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2025年03月20日 07:53 更新

AIで子どもたちの未来はどう変わる? AIの特別企画を開催中の日本科学未来館で聞いてみた!

AIが社会を変える!と言われるけれど、子どもたちが大きくなるころ、いったい世の中はどうなっているのでしょう? 日本科学未来館で開催中の特別企画「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」を担当した科学コミュニケーターの瀬戸翔吾さんに、AIについて、子どもたちの未来について、素朴な疑問をぶつけてみました。

日本科学未来館
特別企画「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」を開催中の日本科学未来館

「AIが社会を変える!」なんて耳にすることが増えました。子をもつ親としては、「うちの子が大きくなるころ、いったいこの世の中はどうなっているんだろう」と、考えてしまいます。

そんな話題のAIを体験できる特別企画が、日本科学未来館(東京都江東区)で開催中です。

「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」は、実際に生成AIによるコンテンツ制作体験を通じて、未来がどうなっていくのかを考えさせてくれる展示。

今回、とっておき体験部![※]メンバーとともに日本科学未来館を訪れ、特別企画の生成AIを体験してみるとともに、企画を担当した科学コミュニケーターの瀬戸翔吾さんに、AIについて、子どもたちの未来について、素朴な疑問をぶつけてみました。

そもそもAIとか、生成AIとかって、なんなの?

特別企画「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」を担当した科学コミュニケーターした科学コミュニケーターの瀬戸翔吾さん
特別企画「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」を担当した科学コミュニケーターの瀬戸翔吾さん

――そもそもAIって何なんですか? コンピュータと何がちがうんですか?

瀬戸さん:そうですね、まず、大きなちがいとして、コンピュータは電子機器、ハードウエアと呼ばれるものです。一方でAIは人工知能、ソフトウエアです。字の通り、人工的につくられた知能で、学習して推論ができるプログラムです。実際に使用してみると、人間並みの知能を持っているように感じると思います。

――AIと、生成AIというのも、何かちがうんですね?

瀬戸さん:生成AIはAIの種類の一つです。生成AIは学んだことを元にして、テキストや画像などを新たに生み出すことができるのが特徴です。しかも生成AIの多くは、わたしたちが普段使っている言葉を使って指示を出すことができるんですよ。

生成AIを使ってコンテンツを作ってみよう!

ipadで体験できる「AIでオリジナルキャラクターをつくろう」
会場に設置された複数のタブレットで、生成AIを使ったコンテンツ制作体験ができる。入力は、文字でも、音声でも可

――今回の特別企画では、生成AIを使った体験ができるとのことですが。

瀬戸さん:タブレットを操作し、生成AIを使ってコンテンツを作ってみる、という体験を、いくつかご用意しています。

たとえば、「AIでオリジナルキャラクターをつくろう」という体験。

3つのキーワードを入力すると、それを元に、生成AIがキャラクターイラストを描いてくれます。

こちらが、実際に生成AIに描いてもらった、わたし自身のイメージキャラクターです。

生成AIによる瀬戸さんのイメージキャラクター「おしゃべりハッピー発電所」
生成AIが描いた瀬戸さんのイメージキャラクター(画像提供:日本科学未来館)

――わ、楽しいイメージですね! これは、どういうキーワードを入力したんですか?

瀬戸さん:「おしゃべり」「ハッピー」「発電所」です。

――発電所(笑)!? それで電気が出てるんですね。

瀬戸さん:はい、そのとおり。

そして、「おしゃべりハッピー発電所」というのも、実はAIに考えてもらった、わたしのキャッチコピーです。

「AIで自分のキャッチコピーをつくろう」体験では、自分を表すキーワードを3つ入力すると、生成AIがキャッチコピー候補を考えてくれます。わたしの場合は、「明るい」「元気」「人と話すことが好き」の3つを入力しました。

これらの体験では、AIの回答に納得できない場合、一度だけ入力するキーワードを変更して再度試すことができる仕様にしています。どう入力を変えたら、どうAIの回答が変化するかも、実際に体験して注目してもらいたいポイントです。

AIで子どもたちの未来はどうなる?

AIが制作した10年後のスナップ写
AIが制作した10年後のスナップ写真が、スクリーンに映し出されていく

――AIって思った以上に簡単に、楽しく使えちゃうものなんですね。爆発的に広がる理由が少しだけわかってきました。でも、そうすると、社会はこれからどうなっていくんでしょう? なくなっていく仕事もあると言われますが……。

瀬戸さん:そうですね、まるで会話するかのように、誰でも簡単に使うことができるというのが、ここで紹介している生成AIの大きな特徴の一つです。

展示の中では、今後、日常生活やビジネス、医療、教育などさまざまな分野でAIがどのように関わっていくのかを解説しているパネルもあります。なくなっていく仕事もあれば、逆に新しく生み出される仕事もあるはずなのでパネルを見ながら考えてみてください。

それに、先ほど皆さんが楽しく使えたように、役に立つか立たないかではないかたちでわたしたちに関わって、日常をより豊かにさせてくれるかもしれません。

また、「10年後の暮らしをスナップ写真にしよう」という体験コーナーも用意しています。10年後の未来の暮らしと、AIとの関わり方を50字以内で入力し、画像のテイストを選ぶと、生成AIが10年後のスナップ写真を作ってくれますので、是非、あなただけの未来をつくってみてください。

AIとの付き合い方は? 子どもが使うときの注意点は?

――今後、AIがますます普及し社会を変えていくとなると、AIをうまく使えるのかどうかが大事になってきそうです。AIをうまく使いこなすコツはなんですか?

瀬戸さん:まず、自分が何をしたいのかを、しっかりもつといいと思います。AIはそのサポートに使う、と意識するんです。

たとえば、「もっとうまく歌いたい」と思えば、「AIに歌をアドバイスしてもらおう」といった使い方が自然と見えてくるはずです。

わたし自身、歌が好きでよく歌うのですが、AIのほうが正確に歌えるからといって「代わりに歌ってもらう」という結論になると、わたしはがっかりしちゃいます。

だから、AIに歌い方を指導してもらい、自分が上達するほうが、わたしにとっての「うまいAIの使い方」になります。逆に、「人間にはできない表現の歌が聞きたい」という人であれば、また違ったAIの使い方が見えてくるかもしれませんね。

――親という立場からは、子どもがAIを使うとき、どんな点に注意すればいいのかということも気になります。宿題の答えをAIに聞いたり、読書感想文をAIに書かせちゃったりしそうですし……。

瀬戸さん:まさに、「子どもがAIに頼りすぎて、自分で考えなくなるのでは?」と心配する来館者の方も多くいらっしゃいますね。そんなときは、「AIが得意なことを理解する」のも一つの方法かもしれません。

たとえば、「ChatGPTに聞くのは1日3回まで」とルールを決めているご家庭の話も聞いたことがあります。

しかし、AIは一度で最適な答えを返すとは限らず、AIとの会話のラリーを重ねることでより良い答えを得たり、新たな視点を得たりする使い方もされています。 この場合は、AIの使用を厳しく制限することでかえって子どもが自分で考える力を養う機会を失っているかもしれません。

これはAIが得意なことの一例にすぎませんが、こうした特性を理解したうえで、「AIをどう活用するのが適切か」を親子で話し合ってみると、回数制限よりも実用的で効果的なAIとの関わり方が見つかるかもしれません。

「AIにネガティブな考えをもつ方を、無理にポジティブにする必要はないと思う」と語る瀬戸さん
「AIにネガティブな考えをもつ方を、無理にポジティブにする必要はないと思う」と語る瀬戸さん

――最後にもうひとつ、AIをめぐる考え方のちがいについて質問させてください。AIには「なんとなく怖い」「近づきたくない」と、ネガティブなイメージをもつ人は少なくありません。いっぽうで、AIを使ってどんどん仕事を効率化していて、「AI使わないなんてとんでもない」という人もたくさんいる。どうしたら、この溝を埋められるんでしょう?

瀬戸さん:わたしは、AIにネガティブな考えの方を、無理にポジティブにする必要はないと思っているんです。ネガティブなところを大事にするのでいいんじゃないかなと。AIにポジティブな印象をもっている方も、ネガティブな方もいるという前提でものごとを考えるといいと思っています。

この問題、実際には、ポジティブとネガティブにきれいにふたつに分かれるわけではなく、もっと複雑なもののはずです。たとえば、こういうシーンではAIの力を借りたいけど、こういうシーンでは借りたくない、といったことが、人によってもちがうし、同じ人でも、ときにより、場合によって、答えが変わってくるかもしれない。

今回の展示では、具体的に、こういうときにAIを使ってみたいか、いくつか例をあげて問いかけ、考えてもらう仕組みを用意しています。

たとえば、両親から「家族みんなでいつまでも健康に暮らしていきたいね。生活習慣や体の状態からAIで寿命を予測して一緒に長生きを目指してみない?」と言われたら、あなたはなんと答えますか?

正解はありません。人によって結論は変わるはず。それが、特別企画のタイトルになっている「わたしスタイル」でもあります。「わたしスタイル」が自分とちがう人は、どうしてその考えに至ったのか、その背景にあるものは何なんだろうと考えてみる。もしかしたら、結論は逆でも、背景には通じ合えるものがあるかもしれません。

AIの普及による社会の急速な変化によって、個人の生活や働き方だけではなく、身近な人との関係性も変わってくるかもしれない。それこそ、家族の中、親と子でも、意見が対立するかもしれないですよね。そんなとき、無理やり相手の意見を変えさせようとするんじゃなくて、まず相手の意見の背景にあるものを考えてみる、そういう考え方が大事になってくるんじゃないか。今回の特別企画が、そういったことを考えるきっかけになればと思います。

とはいえ、特別企画の内容自体は、親しみやすく、子どもから大人まで楽しんでいただけるものです。ぜひ遊びに来てくださいね。わたしたち、科学コミュニケーターも、会場でお待ちしています。

特別企画の対象年齢は何歳から? 混雑具合は?

この特別企画は5月12日(月)まで開催しています。春休みやゴールデンウィークに、ぜひ親子でお出かけください。

対象年齢について、小学4年生以上が推奨とされていますが、小学3年生の男の子も、なんの問題もなく何度もAI体験を楽しんでいました。自分の考えを言葉にする力があれば、小4未満でも楽しめそうです。

混雑具合について、土日はやはり混むので、体験のためには待たなければいけないケースもあるとのこと。スムーズな体験には平日がおすすめです。土日に行く場合は、開館後すぐの時間帯に行くと、比較的空いていて穴場のようですよ!

「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」開催概要

開催日時:2025年2月5日(水)~5月12日(月)
  ※火曜休館(ただし祝日や春休み期間は開館)
開催場所:日本科学未来館(東京都江東区青海2丁目3番6号)
     3階 常設展示ゾーン(コ・スタジオ横)
対象:どなたでも(小学4年生以上推奨)
参加費:入館料のみ
     大人:630円
     小学生~18歳以下:210円*毎週土曜日は無料
     未就学児:無料
主催:日本科学未来館

「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」
https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202502053828.html

(マイナビ子育て編集部)

※とっておき体験部!とは、マイナビ子育てが運営する「子どもにとっておきの体験をさせたい!」と考えるパパとママのための会員限定・無料のコミュニティサイトです。くわしくは▶こちら

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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