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2025年03月18日 07:14 更新

不登校だから得られるチャンスもある!? 学校に行かない時期に親子で見つけたいこととは|植木和実さんインタビュー #3

不登校専門オンラインプロ家庭教師イエローシードラビー代表で『ずっと不登校でも1年で希望の高校に合格する方法』(日本実業出版社)著者の植木和実先生。植木先生に不登校の子の勉強や進路、将来の考え方をうかがいます。第3回では、不登校の我が子への接し方や、不登校中の時間の使い方について聞きました。(全4回)

第2回では、不登校時の家庭学習のコツや、子どもがなかなか勉強に取り組んでくれないときの声かけの方法などをうかがいました。今回は、不登校の子が受験準備をする際の保護者の心構えなどについて聞きました。

とにかく子どもを否定しない。応援だけを

――不登校の子の受験準備のために、特に大切なことは何でしょうか?

植木 たとえば、今まで不登校だった中学生の子どもが、高校受験をしたいという希望がある場合、大事なことは「チャレンジしてみる」ということです。とてもハードルが高く感じるかもしれませんし、何から始めたらいいかわからないかもしれません。でも、絶対にチャレンジしたほうがいい。もしも万が一、希望が叶わなかったとしても頑張ったことや培った学力は絶対にその後にプラスに働きます。

ただ、その過程で、最初はどうしても「頑張りたい気持ち」や「焦る気持ち」、「でもうまくできないという思い」が混在して、思うように進まないこともあるかもしれません。あの新幹線だって、動き始めはゆっくりで、駅のホームでは歩いている人に抜かれるほど。ゆっくりでいいので、始めることが大事です。ご家族も見ていて不安になるかもしれませんが、そこはどうぞ、「ゆっくりでも大丈夫、始められたことを褒める」ことに徹していただけるといいかなと思います。

――なるべく子どもに圧力をかけずに、応援することが大切なのですね。

植木 そうですね。たまに、保護者の方から「ただでさえ遅れていて、勉強しなければいけないことはわかっているのに、なぜやらないのか?こんなに時間があるのに。」というお声も聞きます。ごもっともです。でも、それが通じないのが子どもなので、ゆっくりでも少しずつでも、前に進むことをよしとしながら、応援するのがいいようです。そうしているうちにコツを掴んで、勉強するようになります。

――頭では「子どもにプレッシャーを与えてはいけない」とわかっていても、焦ってしまいそうです。

植木 勉強など、やらなきゃいけないことが山積みなのになかなか先に進めない我が子に対して「どうしてうちの子はこうなんでしょう」「子どもの気持ちがわからない」というご家族の声も多いです。でも、裏を返せば、それこそがその子の生きづらさでもあります。一緒に工夫することは大事なことかもしれません。例えば、やるべきことを認識しやすいように、今日やることをリビングの方ワイトボードに書き出すことも有効でしょう。

一口に「勉強」と言っても、何をすればいいのか具体的ではないので、「この問題集の〇ページを解いて丸つけをする。わからなかったら今は飛ばしておいて、明日先生に質問する。理解したら覚える」など、行動をより具体的にするとよいです。大きなステップを、より具体的な小さなステップに分けていく感覚です。こうして工夫して成功したことは、子どもたちが生きていく上での大事な知恵になります。そして、そのモチベーションは、やはり「やりたいこと」や「こうなりたい」という気持ちです。好きなことややりたいことがある子は、本当に強いです。

学校に行っていない時間で「好きなこと」を見つけて

――不登校の子が勉強以外にしておいたほうがいいことはありますか?

植木 ぜひ、子どもの好きなことを見つけてください。不登校なら、学校に行かない時間を使って集中して好きなことを探せます。平日に旅行していろいろな経験をさせてもいい。あらためて動物園や美術館に連れて行って、子どもを観察してみるのもおすすめです。

図書館の本を、好きなだけ読ませる。お手伝いのプロになってもらう。「1泊2日、家族4人で、予算はいくら。みんなの楽しめる旅行のプランを作ってください」とお題を出してみて、実行する。好きなマンガの聖地巡礼をする。神社めくりをする……などなど、楽しいと思う気持ちから、得意や好きがひとつでも見つかればそれが突破口になって「私はこれで生きていきたい」というものができるかもしれません。

――それなら、学校に行っていない時間を親子ともに前向きに捉えられそうです。

植木 好きなことがあれば道は開けてくるということも多くの生徒に教わりました。

一例ですが、私の生徒の中にどうしても法律を学びたい子がいました。弁護士になりたい。幼い頃から社会情勢に興味があり、政治に対する知識も相当なもの。とにかく視野が広いのです。持って生まれた物差しが、人より大きかった。それは、彼のせいではありません。なかなか、通常の学校というカリキュラムの中では、彼が疑問を抱くことも多く、それに完璧に応えるだけの答えを学校側も用意できませんでした。結果、彼は16歳で高卒認定試験を受験し全教科一発合格、17歳で行政書士やファイナンシャルプランナーの資格も取得し、そのまま法学の道に進みました。

ほかにも、不登校の時間の中で自分と向き合い、好きを探して、「ファッションやメイクで人を応援することが好き。そんな仕事に就きたいから、ここの大学に行きたい」「コミュニケーションロボットを作る仕事に就きたい。だから大学はここに行って、ここに就職したい」と、具体的に話す子も多かったです。その子たちは、その後、迷わずそこに進学しました。

――それはすごい! 好きなことを突き詰めた結果ですね。

インタビュー第4回では、子どもが進路を決められない場合の保護者の接し方や、「夢をきっかけに将来の道が開けた」植木先生の教え子のエピソードについてうかがいます。

(取材・文:佐藤華奈子/編集:マイナビ子育て編集部)

植木先生の著書『これだけで大丈夫! ずっと不登校でも1年で希望の高校に合格する方法』では、不登校から高校合格までの具体的な方法がわかりやすく解説されています。

具体的な学習の進め方や教科別の学習ポイントなど、詳しく知りたい方はぜひ手にとってみてください。

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