売買損益の基礎力を確認|中学受験算数の基礎力を伸ばす#2
突然ですが、お子さんは小学校算数に出てくる「売買損益」の単元は得意ですか?この記事では、中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんが、売買損益の基礎を3つのポイントに分けてお伝えします。算数の教え方に悩む保護者さんにぴったりですよ!
1. 整数と小数のかけ算・わり算
まずは、計算についてお話しします。
売買損益の単元では、整数と小数のかけ算・わり算を素早く処理する必要があります。
しかし、一つ一つ筆算をしていては、問題文の意味を見失いやすくなります。
なので、売買損益の問題に取り組む前に、頻出する計算を抑えておきましょう。
ここで、5問の計算問題を出します。お子様はどれくらいの速さで解けるでしょうか。
ぜひ、時間を測ってチャレンジしてみてください。(メモを使っても構いません)
[計算問題]
(1) 1200 × 0.8
(2) 2100 ÷ 0.7
(3) 1200 × 1.25
(4) 900 ÷ 0.75
さて、どうでしょうか。
30秒以内であれば、計算力は十分といえます。理想をいえば20秒です。
とはいえ、「筆算書いてたら、全然間に合いませんでした!」という状況のお子様もいるのではないでしょうか。
筆算を書かずに解くためには、このように考えましょう。
(1) 1200 × 0.8 = 12 × 8 × 10 = 960
(2) 2100 ÷ 0.7 = 21 ÷ 7 × 1000 = 3000
(3) 1200 × 1.25 = 1200 × 5/4 = 1500
(4) 900 ÷ 0.75 = 900 ÷ 3/4 = 900 × 4/3 = 1200
(1),(2)では、0の数を後から考えるようにして解きます。12×8や21÷7なら暗算できますよね。(できないなら練習しましょう!)
計算した答えが常識的な値段になってるかチェックする癖をつけるとミスも防げます。
(1200円の2割引きが、9600円や、96円になってたらおかしいですよね。)
(3),(4)は、小数を分数に変換し処理すると、速く計算できます。0.25 = 1/4,0.75 = 3/4などは、すぐに変換できるようにしておきましょう。
伸びしろがあるお子様に向けて、「ドリる算数」にて、整数 ×÷ 小数 や、小数から分数 の問題をご用意しております。やれば必ずできるようになるので、ぜひ練習をしてください!
また、「ドリる算数」では、次のような計算問題プリントを無料で何パターンもダウンロードすることもできますよ。
2. 売買損益の典型問題
次に、売買損益でおさえておきたい典型問題を確認しましょう。
次の問題、どれくらいの速さで解けるでしょうか。
ぜひ時間を測ってお子様に解いてみてもらってください。
(1) 定価400円の品物を2割引きで売ると,売値は何円ですか。
(2) 600円で仕入れた品物に2割の利益を見込んで定価をつけました。定価は何円ですか。
(3) 仕入れ値の25%の利益を見込んで,1500円の定価をつけました。仕入れ値は何円ですか。
(4) 定価の2000円の品物を1600円で売りました。定価の何%引きで売りましたか。
さて、どれくらいかかったでしょうか。
30秒以内であれば、良いですね。理想をいえば20秒です。
さて、解説です。
(1)
2割引 -> 0.8倍なので、
400 × 0.8 = 320(円)
(2)
2割の利益を見込む → 1 + 0.2 = 1.2(倍)なので
600 × 1.2 = 720(円)
(3)
25%の利益を見込む → 1 + 0.25 = 1.25(倍)なので
(仕入れ値) × 1.25 = 1500
仕入れ値: 1500 ÷ 1.25 = 1500 ÷ 5/4 = 1500 × 4/5 = 1200(円)
(4)
2000 × (割合) = 1600
(割合) = 1600 ÷ 2000 = 0.8 → 20%引き
さて、どれくらいかかったでしょうか。
ポイントは、
2割引き、20%引き 0.8倍
2割の利益を見込む 1.2倍
と変換することです。
あとは、整数と小数の計算力を使ってサクサクと解いてしまいましょう。
ここの処理を速くできるようにすれば、売買損益の複雑な問題も理解しやすくなっているはずです。こちらは、「ドリる算数」の売買損益 から練習できます。
3. 売買損益でよくある間違いを説明する
最後は、売買損益算のよくある間違いを説明できるかチェックします。「何を間違えているか」を深く考えることで、仕入れ値、売り上げ、利益を理解を深めてもらいましょう。
まず、売り上げと利益の関係を理解しているかチェックします。こちらの問題をお子様に解いてみてもらってください。(時間は測らなくて良いです。)
[問題]
(1) 120円で仕入れた商品を200円で売ると,利益はいくらですか。
(2) 1個80円でトマトを200個仕入れ、2割の利益を見込んで定価をつけました。
すべて売れたときの全体の利益はいくらですか。
こちらが解答です。
(1)
(利益) = (売り値) − (仕入れ値) なので、
利益: 200 – 120 = 80(円)
(2)
仕入れ値: 80 × 1.2 = 96(円)
1個の利益: 96 – 80 = 16(円)
全体の利益: 16 × 200 = 3200(円)
どうでしたか。
これができていれば、売買損益の言葉の意味はわかっているはずです。
もしわからない場合は言葉の意味を再確認しましょう。
では、次です。
今度は、売買損益算で間違いやすい問題と間違いの例です。
この解き方のどこが間違えているか、お子様に考えてみてもらってください。
[問題]
メロンを1個400円で100個仕入れました。5割の利益を見込んで定価をつけて売りに出したところ,
1日目は60個売れました。2日目は定価の2割引きで30個売りました。そして残りのメロンは古くな
ったので捨てました。全体の利益は何円になりましたか。
[間違い例]
仕入れ値: 400円
定価: 400 × 1.5 = 600(円) → 1個の利益: 600 – 400 = 200(円)
2日目の売値: 600 × 0.8 = 480(円) → 1個の利益: 480 – 400 = 80(円)
1日目の利益: 200(円) × 60(個) = 12000(円)
2日目の利益: 80(円) × 30(個) = 2400(円)
全体の利益 = 12000 + 2400 = 16400(円)
さて、どうでしょう。どこが間違いかわかるでしょうか。
間違いを一言で説明するなら、こうです。
「捨てたメロンの損失を計算していない。」
これをズバッと指摘できれば完璧です。
お見事!お子様は、売買損益の基礎を理解しているでしょう。
一方で、うまく説明できないお子様も多いかと思います。
その時は、この問題の正しい解き方を説明できるか、お子様に聞いてみてください。
ここでは、2通りの解き方を示します。
【解き方1】
3日目の損失を考えて、1,2日目の利益から引きます。
400円で仕入れたものを捨てると、1個あたり400円の損失になると考えます。
仕入れ値: 400円
定価: 400 × 1.5 = 600(円) → 1個の利益: 600 – 400 = 200(円)
2日目の売値: 600 × 0.8 = 480(円) → 1個の利益: 480 – 400 = 80(円)
1日目の利益: 200(円) × 60(個) = 12000(円)
2日目の利益: 80(円) × 30(個) = 2400(円)
3日目の損失: 400(円) × 10(個) = 4000(円)
全体の利益 = 12000 + 2400 − 4000 = 10400(円)
【解き方2】
「(全体の利益) = (売り上げ) − (仕入れ値の合計)」 を使って、考えます。
仕入れ値の合計: 400 × 100 = 40000(円)
定価: 400 × 1.5 = 600(円)
2日目の売値: 600 × 0.8 = 480(円)
全体の売り上げ: 600(円) × 60(個) + 480(円) × 30(個) = 50400(円)
全体の利益 = 50400 − 40000 = 10400(円)
いかがでしょうか。解けましたか。
【解き方2】の方が考えやすく、こちらで説明したお子様も多いかと思いますが、【解き方1】も説明できるようにしておきましょう。
そうすることで、利益への理解が深まり、解き方の幅が広がります。
まとめ
売買損益が苦手なお子様は、次の3つのポイントをチェックしましょう。
1つめは、整数と小数の計算。速く計算できるようにしておきましょう。
できれば、小数を分数に変換して計算するところまでできるようになっておくと良いです。
2つめは、売買損益の典型問題。
「20%の利益を見込む → 1.2倍」や「3割引き → 0.7倍」を確実に言い換えられるようにして、速く処理ができるようになっておきましょう。
3つめは、全体の仕入れ値、売り上げ、全体の利益を考えるときに、捨てた商品の損失を忘れないように。
2通りの解き方理解しておきましょう。
以上です。売買損益の単元が得意になりますように!
※中学受験ナビの連載『中学受験算数の基礎力を伸ばす』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。