「カレンダーの日付」に隠れた法則性、いくつ知ってる?|「数学力」が育つ言葉がけ#6
「数学の力」というと早くても小学生以降…というイメージかもしれません。しかし、もっと幼い2歳からの言葉のかけ方次第で子ども数学力は伸びるのです。書籍『子どもの「数学力」が自然に育つ2歳からの言葉がけ』(植野義明 著)より、幼児期の今しかできない、家庭での言葉がけのヒントをご紹介! 第六回は「次は何色?」です。
パターン認識力を育てる|パターンを見つけよう
「次は何色かな?」
私たちは、パターン認識の能力を日常のさまざまな場面で使っています。例えば、簡単なルールに従って並べられた物を見たとき、多くの人はその列をちょっと見ただけで、どんなルールで並べたかわかります。
同じような能力は幼児にもあるのでしょうか。
そのことを確かめるために、子どもと簡単なパターン遊びをしてみましょう。
次に来るのは何かな?
テーブルの上に、チョコレートとキャラメルをいくつか交互に並べて見せ、「この次には何が来ると思う?」と聞いてみます。もちろん、並べるものはおもちゃの宝石やトランプなど、身近にあるものなら何でもかまいません。
例えば、宝石を「赤、青、赤、青」と交互に並べて見せたとします。「次は何色かな?」と言葉がけをすると、小さな子どもでも、「次は赤だ!」と答えます。
「そうだね。赤と青は『かわりばんこ』に並んでいるものね」
では、3つの色を使って、「赤、青、黄、赤、青、黄」と並べた場合はどうでしょう。この場合も子どもは簡単に規則を見抜きます。これは3拍子のリズムで並んでいます。
同じ3拍子でも、2色だけを使って「赤、青、青、赤、青、青」とした場合はどうでしょうか。
このときも、子どもは瞬時にパターンを理解し、「赤だ!そんなの簡単だよ」と嬉しそうに報告してくれます。問題が解けたときの嬉しさは、大人でも子どもでもまったく変わりません。
このゲームは、◎、△、☆のような形を使うバージョンでも遊べ、原理はまったく同じです。いくつか遊び方のヒントを下図に示しておきますので、いろいろなバリエーションを考えてみてください。子どもに問題を出してもらうのもいいですね。
規則とリズムを見つけよう
規則性は、数学の基礎であるだけでなく、音楽、美術、体育の基礎としても重要な認知能力です。
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\言葉がけのコツ/
子どもが問題を出すのもOKにする
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コラム|カレンダーの数字と規則性
規則性は、生活の中で起こるいろいろな事物の中に潜んでいます。ちょっと注意して見るだけで、面白い規則性に気づくことはいくらでもあります。
例えば、カレンダーの数字を眺めているだけでも、いろいろな規則性に気づきます。これは、数の計算がある程度できるようになった5歳以上の子どもや、計算に興味をもち始めた子ども向けです。
下はある月のカレンダーです。
4の下には11があり、14の下には21があり、24の下には31があることに気がつきます。
同じことですが、数字7の列を下に見ていくと、7、14、21、28と、7ずつ増えています。これは、他の縦列についても同じです。
では、数字3から斜め左下にたどっていくとどうでしょう。3、9、15、21、27と、3の倍数ばかりが並んでいます。一方、数字8から斜め右下にたどっていくと、8、16、24と、今度は8の倍数ばかりが並んでいます。
それ以外のどこから出発しても、斜め45度にたどった数字はすべて偶数か、すべて奇数となっています。
カレンダーから1、2、8、9のように四角く並んだ4つの数字のかたまりを取り出します。この4つの数字を斜めに足してみると、1+9=2+8となっていることに気づきます。このことは、四角く並んだどの4つの数字についてもいえそうです。
つながった3つの数字についてはどうでしょうか。
横に並んだ6、7、8について、両端の6と8を合計すると14で、真ん中の7のちょうど2倍になっています。また、縦に並んだ3、10、17についても、上下の3と17を合計すると20で、真ん中の10のちょうど2倍になっています。
あるいは、斜めに並んだ2、8、14についても、両端の2と14を合計すると16なので、真ん中の8のちょうど2倍になっています。カレンダーの数字には、これ以外にもいろいろな面白いパターンがあることがわかります。
こうした発見は、カレンダーを眺めているときにふと気づくことも多いものです。どんな発見ができるか、子どもと話してみるのも楽しいですね。
書籍『子どもの「数学力」が自然に育つ2歳からの言葉がけ』について
\「考える力・見つける力」の芽を育てよう/
いつでもできる簡単な言葉がけで子どもの数学力(算数力)は大きく伸びます。
■子どもの数学的な力を育む「言葉のかけ方」をお教えします
子育てでは、子どもへの声がけや話しかけが、とても大切です。子どもを伸ばす、子どもが変わるなど、様々な話しかけ方の書籍があります。本書は、子どもの数学的な力が自然と育つ、言葉のかけ方、話しかけ方を紹介する初めての本です。
■考える力の「芽」を育てよう
小さな子どもの能力は無限大。幼少時にちょっとした声がけをしながら一緒に遊んだり、ゲームをしたり、実験をしたりすることで、考える力の「芽」はどんどん育ちます。
「こっちには何個入っているかな?」
「点をつないだら、何に見える?」
「これと同じ形はできるかな?」
「どうしたらいいと思う?」……などなど、
少しのきっかけを作ってあげるだけで、子どもの頭はフル回転しはじめます。
■2~6歳のいまだから渡せる一生モノのギフト
著者の植野氏は、数学を教えて35年の経験から、幼少時の習慣が数学(算数)の力を育てることを実感しています。日々、いつでもできる話しかけで、お子さんに生涯使える大きなギフトを贈ってあげてください。
著者|植野 義明(うえの・よしあき)先生について
東京大学非常勤講師、くにたち数学クラブ代表、日本数学会会員、数学教育学会代議員。東京大学理学部数学科卒、東京大学大学院で数学を専攻、理学博士。1986年より東京工芸大学講師、准教授。2021年4月、定年退任と同時に国立市で3歳から100歳までの人たちが数学の美しさに触れ、数学で遊び、数学が好きになれる場所として「くにたち数学クラブ」を設立、代表。著書に『考えたくなる数学』(総合法令出版)がある。