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2024年07月27日 07:08 更新

「娘のほうが正しい知識を持っている」野々村友紀子さん×「キモイは絶対使わない」益若つばささん 先輩ママに聞く【思春期の子ども】

子どもが性的な物事への興味関心を持つのは自然なことですが、親は戸惑ってしまうことも。高校3年生と高校1年生の娘を育てる野々村友紀子さんと、高校1年生の息子を育てる益若つばささんは、性的なトピックとの付き合い方について、どうしているのでしょう。そこにはひとつの共通点がありました。

「好きなキスシーン」を娘が教えてくれる

ーー思春期にもなれば、子どもも恋愛やセックスへの興味を持ち始めます。赤ちゃんのときから見ている我が子だからこそ、親は性教育の一環として性的なトピックを話したくても難しいということも多いようですが、おふたりはどうですか?

野々村友紀子さん(以下、野々村) うちは次女が小学校高学年のときに、マンガのキスシーンにすごい興味を持つようになり、マンガ雑誌『ちゃお』のかわいいキスシーンのページに付箋を貼っていたことがありました。「これなに?」「見ないでよお~!」なんてやりとりもかわいくてちょっと笑ってしまいましたが、こういうことに興味が出てきたんだなと気づく出来事でしたね。

ーーとてもかわいいエピソードですね!

野々村 見て見ぬふりはしたくないと思っていますが、幸い娘たちは「こういうタイプが好き」とか「こういうキスシーンが好き」と教えてくれます。ふたりとも、パパがいても食卓で恋バナをすることに抵抗はないようですし、特に次女の学校では性教育が進んでいて、授業で避妊具が配布され使い方も教わっているようです。

野々村 SNSの使い方も危惧していましたが、悪い情報がある一方でしっかりとした情報も入ってくるみたいで、娘から私に「こういう性被害の事件が多いんだって」とか、「性病って怖いんだよ」と教えてくれたりして、自分でも学ぼうとしているのかなと思います。

ーー情報を取捨選択できて、素直に話してくれる関係性、とてもすてきですね。生理についても「今日はつらい」など言えますか?

野々村 言えます。娘も申告してきますが、「ママもいまそうなんだよ。今日はしんどいからUberにしよう」とか自分も話しますね。娘が「ママ今日はしんどそうだから、私がごはん作るよ」と優しい一面を見せてくれることも増えたので、お互いになんでも言えることの良さを実感しています。

ーー益若さんはいかがですか?

益若つばささん(以下、益若) うちは性教育についてあえて一対一で話すというよりは、友達を含めてみんなで恋愛も性や身体の話もざっくばらんにしています。私の友達が遊びに来たとき、恋バナに息子も参加することも普通にあります。息子の友達もいたりして、みんなで恋バナするの、おもしろいんですよ。

突然「あらたまって聞き出す」とピリつくから

ーーそういった話題をざっくばらんに話すほうが、子どもの耳に入っていきそうですね。

益若 それはあると思います。かしこまらないほうがいいのかも。あとは、野々村さんもおっしゃっていましたが、ニュース番組を観て事件を題材にながら話すこともあります。「男性は気づいたら加害者になってしまうことも多いんだよ」とか、「女の子を妊娠させてしまう可能性があるんだよ」とか。

野々村 普段から話し合う態勢のベースができていないと、こういう話をしたときに急にピリッ! となるので、普段から話しておいたほうがいいですよね。何でも喋れる状態って、大事だなと思います。

益若 子どもの話を「聞き出す」というよりも、情報を出し合える環境を当たり前に作っておきたいですよね。真面目で優しいお母さんほど、「探らなきゃ・聞かなきゃ」となってしまいがちですが、そうすると子どもは「なんで答えなきゃいけないの?」と引いてしまいそう。「親もめっちゃ喋るしなあ」という環境にいるお子さんのほうがオープンなイメージがありますね。

益若 うちは恋愛はゆっくりだと言いつつ、息子の友達の恋バナを一緒に聞くことはよくあるんです。聞いていると、何歳になっても自分たちが学生のころと似ていることがたくさんあって、恋愛の話っていつの時代もみんな同じなんだなあと思います。人を好きになるもどかしさとかが楽しくて、つい共感してしまいます。

野々村 うちの娘も、自分のこと以上に友達の恋愛話はすっごい言ってきますね。「◯◯ちゃんがこんな恋愛をしていて、私はこう思うんだけどママはどう思う?」みたいな。そんな中で、スマホで裸の写真を送り合っているカップルがいるという話が出たことがありました。その子たちのママが見つけて大問題になったことがあったんです。そういうときは「ネットに残るから、そういうことは絶対にダメだよ。危険だよ」という話はしましたね。

親が思う以上に、子どもたちはリテラシーを学んでいる

ーースマホやSNSの使い方については、どんなアプローチしていますか?

野々村 うちは子どものスマホは、小学生のときや中学生の最初のころは、細かく設定して管理化に置いていました。お友達との関係もあるので、そのときそのときでお友達のSNSの進み具合を聞いて設定し直したり、めんどうくさかったですね。アプリごとに設定したり、キーワードを設定したり、というのを最初にやっていました。
 そんな中でも「友達のスマホでこういうのを見た」というのを包み隠さず教えてくれていたので、それならもう少しラインをゆるめようかなとか、このくらいの恋愛マンガならOKかなとか、グラデーションを細かく広げていきましたね。
 でも、こっちが細かく設定しても、広告とかでギョッとするような性描写とか入ってきてしまうんですよね。「なんでこんな広告出すんや!」というのがあるじゃないですか。

ーーそうなんですよね。どんなに細かく設定しても、成人向けマンガの広告などがふいに出てきます。メディア側も規制しているのにかいくぐって出てくるのでイタチごっこだと聞きます。

野々村 娘とふたりでスマホを見ているときにそういう広告が出てきて、「結構こんなん出るの?」と普通に聞くと「もっとエグいの出るよ」と教えてくれたので「どんなん出るの?」「それはちょっと現実的じゃないねえ」と話したり。見て見ぬふりはせず、普通に会話しています。益若さんはどうですか?

益若 息子はSNSアカウントは作っていますが発信はしていないんです。息子が小さいときにお風呂上がりに裸でなかなか服を着てくれなかったので、写真を撮るふりをして「これ、全世界に発信しちゃおうか」と言ったことがあったんです。そうしたら「やめてー!」とすぐに服を着ましたが、「そんなふうに裸で歩いていたら、全世界に発信されちゃうこともある世の中だから、気をつけなさい」と言ったことを覚えていて、今のところはSNSをやりたいとは思っていないようです。

益若 それに、子どもが自分の個人情報を発信していたら、男の子とはいえ誘拐や性被害の可能性が高まるのが怖いと思ったんですよね。私はこういう仕事をしているのもあって、「マンホールの写真ひとつで家を特定されてしまうんだよ」とずっと言っているし、私がSNSをやっているのを見ているから、息子は「芸能の仕事をしていない人にとって、SNSはあまり意味がない」と言っています。

ーーそれは、元祖インフルエンサーの益若さんのお子さまならではですね。

益若 学校の友達もSNSに興味がないようで、助かっています。興味がある子がたくさんいる学校だと、きっと「TikTokやインスタをやりたいと言っているけど、どこまでやらせてあげていいのか」と悩む親御さんは多いのではと思います。

野々村 でもいまの子どもたちは、私たちよりも性に関する正しい知識や情報リテラシーを学んでいると思います。学校で当たり前のように習っていて、逆に私のほうがSNS投稿を「これ、背景写ってない?」とか注意されますもん。うちの娘は最近発信をし始めましたが、瞳の中の写り込みを拡大して消したりしていますから、徹底しているなあと思います。

益若 しっかりしていますね。

野々村 情報リテラシーも性に関することも、子どもたちは私なんかよりよっぽど進んでいるし、学んでいますね。

家族で見ているドラマでベッドシーンになったら……?

ーー私たちが子どものころって、テレビドラマのベッドシーンが流れて食卓が凍る、という経験をみんなしてきたように思います。

野々村 昭和のときはたしかにね、誰かが動いたら負けやから、身動きもできへんしね。いまはうちは気まずくならないし、むしろ子どもが「こういうのいいなあ」「きれいだなあ」と言ったりするので、私たちもあたふたせずに済んでいます。

益若 うちもほかのシーンと変わりなく見ていますが、“立ったら負け”感はちょっとありますよね(笑)。子どものころは、「いま、親ってどう思っているんだろう」と思っていましたが、自分が親になった今では、うちの親も別に普通に見ていたのかもしれないなと感じました。だって18禁の作品を一緒に見ているわけではないし、制限のない作品の描写ですからね。

野々村 ベッドシーンになったら消す、みたいなことは、かえってよくないですよね。「これって良くないものなの?」という感覚を植え付けてしまいそう。

益若 そうですよね。こちらが隠すようになったら、子どもは隠れて見るようになるかもしれません。親が制限をしたところで無限に情報を得られてしまうので。やっぱり共有してくれたり、困ったときに相談してくれる環境づくりが大事だと思います。

ーー私は小学生の息子たちがちょっとエッチなアニメを見ていることが心配になることがあります。胸元がやたら強調されていたり、鼠径部の書き込みが細かったり、子どもがそういったアニメをじっと観ている姿を見ると「あまり見てほしくない」という気持ちになってしまいます。ときには、よくないと思いつつも「ちょっと描写が気持ち悪いね」と口出ししてしまうこともあって……。どう思いますか?

野々村 自分が好んで見ているものを親から「気持ち悪い」と言われたり、好きなものを貶されるとすごく不愉快に感じるのは、私も自分が子どものころにあったので、言い方が難しいですよね。

益若 もし子どもがそういうアニメを見ていたら「この手のアニメって、みんな胸が大きいし、こういうビキニが映る描写が多くない? みんなこういうのが好きなのかな? 受けがいいのかな?」と、客観的な“作品への言及”として聞くと思います。我が家ではよくそういう観点で話をします。「このパッケージのこのデザイン、なんでこの構図なんだろうね?」とか「この会社のロゴがかっこよく見えるの、なんでだろうね?」とか、作り手がどのように見せたいか、という話をよくするんです。だからそういったアニメに関しても、フラットに聞くかなと思います。

野々村 うちも、私とパパがよくそういう話をしているからかもしれませんが、娘はテレビを見ながら「なんでここにテロップを入れてるんだろう」とディレクター目線になることがありますね。すごい生意気な感じですけど。アニメも監督が誰かとか制作会社がどこかを気にして見ているようです。

益若 私は「気持ち悪い」というワードは使わないようにしています。思春期の始めころかな、一時期、姪っ子がなんでも「キモイ」で片づけることがあったんですよ。そのとき「『キモイ』というワードはいつだって言わないほうがいいし、それは語彙力がないだけだから。もっとちがう表現を考えて言ったほうがいいよ。おもしろくないし」と伝えました。
 「キモイ」は便利な言葉ですが、それだけでまとめてしまうのって、せっかくほかに表現があるのにすごくもったいないし、私も好きじゃないし息子にも使わないでほしいと思っています。

ーー乱暴な一言にまとめず、言葉を尽くすことが大切なんですね。おふたりとも、ありがとうございました。

野々村友紀子さん/放送作家

1974年8月5日生まれ、大阪府出身。コンビ芸人、会社員を経て放送作家に転身。2002年2丁拳銃の川谷修士さんと結婚し、2006年に主婦業に専念するため仕事をセーブ。放送作家をしていた2016年、バラエティ番組で夫の相方である小堀裕之さんへの歯に衣着せぬダメ出しで話題になると、テレビ出演が急増した。現在はコメンテーターとしても活躍中。2児の母。

益若つばささん/モデル・タレント・実業家

1985年10月13日生まれ、埼玉県出身。高校生の頃から読者モデルとして雑誌『Popteen』で人気を博し、ティーンのカリスマ的存在に。現在はモデル、美容関連商品のプロデューサーとして活躍。2021年6月、自身のYouTubeチャンネルで子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」の装着手術を受けたことを告白し、話題となった。1児の母。

(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)

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