子どもの語彙力を鍛えるには? 日常生活の中でボキャブラリーを充実させよう
小学校の国語テストでは、熟語の読み方を答えたり熟語を漢字に直したりする問題がよく出ますよね。ではお子さんは、その熟語の意味までちゃんと理解できているでしょうか?語彙力が不足していると、学年が上がるにつれて国語に苦戦することになります。プロ家庭教師・みみずく先生が、家庭でできる子どもの語彙力アップ術を教えてくれました
語彙力が貧弱だとテストでどう困る?
漢字の読み書きや慣用句・ことわざの知識はテストの問題となります。
一方、語彙力自体が直接試される問題が出題されることは多くありません。
とはいえ、中学受験をするなら、学校によっては言葉の意味を問うてきたり、語彙力が貧弱だと解けない記号選択問題があったりします。
テストで答えるべきは辞書的な意味
テストの長文読解問題で、本文中の言葉に傍線が引かれていて、「傍線部について、本文中での意味を答えなさい」という設問になっていることがあります。
このタイプのテスト問題を解く場合、「本文中での意味」だから文脈判断しようと考えると失敗します。
たとえ「本文中での」と書かれてあっても、テストで答えるべきは辞書的な意味です。
太宰治『走れメロス』の冒頭に「メロスは激怒した」とあります。
この「激怒」の辞書的な意味は「はげしく怒ること」です。
そのため、文脈から判断して「悪を許せずに怒ること」などを選ぶと不正解になります。
こうした辞書的な意味を正しく理解しているかどうかがテストにも生きてくる語彙力です。
本文の読解や選択肢の検討にも語彙力が必要
語彙力が貧弱だと、国語のテストで本文を読んだり、選択肢を選んだりできなくなります。
たとえば、芥川龍之介『鼻』には、「内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。」という一文があります。
「自尊心」の意味がわからなければ、内供が苦しんでいる理由を理解できません。
また、テスト問題の選択肢の中で「自尊心」が「プライド」に言いかえられている場合、「自尊心」の言いかえが「プライド」であると知らなければ、正誤の検討もあいまいになります。
本文の読解や選択肢の検討を正確に行うためには、言葉の意味を知っていると同時に、言いかえのストックも必要です。
子供の語彙力を鍛えるために、保護者は何をすればいいの?
子供の語彙力を鍛えるために、保護者は何をすればいいのでしょうか?
日常生活の中で簡単にできるのは、言葉の意味を説明させることと別の言葉で言いかえさせることです。
子供の語彙力を鍛える方法1:言葉の意味を説明させる
保護者が子供と一緒にニュースを見ているとします。
このとき、アナウンサーが「配慮」という言葉を言ったら、保護者は子供に「『配慮』ってどういう意味?」と聞いてみます。
このように、子供に言葉の意味を説明させることを日ごろから行っていると、子供の語彙力は自然と鍛えられます。
これを行う上で注意すべきは、子供が間違っても責めないことです。
間違いを指摘する場合は、「惜しいけれど、ちょっと違うかな?」などと、軟らかい言葉を使います。
また、保護者が正解を教えるのではなく、辞書を引かせるようにすると、教育効果がいっそう高まります。
辞書は常備しておきたいところです。
子供の語彙力を鍛える方法2:別の言葉で言いかえさせる
保護者が子供と会話する場合、ある言葉を別の言葉に言いかえさせるのも語彙力の鍛錬になります。
子供が「遠足が楽しかった」と言ったら、「『楽しい』だけだとわかりにくいから、『楽しい』を別の言葉で言いかえてみて」と保護者が聞き返します。
子供が悩んでいるようなら、「公園で友達と鬼ごっこをしたとき、どういう状態だった?」などと保護者がヒントを出すといいでしょう。
こうした会話を通して、子供は言葉の使い方を学び、ボキャブラリーを充実させていきます。
勉強の中で覚えた言葉を日常生活で使おう
国語の問題集を使って暗記した言葉はすぐに忘れるものです。
これらをテストのときにも使えるような、実践的なボキャブラリーとして定着させるには、覚えた言葉を日常生活で使うのが一番です。
こうして鍛え上げられた語彙力は、実際のテストでも活きてくることでしょう。