人の距離は、1分あたり何m縮まる(または広がる)ので〜」という説明の仕方で、お子様に問題の解き方を説明してもらってみてください。
解説です。
【解説】
1.2人の距離は、1分あたり40m広がるので、
1200 ÷ 40 = 30(分)
2.2人の距離は、1分あたり40m縮まるので、
600 ÷ 40 = 15(分後)
3.2人の距離は、1分あたり200m縮まるので、
1000 ÷ 200 = 5(分後)
4.2人の距離は、1分あたり200m広がるので、
1200 ÷ 200 = 6(分後)
いかがでしたでしょうか。
「120と80を足すのか、引くのか。」「距離が縮まるのか広がるのか。」これらを一度説明できるようになると、今後間違いがグッと減ります。
「ドリる算数」で、旅人算の練習もできます。
まとめ
「速さの基礎」に関しては、次の3つのポイントを説明しました。
●時間の単位変換をする練習をしましょう。分数や小数で表すことに抵抗がなくなるように練習しましょう。これができるようになると、時間の単位が速さの単位と揃っていなくても、抵抗なく解くことができるようになります。
●速さの基礎問題・単位が揃っている問題と揃える必要のある問題。速さの意味を確認した上で、素早く解けるように何度も練習しましょう。この練習を繰り返すことで、複雑な設定の問題も考えやすくなります。
●旅人算の基本問題で状況を説明してみましょう。一度説明してわかってしまえば、間違えることがなくなります。
以上です。速さの基礎は、一度理解して、反復練習すればすぐに身につきます。
ぜひ、練習して身につけてください。
※中学受験ナビの連載『中学受験算数の基礎力を伸ばす』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。