竹内由恵さんインタビュー【3】子どもと離れることへの罪悪感。「もっと仕事を減らした方がいいのか」悩んだ日々を抜けて
元テレビ朝日アナウンサーの竹内由恵さんは現在、静岡で二児の子育て中。一方でタレントとして活躍し、仕事の際は子連れ上京しているというパワフルぶりですが、「仕事と育児のバランス」で悩むこともあるといいます。
■「懐かしい悩みが再び出ています(苦笑)」
ーー竹内さんにとって仕事をすることは精神的にもすごく重要なのだと思いますが、「育児と仕事のバランス」で悩まれることはありますか?
竹内 あります! 長男のときは特に、1人目というのもあって、 離れることへの罪悪感がすごくありました。別に保育園に預けてもいいのに、現場に連れていくことも多かったです。いまでも長時間子どもと離れる日が何日か続くと、「大丈夫かな」「子どもにとってあまり良くないんじゃないか」と、罪悪感がどうしても生まれます。
竹内 もっと仕事の量を減らした方がいいんじゃないかと悩んだこともありました。でも自分自身も仕事をちゃんとしていたほうが気持ちが安定することは確かなので、仕事を減らすのもやっぱり違うなというところに落ち着きました。自分がハッピーでないと、子どもとの時間も楽しめなくなっちゃったりするので、そこはすごく大事だなって思っていますね。
ーー本当にそうですよね。
竹内 仕事が忙しくて子どもとの時間が減っちゃってるなと思ったら、自分の休みの日にたとえ平日でも保育園をお休みして一緒にいる時間を作るとか、そんなふうにバランスをとっています。子どもって結構、敏感じゃないですか。離れる日が続くとやっぱり不安定になったり、シグナルを示してくれるので、それにすぐ気づけるようにしていたいですね。
ーー妹が生まれることで、上のお子さんの赤ちゃん返りはありましたか?
竹内 ちょうどイヤイヤ期で、すごかったですね。下の子への嫉妬とか、ちょっかい出したりちょっと意地悪したり、みたいなことも結構あって、すごく激しくママっ子になったりもして……すごく大変だったな、と今では振り返れます(笑)。ようやくその時期を抜けました。最近はちょっと落ち着いて、下の子にも優しくしてくれます。私が特に何かしたわけじゃなくて、息子の成長でその悩みが解消されたという感じですね。
今の悩みはどちらかというと、下の子が全然離乳食を食べてくれないっていう、その懐かしい悩みが再び出ています(苦笑)。
ーーここは一度通った道だぞ、という(笑)。
竹内 またこの悩み、久しぶり~みたいな感じで。 全然食べてくれないんですよね、バナナとパンしか食べない。みたいな感じ。一方で、息子がすごく好きだったものでも娘は食べなかったり、その逆もあったりで、子どもって一人ひとり違うので、同じジャンルでも違う悩み方になるんだなって感じています。
■子どもが「好き」をたくさん見つけられるように
ーーお子さんたちの将来について、どんなふうに育っていってほしいと思いますか? ご夫婦でそういったお話をすることってあるのでしょうか。
竹内 まだ小さいので将来っていうほどのことはないんですけど、よく夫と話しているのは、月並みですけど「 優しい子に育ってほしいね」ということです。
「優しい」って、すごく本質的なものが大きいと思っていて、それも才能なんじゃないかって思うこともあります。大人になってあらためて気づくのですが、優しい人はやっぱり周りから好かれるし、助け合うことができるし、本当にプラスしかない。「自分が損をしても、人に譲ってあげる」みたいなことって、そのときはマイナスかと思いきや、最終的には自分に返って来るなあとも思うんです。
ーー「情けは人の為ならず」とも言いますよね。
竹内 そうですね。我が子に対しては、本人の性格をしっかり観察して、 いいところを伸ばしてあげたいと思っています。個人的には、やっぱり自分は仕事が好きで楽しいなと思ってやっているので、子どもたちにも自分が好きなことをたくさん見つけてほしいなっていうふうに思います。
ーー習い事はしていますか?
竹内 3歳半の息子は学習塾のようなところに通っています。一応、小学校受験を目指している子が入るようなところなのですが、画用紙をはさみで切ったり、貼ったりとか楽しくやっていますね。
ーー小学校受験を考えているんですか?
竹内 いえいえ、まだ全然決めていなくて。のびのびとみんな周りも過ごしているので、私も焦らずに「ちょっとやってみる?」ぐらいな感じで、一応……という感じです。ただ本人がすごく楽しそうにしているので、それが一番だなと思っていて。あとは体を動かす運動系の習い事はさせてあげたいですね。ほかにも子どもをよく観察して、好きなことに関連することを色々挑戦させてあげたいな、と思っています。
■浜松に来て良かった!
ーー結婚して移り住んだ浜松での生活についても教えてください。
竹内 水がきれいで子どもの遊び場もたくさんあって、すごくいいところです!
夫の実家の家族たちも仲が良くて、毎週末、義実家に親戚一同が集まってごはんを食べるんです。なんだか本当に大家族になったような感じがします。大人たちみんなでワイワイ話しながら、子どもたちも同い年ぐらいのイトコ同士で遊んで、それを見て大人も笑って……みたいな時間がすごく幸せで楽しくて、本当にありがたいなって。毎週とても楽しみです。
私が体調を崩したりして大変な時期も、親戚や義理の母に助けてもらいました。はじめは誰も知り合いがいなかったけれど今は友達もできて、仲良くしてもらっています。人がみんな温かくて、浜松に来て良かったなあと思っています。
ーーすてきですね。Instagramでも活発に発信されていますが、フォロワーさんのコメントも温かいですよね。
竹内 それに支えられて、元気をもらっています。みなさんのおかげでインスタでのマンガ発信を続けてこられましたし、今回、書籍にしていただくこともできました。
一番救われたなと思っているのが、息子の「ママイヤ期」でした。あるとき突然「ママ嫌だ、パパがいい!」という時期があって、私はすごくショックを受けてしまったんです。大人げなく夫に嫉妬してしまうくらいで……。
竹内 でもそれをマンガにしてポストしたら、「うんうん、わかります」「うちもパパっ子」「大丈夫ですよ、少ししたらママ好きにまた戻りますよ」とか、いろんなコメントをいただいて。いろんな人から「自分はこういう子育てしてます」みたいなコメントをもらえると、特に悩んでいるときにはものすごい救いになりました。本当にありがたいですね。
ーー竹内さんのマンガでは、育児のその時々の悩みや発見が、クスッと笑える視点で描かれていますよね。書籍も楽しみです。
竹内 書籍はInstagramで公開したエッセイマンガが元になっているんですけれども、それにプラスして書き下ろしのマンガもあり、Instagramを見てくださっている方にももう1回楽しんでもらえる内容にできたらいいなと思ってます。表紙のイラストは色鉛筆で描いて手作り感満載なイメージにしました。是非、お手に取ってもらえたらうれしいです。
竹内由恵さん/タレント、元テレビ朝日アナウンサー
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。08年、テレビ朝日入社。『ミュージックステーション』『やべっちF.C.』など数々の番組で司会をつとめる。Mステ8代目サブ司会として、番組史上最長の5年間を担当。15年には『スーパーJチャンネル』メインキャスターに。19年3月に一般男性との結婚を発表し、同年末日にテレビ朝日を退社。夫の勤務地である静岡県に移住後、数カ月の専業主婦期間を経て、タレントとして活動を再開。21年に第一子、23年に第二子を出産。
(写真:本人提供 取材・構成:マイナビ子育て編集部)