- 掲載
- 2026年07月11日 11:01
ほうれん草から玉ねぎ、トマトまで! 離乳食との相性抜群、共働き家庭を支える野菜の冷凍術 #子育てギモン相談所
保育園の送り迎えや宿題の丸付け、仕事、休む暇のない家事……。時間も精神的なゆとりもまったくない日々で、共働き家庭の心をそっと支えてくれるのは、冷凍庫に眠る「自家製冷凍野菜」かもしれません。今回は、冷凍野菜のリーディングカンパニーであるニチレイフーズに自家製冷凍野菜の作り方や活用術についてお話を伺いました。
お話してくださった方
笹嶺 舞依子さん
(ニチレイフーズ/広報・CSRグループリーダー)
使い勝手のよさで、冷凍食品の売上は右肩上がり
ーーお惣菜やレトルト食品、冷凍食品を食卓に出すとき、どうしても罪悪感が芽生えてしまうのはなぜでしょう。
笹嶺舞依子さん(以下、笹嶺) 昔から「お母さんが手間ひまかけた手作りごはんこそすばらしい」という価値観が根強くありますよね。それはすごくいいことだと思いますし、本当は「食事を大切にしたい」という思いがあるからこそ、葛藤するのだと思います。「吟味した食材を使ったり、旬の食材を手間をかけて下ごしらえしたり、そんな食卓を囲めたらいいな」という理想は誰しもあるのではないでしょうか。
一方で、現実的には毎日そこまで手をかける時間を確保するのは難しいですよね。そんなときに、冷凍庫に冷凍野菜があると、とても助かる存在になります。
ーー買い物に行く時間や下ごしらえの時間が短縮でるだけでなく、子どものごはんを作る上で「ちゃんと栄養があるものを用意できた」という気持ちにもつながります。
笹嶺 そうなんですよね。少し歴史の話になりますが、1950年代、小学校を皮切りに学校給食が始まりました。当時は、戦後の影響もあり「5人に1人が栄養失調」と言われる時代でした。
そうした状況の中で、育ち盛りの子どもたちに栄養価の高い食事を届けるため、当社は給食事業にいち早く参入しました。学校給食向けに提供していた『三色スティック』は、タラ・サケ・イカなどを主原料にしたスティック状のフィッシュフライです。
品質や規格が均一で、大量調理が短時間でできる点も重宝されました。その背景には「子どもの栄養不足」という社会課題がありました。「多くの子どもたちに、同じサイズ・同じ栄養素のものをまんべんなく届ける」その目的を実現する手段として、冷凍食品が活用されてきたのです。
現代の共働き家庭の多忙さも社会課題といえますが、そんななかで実は、冷凍食品の売上が右肩上がりなんです。
ーーなぜでしょう?
笹嶺 コロナ禍で外出や買い物の機会が制限され、「保存が利く食品」として冷凍食品に注目が集まりました。そのタイミングで実際に購入された方々が、「便利で、しかもおいしい」という価値を実感されたのだと思います。一度試していただいたことがきっかけとなり、継続的に利用される方が増えたと感じています。
さらに、テレワークの普及により、昼食などを手軽に用意したいというニーズも高まり、冷凍食品の活用シーンが広がっていると認識しています。
ーー冷凍食品に触れ、さまざまな良さを実感したんですね。
笹嶺 冷凍野菜も同じように伸びていますが、特に伸びているのが自然解凍でそのまま使えることをウリにしている「そのまま使える 九州産のほうれん草」や「そのまま使える 高原育ちのブロッコリー」といった商品です。
笹嶺 そのままサラダとして出せるし、お浸しにできるし、お弁当にそのまま入れられるし、使い勝手の良さでニーズが高まっています。
家庭でできる、上手な自家製冷凍野菜のつくりかた
①「買ってきたらすぐ冷凍」で栄養キープ
ーー家庭で冷凍する際、おいしく・栄養そのままにできるコツはありますか?
笹嶺 まずは、買ってきたフレッシュな野菜を冷蔵状態で置いておくと、栄養価は比較的早く低下していきます。ですが冷凍すると、その減少が極めて緩やかになることが確認されています。ですのでより栄養価の高い状態で保存するには、買ってきてすぐに下ごしらえして、冷凍するのがオススメです。
ーー冷蔵と冷凍に、そんなに違いがあるんですね。
笹嶺 たとえば、グリンピースのビタミンC保持に及ぼす温度影響についてのこんなデータがあります。
笹嶺 -1℃で冷蔵すると数日間で一気に下る一方、-18℃で冷凍すると栄養価の下がり方はかなり緩やかなんです。
また、12月が旬のほうれん草の場合、12月がもっとも栄養価が高いんですね。しかし、5、6月まで冷凍していても栄養価はさほど変わらないんです。
笹嶺 これは、旬の時期に冷凍しているからなんですよね。弊社の冷凍野菜も、旬の時期に収穫したものを冷凍して流通させていますが、栄養価を保ちながら安定供給や価格の安定にもつながる点が大きな特長です。これは冷凍野菜の魅力のひとつといえます。
②下ごしらえは「すぐに使える形にカット」
ーーほうれん草からうかがいたいのですが、冷凍前にどんな下ごしらえをすればいいですか?
笹嶺 まずは全体的に水洗いして、根本の土を落とし、ざく切りにします。
笹嶺 そしてキッチンペーパー等で水気をしっかり拭き取ります。水気がなくなったら、フリーザーバッグにまんべんなく入れて、平らにして空気を抜きます。
笹嶺 この状態で冷凍すると、炒め物で使ったりおみそ汁に入れる際、バラバラと使いたい分だけ使うことができます。
ーー一方でブロッコリーは、自宅で冷凍したものを解凍すると柔らかすぎておいしくなくなってしまうんですが、なにか対策はありますか?
笹嶺 ブロッコリーは茹でるとつぼみのなかに水が入ってしまい、つぼみに入った水が冷凍され、解凍したときにべチャっと水っぽくなるためです。ご家庭で水気をしっかり切ることが難しい場合は、生のまま冷凍するのも一つの方法です。
玉ねぎは、冷凍すると火が通りやすくなります。「シャキシャキしていて辛味があって苦手」というお子さまもいると思いますが、冷凍すると辛味や硬さがやわらぎ、すごく食べやすくなるんです。
ーーいままで玉ねぎを冷凍したことはなかったです。丸ごと凍らせるわけではないですよね?
笹嶺 うちは薄切りにして冷凍していますが、くし切り、みじん切りなど、ご自宅でよく使う切り方で下ごしらえしてみてください。もちろん丸ごとでもいいですよ。コンソメと一緒に煮ると「丸ごと玉ねぎスープ」を作れます。フレッシュな玉ねぎを丸ごと煮込むと時間がかかりますが、冷凍玉ねぎは柔らかくなるのが早く時短になります。
笹嶺 同様に大根も用途により下ごしらえがさまざまです。うちはおみそ汁に入れることが多いので、主にいちょう切りにしていますが、冬場に旬のいい大根が手に入ったときのオススメは、輪切りです。
ーーさきほどの玉ねぎと同じように、煮込みやすいからでしょうか?
笹嶺 そうですね。1本買ってきても、すぐには食べきれないじゃないですか。食べきれない部分は輪切りで冷凍して、後日のおでんの具材にする。生鮮の大根と冷凍大根では、味の染み込み方や食感が全然違うんです。
ほかにも、きゅうりは水分がすごく多く含まれていますよね。冷凍すると食感が変わるので、それを逆手に取り、そのまま塩もみして食べるとおいしくいただけるんです。
笹嶺 トマトも水分が多いですが、冷凍するとちょっと膨らむんですよね。そんな冷凍トマトに流水をかけると、皮がぺろんと剥けるんです。
ーーなるほど! 湯剥きいらずということですね。
笹嶺 はい、便利なんですよ。
ーーきゅうりやトマトは冷凍に向かないという認識でいましたが、そうではないんですね。
笹嶺 「向き・不向き」で考えるのではなく、「冷凍した状態に合った調理方法」を選ぶことが重要です。例えばごぼうなどは繊維が多いのでそのまま冷凍することは不向きかもしれません。でも、きんぴらごぼうのようなメニューに調理してから冷凍すると、食感が変わらずに食べられます。
ーーレタスなどの水分多めの葉物はいかがでしょう?
笹嶺 ほうれん草のように食べやすい大きさに下ごしらえして冷凍できますが、おっしゃるとおり水分量が多いので、どうしても解凍の過程で水分が多く出がちです。同時に旨みも流れ出てしまいます。だから私は、凍ったままスープに入れたりチャーハンの具材にしますね。
キャベツも同様に、冷凍のまま炒め料理に使います。水分が出てきたら片栗粉で止めてうま煮にすると、流れ出た旨みをそのまま味わうことができます。
とにかく、そのまま使える状態に下ごしらえをして冷凍して、冷凍のまま調理するのが大原則でありベストだと思います。
一度冷凍した野菜は、生鮮には戻りません。ならば、冷凍したからこそのおいしく・便利な食べ方をしよう、というアイデアなんですよね。
ーーいろいろと目からウロコがありましたが、これまで消費者に驚かれた意外な食材はありますか?
笹嶺 「とうもろこしは皮付きのまま冷凍してください」とお話しすると驚かれます。皮付きの理由は、風味をそのまま閉じ込めた状態にできるからです。調理も、皮付きのままレンジで加熱するのがオススメです。
【とうもろこしの冷凍保存】皮つき冷凍で鮮度キープ!レンジ活用テクも。 | ほほえみごはん-冷凍で食を豊かに-|ニチレイフーズ
笹嶺 あとは、こんにゃくですね。冷凍こんにゃくで生姜焼きを作ると、お肉に近い食感になっておいしいんです。
【こんにゃくの保存方法】開封後でも1ヵ月保存できるテクニック | ほほえみごはん-冷凍で食を豊かに-|ニチレイフーズ
ーーそれは驚きますね! こんにゃくを冷凍しようという発想がありませんでした。
笹嶺 ほかにも、みなさまが感心してくださるのがもやしです。安いのでまとめ買いしがちですが、もやしって足が早いじゃないですか。気づくと冷蔵庫のなかで「もう食べられないな」という状態になっている。だから食べきれないと判断したら、早めに冷凍してみてください。
洗わずに食べられるもやしは、そのまま冷凍することができますが、もやし特有の臭みが気になる場合は、一度洗ってから冷凍するとおいしく食べられます。もやしも水分が多い野菜なので、冷凍すると少ししんなりします。そのため、シャキシャキ感を活かすよりは、スープやナムルにするのが向いています。
【もやしの冷凍保存方法】おいしさキープのコツや賞味期限も解説! | ほほえみごはん-冷凍で食を豊かに-|ニチレイフーズ
③家庭用冷凍庫でもできる「急速冷凍」に近づけるコツ
ーー自家製冷凍野菜と市販の冷凍野菜の大きな違いを教えてください。
笹嶺 最大の違いは冷凍スピードです。食品メーカーは一気に-30℃、-40℃で凍らせます。一方、ホームフリージングで家庭用冷凍庫を使う場合は、だいたい-18℃~-20℃くらいでゆっくり凍っていきます。
このグラフの「最大氷結晶生成温度帯」(グラフの青い帯の部分)、つまり「氷結晶が大きくなる温度帯」に留まっている時間が長ければ長いほど、ベチャベチャになる原因が生まれるんです。
笹嶺 このとき何が起きているのかというと、この時間が長ければ長いほど(赤い破線)、水がゆっくり凍っていくことでどんどん食品が抱えている水分が膨らんでいき、中の組織を壊してしまうんです。
ですが、食品メーカーの急速凍結(緑の線)は、この時間を素早く通りすぎるんです。そうすると氷結晶が大きくなる前に追加するので、食品自体の組織をできるだけ壊さない状態で食品を凍らせることができるんですね。
ですので、自家製冷凍野菜を作るときに重要なのは、「この時間をできるだけ素早く通りすぎる」ということです。
ーーそのためにはどうすればよいでしょうか?
笹嶺 ご家庭にある金属製のバットを活用してください。金属製のバットって熱伝導がすごくいいんですよね。熱くなりやすく、冷たくなりやすい。
ーーちなみに、冷凍野菜に保存期限はありますか?
笹嶺 家庭での冷凍野菜は、「おいしく食べられる期間」として、3週間~1ヶ月程度が目安です。「冷凍庫に入れたら半永久的に大丈夫なのでは」と思う方もいらっしゃると思いますが。
ーーまさにそう思っています……! 凍らせれば腐ったりカビたりしないだろうと。
笹嶺 菌は-10℃から-12℃以下で活動を停止するので、おそらく大丈夫だと思います。ただ、ご家庭の冷凍庫は頻繁に開け閉めをしますよね。開け閉めによる温度変化は、必ず食品に影響を与えているんです。だから「冷凍焼け」という現象が起き、風味が落ちることがあります。
笹嶺 月に一度、冷凍庫の整理日を設けて、使っていない冷凍野菜は全部おみそ汁や鍋などに入れて使い切るのがいいかもしれませんね。
時間も余裕もない乳幼児期こそ、冷凍に救われることがある
ーー離乳食にオススメの冷凍野菜はありますか?
笹嶺 オーソドックスなのがほうれん草、ブロッコリー、しらず、かぼちゃ、トマト、バナナ、さつまいもあたりでしょうか。いちばん大変なのが、離乳食の初期の下ごしらえだと思います。丁寧にすりつぶして裏ごしして、という作業が大変なので、その都度作らずに済むように、裏ごししたものを製氷機に入れて凍らせているご家庭も多いのではないでしょうか。凍らせてもおいしさにはそれほど影響がないですしね。
ーー大人用に調理しているものを、途中で離乳食用に分けて保存しておくということもよくありますよね。
笹嶺 そうですねよくあるのは、カレーや煮物を作っているとき、カレー粉を入れたり味つけをする前、出汁で煮た根菜をいくつか取り出して冷凍する、とか。
ーー笹嶺さんご自身が重宝したレシピはありますか?
笹嶺 初期はほうれん草やかぼちゃ、にんじんのペーストを作っては凍らせていました。後期くらいになると、おやきをまとめて作って凍らせていましたね。その時期は育児休暇から復帰したあとで、一番辛くて。
ーー仕事、保育園の送り迎え、家事育児……フルコミットしなければ回らない時期ですもんね。
笹嶺 そうなんですよ。時間と精神的なゆとりがまったくない状態でしたね。復職後は時間的にも精神的にも余裕がなく、週末にまとめて幼児食を作り、冷凍して平日に備えていました。
いま子どもたちは高校生と中学生なんですが、私の帰りが遅い日の夕食は、あらかじめ冷凍しておいた食事をレンジで温めて食べてもらっています。冷凍も電子レンジ調理も可能な保存容器を活用しています。下にごはんを敷き詰め、緩衝としてラップをかけ、その上におかずを何品か乗せて丼のようにしています。
ーーとても便利ですね!
笹嶺 そうなんですよ。「週末にちゃんとやってくれた自分、ありがとう!」と、下準備をしていた自分に感謝しています(笑)冷凍は時間を越えて家族を支え、同時に自分自身の負担も軽減してくれる存在だと実感しています。
ほほえみごはん-冷凍で食を豊かに-|ニチレイフーズ
https://www.nichireifoods.co.jp/media/
(取材・文/有山千春、取材協力/ニチレイフーズ)
