動画クリエイター・ゆもんちさんに聞く40代からの家づくり。きっかけは「母の認知症」
動画クリエイターのゆもんちさんは、現在、夫(41歳)、次女(20歳・学生)、長男(15歳・高1)、三女(4歳・年少)の5人で福岡県に暮らすステップファミリー。今年、賃貸住宅から新築一戸建てに引っ越し、YouTubeチャンネルでもルームツアーを公開したゆもんちさんに、家づくりのきっかけやこだわりポイントを聞きました。
■長女は独立、「ずっと賃貸でいい」と思っていたけれど
昨年まで広めの賃貸住宅に暮らしていたという、ゆもんちさん一家。上はすでに独立・結婚した長女(21歳)から下は年少さんの三女まで、4人のお子さんがいますが、あえて今、新居を建築した理由は?
ーー以前は賃貸住宅に住んでいたそうですが、暮らしやすさはどうでしたか?
ゆもんち これまで何度か引っ越しをしながら賃貸住宅に住んでいました。最後に住んだのは庭付き・2階建てのメゾネットタイプの賃貸住宅。長女が独立したので次女と長男は個室があったけれど、全体的にはコンパクトな家で、玄関は2人並んで靴を履けないくらい狭かったし、洗面所も狭くて三女と一緒にお風呂に入るときの大変さを感じていました。でも、上の子たちも年齢的に数年で独立するだろうし、そのまま賃貸に住むつもりでした。
ーーどんなきっかけで、注文住宅を建てることになったのですか?
ゆもんち 3年前に母が認知症と診断されたんです。その少し前から症状は出ていて、診断されたときにはだいぶ進行している状態でした。それまでできていた家事ができなくなって、実家の生活が大きく変わっていました。たとえば、食事を作るときに何を入れるかわからなくなったり、調理途中で作るのをやめてしまったり。父は仕事の後に買い物をして帰宅して、食事を作り母に食べさせる毎日になり、仕事と家事と介護を負担している状況でした。
父をサポートしたい気持ちはあったけれど、実家と私の自宅は同じ福岡県内でも車で1時間の距離。三女を出産したばかりで、頻繁に手伝いに行くのが難しい状況でした。そこで、私たち家族が近くにいれば両親をサポートできるな、と。実家の敷地は庭が100坪くらいあったこともあり、これを機に新居を建ててもいいのかな、と考え始めました。
ーーパートナーとはどんなことを話し合いましたか?
ゆもんち 夫は若いときに母を病気で亡くしていて、自分が何もしてあげられなかった後悔があったそうです。だから私の母のことも「できるうちにできるだけのことをしよう」と力強く言ってくれました。
ーーゆもんちさん自身にごきょうだいはいますか?
ゆもんち 私は兄が2人います。実家の庭に広い土地があったのも、父がいずれ子どものだれかが家を建てられるように、広めの土地を買ったそうです。きょうだいでのトラブルは避けたいし、3人でしっかり親を支えてあげたいという思いがあったので、私たち夫婦が実家の隣に家を建てて両親をサポートしたいことを兄たちに伝え、それぞれの家族の確認を取りました。それで、私たちが新居を建てることが決まったのが2022年の年末ごろでした。
■チェーンソーで庭木の伐採からスタート!
ーーゆもんちさん一家の家づくりはどんなことから始めたんですか?
ゆもんち まずは実家の庭の整地から。少しでも節約するために、自分たちで作業したんですが、これが大変でした! 庭には梅やびわやキウイなど果実のなる木がいくつもあって、そのほかにも植栽や垣根、生い茂った雑草も。樹木を切るためにチェーンソーを買ってきて、 枝を切り落として、廃棄するためにさらに細かく切って、雑草を抜いて……という作業に半年くらいかかったと思います。毎週末、1時間かけて実家へ行き、夫と父と一緒に作業しました。
天気が悪くて庭の整地ができない週末はショールームを見に行き、平日は毎晩のように間取りのことを考えていました。
ーー建築会社の決め手は?
ゆもんち これまで賃貸住宅で何回か引っ越しをして、間取りで生活の質が変わると実感していました。だから間取りを自由に決められることを最優先して、大手ハウスメーカーではなく小回りの利く地元の工務店にお願いすることにしました。
■方眼ノートに毎日間取りを書いて試行錯誤
ーー家の間取りはどんなふうに考えたんですか?
ゆもんち 自分の理想のイメージを図面にしないといけないけれど、土地の形に対しての家屋の配置とか、駐車場にどのくらいのスペースが必要かとか、素人の私たちにはわからないことだらけで。まずは5mm方眼のノートを買ってきて、方眼2マスで1畳と計算をして間取りを書いてみることから始めました。
間取り図の作り方をネットで検索しながら、部屋や階段の配置を考えました。階段もストレート階段か曲がり階段かによって必要なスペースが変わること、階段下は何畳くらいのスペースになって、どのくらい有効利用できるのか、といったことも調べながら学びました。「マドリー」というサイトでは、坪数で検索すると間取りのサンプルが見られるので、そういう例も参考にしながら、家の方角など自分たちの土地に照らし合わせて考えました。
ーー自分たちで一から図面を引くなんてすごいですね! 間取りを考えるときにこだわったことは?
ゆもんち 一番重視したのは、回遊動線にして家事ストレスを減らすこと。玄関からリビング→ダイニング→キッチン→ランドリースペース→ファミリークローゼット→玄関と、ぐるっと回れる動線を確保したかったんです。そうすれば、帰宅後まず手洗いしてからリビングに行ったり、買ってきた食材をすぐに冷蔵庫に運んだりできます。
ゆもんち あとは、収納の場所と量を確保すること。家族が多いぶん、ものが増えやすく、いつのまにかリビングが散らかってしまいがちです。片付けのストレスを減らすために、衣類はランドリースペースで洗濯したあとすぐにしまえる収納を作り、その隣にファミリークローゼットを設置する、というふうに動線と収納の量にこだわりました。
そして、自分たちの老後のことも考えて、1階にはリビングのほかに寝室用の部屋を作りました。自分の親を見ているとわかるんですが、高齢になると2階に上がるのがしんどくなるんですよね。いずれは1階だけで生活できるようにして、2階は客間か倉庫にしようと考えています。
ーー間取りが決まるまでにどのくらいの期間がかかりましたか?
ゆもんち 毎日方眼用紙のノートにいろいろと書き込んで、2~3カ月くらいかかったと思います。自分たちの希望の間取りが決まったところで、工務店に見せて打ち合わせをしました。すると、このリビングの幅に対しては柱を何本入れないといけない、大きな梁を入れないといけない、といった構造上の問題点がわかりました。図面を修正しながら、3回くらい工務店と打ち合わせをして、やっと間取りが完成しました。
●ゆもんちFamily
パパ(41歳)
ママ(43歳)
長女(21歳) 第一子を出産し里帰り中
次女(20歳)看護学生
長男(15歳)高校1年生
三女(4歳)
愛犬(まろ チワワ)
大家族ゆえ、食料品・日用品のほとんどをコストコでまとめ買い。大量に購入した品物の仕分け、保存、作り置きや、家事貯金動画が人気。2024年1月末に新居完成。仕事・育児・介護とフル回転の中、6月には長女が里帰り出産をしかわいいお孫さんも誕生。
●ゆもんちさんのYouTubeチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@yumonch
(写真提供:ゆもんちさん 取材・文:早川奈緒子)