共働き家庭が中学受験を成功させるための4つの必須条件
ひと昔前までは、中学受験といえば専業主婦のお母さんがいるご家庭が主流でした。しかし、今は共働き家庭のほうが多数派になっています。親がやるべきことの多い中学受験。共働き家庭でも上手に進めていくための条件を、ベテラン中学受験指導者・宮本毅先生が具体的に解説します。
1.子どもの学力と自立度に合わせた塾選び
「中学受験は親のサポートが必要」といわれています。
とはいえ、親がつきっきりで勉強を見る必要はなく、共働き家庭でも中学受験をさせることは可能です。
ただし、子どもがまだ幼いぶん、親がフォローしてあげなければいけないことはあります。
たとえば、子どもの健康管理や日々の学習管理、塾とのやりとりなどです。
塾に通っても家庭の負担はゼロにはならない
中学受験をするのなら、それに特化した指導をしてくれる大手進学塾に通うのが一般的です。
しかし、大手進学塾は受験のための充実したカリキュラムや情報は揃えていますが、各家庭のフォローまではあまりしてくれません。
「宿題」や「テスト直し」といった学習は家庭で進めていくことになります。
その負担度は通う塾によって違ってきます。
共働きなら面倒見のいい塾の検討を
共働き家庭の場合、親が四六時中勉強を見ることはできませんから、子どもの学力や学習習慣の有無、自立度によって塾を選ぶ必要があります。
子どもがある程度、自分で勉強を進められるというのであればいいのですが、そうでない場合は、できるだけ面倒見のいい塾を選んだほうがいいでしょう。
大勢の子が通う大手進学塾ではなく、生徒一人ひとりに目が行き届く小規模塾や個人塾を検討するのもひとつの方法です。
2.塾の宿題を効率的・効果的に進めるルールづくり
中学受験の勉強は、塾で新しい単元を習い、宿題で定着させ、テストで理解度を確認するという流れで進めていきます。
共働き家庭の場合、塾から出される宿題は、できれば子どもの力だけでやってほしいものです。
宿題の進め方のルールを決めてルーティーンに
しかし、多くの場合、子どもだけに任せてしまうと「やりっぱなし」で終わってしまいます。
宿題というのは問題を解き、答え合わせをし、間違えた問題を解き直して理解できてはじめて完了します。
子どもに任せると解いておしまいか、せいぜい丸付けをして終わり。それでは学力は上がっていきません。
そこで、あらかじめ家庭でルールを決めて宿題を進めましょう。
宿題は解いて、自分で丸付けをして、間違えたところは解き直しをしておく、というところまでは、とりあえず子ども自身にやらせてみてください。
終わったら、「宿題BOX」に入れておくようにします。
親御さんは仕事から帰ってきたら、宿題をチェックします。
このようにルールをつくり、ルーティーンにしておくことが、つきっきりで見ていなくてもうまくいく秘訣です。
子どもはみんなカンニング経験者、ときどき疑うことも必要
ただし、宿題をチェックした際に全部に丸が付いているときは要注意です。
実は成績の良し悪しに関わらず、子どもはみんな一度はカンニングをするものです。
とにかく早く宿題を終わらせたくて、こっそり答えを写してしまう子もいるでしょう。
「ちょっと怪しいな……」と思ったときは、ランダムに「この問題をもう1回解いてみて」とやらせてみたり、「この問題の解き方をお母さんに教えてくれる?」と抜き打ち解説をさせたりするといいでしょう。
そこで“しどろもどろ”になったら、カンニングを疑っていいでしょう。
×がついていて、きちんと解き直しをしている(ように見える)場合も、ときどき疑ってみてください。かなり巧妙に、ところどころに×を入れて、“やっているフリ”をする子もいます。
こうした行為はよくないことですが、カンニング自体は決して特殊な事例ではありません。
中学受験の勉強はそれぐらい子どもにとって負担が大きいということを、保護者の皆さまにはぜひ知っておいてほしいと思います。
3.テスト直しは返却後すぐに・本質を見失わないように
テスト直しも重要です。
多くの塾では、週ごとにその週に学んだことを確認する小テスト、ある程度まとまった範囲の問題が出る月例テストがあります。
答案が戻って来たら、テストでわからなかったところ、間違ったところをそのままにせず、やり直して、正解できるようにすることが大切です。これがテスト直しです。
テスト直しは返却された週末に
テスト直しは、答案が戻って来たらすぐにやるのが基本です。
とはいえ、平日は親御さんも仕事で忙しいことでしょう。
共働き家庭は、週末にじっくり付き合ってあげてください。
普段はお母さんが中心に勉強を見ているというのであれば、週末はお父さんが勉強を見てあげられるといいですね。
テスト直しを通して我が子の学力レベルを知っておく
親にとって、テスト直しで重要なのは、点数や偏差値に振り回され過ぎないこと。
テストを受ける本当の意味は、今現在の学力レベルを知ることです。
中学受験は子どもがまだ小さいため、「わが子には、まだまだ伸びしろがあるはず」と、つい親の期待も大きくなってしまっています。
中学受験で、親の期待が大きすぎて親子で疲弊してしまい、家庭がうまくいかなくなってしまうケースは決して少なくありません。
「わが子のために」と思って始めた中学受験で、子どもにつらい思いをさせてしまうのは本末転倒です。テスト直しを通して冷静にお子さんの学力を測り、くれぐれも無理のない受験を心掛けてください。
4.夫婦の分担と協力がカギ
忙しい共働き家庭でも、ある程度子どもに任せて毎日やるべきことを決め、無理のない受験を心掛けていれば十分に対応できます。
ただし、共働き夫婦にとって、中学受験を成功させるには絶対条件があります。それは夫婦間で協力することです。
同じ社会で働く立場であるなら、夫婦で家事を分担するなり、平日はお母さん・週末はお父さんが勉強を見ると担当を決めるなり、夫婦で役割分担をしておきましょう。
夫婦の片方の負担だけが大きいと、家族は笑顔でいられなくなってしまいます。
小学生の子どもにとって、一番の安心感は両親の笑顔です。両親のどちらかが、「なんで自分ばかりが忙しいんだ!」といつもイライラしていたら、子どもは落ち着いて勉強に向かうことなんてできません。
子どもの自立のためには共働きのメリットも大きい
そもそも、中学受験とは、どれだけ子どもが自立しているかが問われるもの。
親がずっと見ていなくても子ども自身で勉強を進めていけるようになれば、子どもの自立につながります。
共働きで親がつきっきりで勉強を見てあげられないことは、うまくいけばメリットのほうが大きいのです。
※中学受験ナビの連載『今一度立ち止まって中学受験を考える』から記事を抜粋し、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。