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2026年07月31日 10:31

自由研究のテーマが決まらない…夏休みの親のモヤモヤに答える! 今年こそ知りたい自由研究テーマ選びのコツ

夏休みの宿題の定番、自由研究。「テーマが決まらない」「ゲームやスポーツを題材にしていいの?」「ほかの子と差がつかない?」など、毎年頭を悩ませる保護者は少なくありません。

そこで今回は、東京・お台場にある「日本科学未来館」の科学コミュニケーターさんに取材。親がつい気にしてしまう「自由研究の正解」について聞いてきました!

話を聞いたのは……

日本科学未来館 科学コミュニケーション室 科学コミュニケーター
出沢良樹さん

前職は高校教師。担当教科は理科だった。「知ることで人生が豊かになる」を子どもたちに伝えたくて教師になったという。現在は日本科学未来館の科学コミュニケーターとして、来館者との対話やイベントの企画・運営などを通じて、科学と社会をつなぐ活動を行っている。

お悩み①自由研究のテーマが全然決められない!

ーー自由研究においてまず難航するのがテーマ決めです。ちょうどいいテーマがないかネット検索すると、「泥団子を作ろう」「割れないシャボン玉を作ろう」「塩の結晶を作ろう」といったテーマが浮上するのですが、なんだかしっくりこなくて……。

出沢良樹さん(以下、出沢) 「しっくりこない」というのは検索結果に対して「これをやっても意味があるのかな?」と思ってしまうような“しっくりこなさ”ですか?

ーーそうですね。「これって自由研究の枠なの?」「みんなもやっていそうなテーマをトレースして意味があるのか?」など、ついモヤモヤしてしまいます。

出沢 ネット検索して表示されるものは、子どもがやりやすい、パッケージ化された完成品のようなものですよね。だから当然、それぞれのお子さまの興味の有無や保護者の方が求めているものとぴったり合う……ということがあまりない、「興味のズレ」が顕著に表われるのだと思います。お子さまもそのテーマに興味が持てなければ、保護者の方も「なぜいまこれをやるのか、理解できない」となり、しっくりこないのではないでしょうか。

(※画像はイメージです)

ーーおっしゃるとおりです。一方で、子どもが自ら何か発想しても、「これをテーマにする意義って? どう深めればいいの?」ということが見出しづらくて。

出沢 最初から「立派な問い」や「すごい研究」を考える必要はありません。パッケージ化された検索結果や、市販のキットでもいいのですが、そういったものを入口にして取り組むのは、それはそれで意義があるかなと思います。
というのも、自由研究というと「問いを作って検証する」というイメージがあるかなと思いますが、そもそも何に興味があるのかわからないからこそ、「とりあえずネットで検索してみる」段階ということですよね。
そんななかで問いを生み出すためには、パッケージ化されたものでもまずはやってみる、というのもひとつの手です。

ーーたとえば「泥団子を作ろう」でも?

出沢 そうですね。「作ってみたらうまくいかなかった」とか「作ってみたら新しい何かが見えた」とか、過程で学べることがあるんです。そこを知ることによって解像度が上がり、「問い」を作ることができる、ということもあると思います。

ーーなるほど! 初手で、興味がなさそう・意義が見出せない、からといってスルーするのはもったいないですね。

出沢 「問い」って、いきなりひらめくものではなくて。実際に研究者の方も、フィールドワークなど、観察したり試したりといった経験から気づきを得て、問いが生まれることが多いんです。
ちなみに私自身の自由研究は、小・中学と合わせて7年間セミについてでした。

ーー7年間ずっと、セミについてですか!?

出沢 はい。最初から「問い」を立てたわけではなく、もともとセミが好きで、自宅の周りが林でたくさん鳴いていたので「とりあえず捕ってみようか」という軽い気持ちが始まりでした。捕っていくと、時間帯によって捕れる個体が違っていたり、セミによっている場所が違ったり、捕りやすい戦略が違ったり……がわかってくるんですよね。

日本科学未来館の外に並ぶ街路樹で、セミが止まりがちな場所を教えてくれた出沢さん

出沢 たとえばアブラゼミは体にタカラダニ(赤いダニ)がついていることが多くて、「タカラダニはコンクリートによくいるから、アブラゼミは木だけでなくコンクリートにもとまりがちなんじゃないのか」と考えたり。
ニイニイゼミは桜の樹皮に溶け込むような模様をしているので、「桜の木に擬態しているから大丈夫だ」と慢心して、網の音を立てて捕ろうとしても鳴き続けているのではないか……と想像したり。自分なりに観察してみることで、そういった問いが出てくるんです。
もちろんそうした子どもなりの問いが実際に正しかったかはわかりませんが、その気づきや考えが正解かどうかを気にしすぎる必要はないと思います。大事なのは、経験から気づきが見えてくるということなんですよね。

ーーたしかに、まずは体験してみないと、わからないことばかりですね。

出沢 お子さまが何に興味があるかわからないならば、まずは定番テーマでもやってみる。もちろんそこから「問い」に発展しなくても、やってみた結果、気づいたことを記録すれば、探究活動としての自由研究になり得ます。
文科省が示している「探究」の考え方でも、問いを見つけて、情報を集め、自分なりにまとめるという流れが大切にされています。小学生の自由研究ではまず、「しっかり記録してまとめて表現する」という流れを学ぶことが大事なのだと思います。

回答:ネット検索で「興味がなさそう」と感じても、スモールステップとしていろいろやってみたら、問いが生まれることがある!

お悩み②ゲームや遊びを自由研究にしてもいい?

ーー子どもの興味があるものからテーマを立てようと思っても、「好きなもの? スマホゲーム」「広島カープしか興味ない!」と言われるとどうしていいかわかりません。出沢さんのように、「セミが好き!」なら自由研究と結びついて良いと思うのですが……。

出沢 本当にいいのですか? 私はセミを捕まえすぎて、母親にあきれられていましたよ。夜には逃がしてあげるのですが、昼間は捕まえたセミを家の網戸につけていて、数十匹が同時に網戸についていることもよくありました。

ーーえーーーー!

出沢 セミは窓際やカーテンの裏などに集まっていることが多くて、人がいなくなると鳴き出すので、家のあちこちからセミの声が聞こえていましたね。天井を歩き回るセミもいて、夏は賑やかな家でしたねえ。

ーー楽しいおうちですね(笑)。

撮影中も「通常はもっと上のほうに止まっています」とセミの生態を絶え間なく教えてくれた

出沢 おっしゃるとおり、セミ=自然科学、というイメージで自由研究のテーマにしやすい印象がありますが、テーマは自然科学に限らず社会的なことでもいいんですよね。
記録して、比べて、自分なりに考えることができれば、自由研究の題材になります。社会に役立つか、ではなく、子どもたちの興味関心に基づいてできることが、自由研究のいいところです。
たとえばセミなら、「どこでどれくらい捕れた」を記録してまとめること自体が学びですが、好きな野球チームでも同じことができるんです。たとえば、「今日は試合に負けたけど、どうして勝てないんだろう。そもそもどういうときに勝っているんだろう」といったところを分析するために、日々の試合を詳しく記録していく。そうすると、得点の取り方や失点の傾向など、違いが見えてくるかもしれません。

ーーセミと同じように、記録・分析していくんですね。

出沢 スマホゲームも「それをテーマにしていいよ」とはなかなか言えませんが、「ただ遊ぶ」のではなく、どんなときに勝てたのか、どんな条件だと上手くいくのかを記録して考えると、それはもう探究活動なんです。
たとえば私は寝るのが好きなんですが、寝た時刻や起きた時刻、その日の過ごし方を記録してみて、「よく眠れた日はそうでない日と比べて何が違ったんだろう」と分析してみるのも面白いかもしれません。
このように、自分の興味から出たあらゆることが、立派な研究のプロセスになっていくんですね。

回答:「この分野を研究してもしょうがないよね」などと決めつけず、記録・分析をして研究の形にできないかを子どもと一緒に考えてみる!

お悩み③定番ネタ「◯◯の観察」は他の子とかぶる?

ーー定番の「朝顔の観察」「ダンゴムシの観察」などをテーマにした場合、他の子とかぶってしまいがちです。単に観察するだけではなく独自性を持たせるには、どうすればよいでしょうか。

出沢 そもそも自由研究に新規性を持たせたり珍しいテーマを見つけたりするのは、結構難しいと思います。前提として、それぞれの子どもたちの視点で観察して考察・研究するという点が大切です。
観察をスタートするときに、親や先生が「ここを観察しようね」と言ってしまうとそこしか見なかったりするので、まずは子どもが何に目を向けるのか、見守ってみるのがおすすめです。もちろん、ずっとただ見守っているだけというわけではなく、「メモを取ろう」など必要に応じた声かけはしてあげた方がいいのですが、親の誘導ではなく子ども自身の視点で得た何気ない気づきをしっかり記録することが大切だと思います。記録しておくことにより、そこから考察が広がったり、疑問が生まれて次の年のテーマになるかもしれません。

ーー出沢さんがセミを7年追い続けたように、今年限りで終わるのではなく翌年にも生かせるようにするといいのですね。

出沢 観察というのは、やっていく中で自分の視点が必ず生まれるものです。いきなりテーマで差別化を図ろうとするのではなく、定番のテーマでも、全員が同じプロセス・結果になることはないと思います。

ーーしかし低学年のうちは特に、観察の過程で気づいたことを逃さずメモするのも難しかったりしますよね。

出沢 そうですね。ですから、親も一緒に観ることが大事かなと思います。その際、親は「これに気づいてほしい……」といった意図で誘導しがちなので、そこは注意が必要です。私も元々教員をやっていたので、子どもを誘導したいところに意識を向けてしまうことがあったのですが、そうではなくて、あくまで寄り添う姿勢が大切です。
親は子どもより多くの知識を持ってはいますが、全部を知っているわけではないと思うので、一緒にその研究をするつもりで、同じ目線で取り組んでみると、お子さんの気づきのアシストに繋がることもあるかもしれません。

ーー出沢さんは教員時代に理科を担当されていたのですか?

出沢 はい。それこそ授業や部活で、探究活動を行っていました。部活動では、森林公園に行き自動撮影カメラを設置して、鹿やイノシシがどこでどの時間帯に映るのかを調べたりしていましたね。
やっぱり、最初はどのようなところに・どれくらいいるのかわからないので、そこを調べた上で、次の問いに進みます。生き物の研究では、とりあえず実際の場所に行って観察することが次の問いにつながります。

回答:一緒に取り組むと、子どもの視点も見えるし親自身の気づきもある!

お悩み④親はどこまで手伝うべき?

ーー自由研究は、すべて子どもに任せる親からしっかり伴走する親まで、家庭のスタンスによりさまざまです。親のコミットについて、出沢さんはどうお考えですか?

出沢 大幅に親主導になると、どうしても「やらされている感」が出てしまいますよね。理想は、お子さんが好きな分野で、お子さんのやりたいことに耳を傾けるのがいいと思います。とはいえ、学校に提出する宿題ですから、形にしないといけないところはありますが……。

ーーそうですよね、子ども一人の力でやりとげてほしい・やってほしいのは山々なんですけど……。任せると「これ、このまま提出していいの!?」というものが出来上がるし、かといって……。

出沢 全部親が指示を出すと、親の作品になってしまう。

ーーはい。葛藤があります。

出沢 自由研究を「なんのためにやっているのか」というところに立ち返ると、自分で問いを立て、その疑問について調べ、観察して、まとめて学びを得るためです。それが親の期待する完成度とはちょっと離れていたとしても、それはそれでお子さまががんばって得た学びです。

出沢 親のサポートとしては、最初から高みを目指すのではなく、「今日は自分の中の興味を見つけようか」「今日は観察をがんばってみようか」と少しずつ積み上げていくのがいいかもしれませんね。
いきなりハイレベルな研究結果を求めるのは親子ともにすごく負担ですし、正解がそこにあるわけではないので。「自分はこれを調べた。調べた結果、これがわかった。それについてどう考えた」というところが書かれていればいいと思います。

ーー出沢さんの親御さんは、セミの自由研究にどのくらいかかわっていましたか?

出沢 実は私には双子の弟がいまして、セミ捕りはもっぱら弟と一緒にやっていました。父親はグラフの作成を手伝ってくれることがありました。自分で問いを立ててデータを集めたとしても、グラフや表にまとめるとなると、最初は大人の手助けが必要です。
まだ小学生でエクセルの使い方もまったくわからなかったので、私が手書きで記録したものを父親が表にしてくれ、写真を取り込んで「ここに載せてみれば?」と提案してくれるなど、レイアウト面で手伝ってくれましたね。私自身も手伝ってもらえてすごく助かりました。「これをやる時間が省けたから、セミを捕る時間が増えたぞ!」と、セミと向き合う時間に使えたので感謝しています(笑)。

ーーとてもステキな親子関係ですね! レポート制作の手順も最初は手伝ってもらいましたか?

出沢 そうですね。レポート作成にあたっての基本的な流れ・構成は、一番最初に親が教えてあげるといいと思います。父親も「ここはこういうことを書いていけばいいよ」と教えてくれた以外は、内容に関してはとても自由にやらせてくれました。
親はあくまで“手伝う”スタンスだったからこそ、おかげでのびのびと自分のやりたいことができたし、7年間楽しく続けることができたのだと思います。

まとめ

自由研究というと、「すごい発見」や「立派な成果」を目指さなければならないように感じるかもしれません。しかし、自由研究のファーストステップは「知ること」。いきなり問いを見つけるものではなく、「興味のある分野でもそうでない分野でも、まずは記録をつけてみて、知る」。そうすることで解像度が高まり、問いが生まれます。

「まずは一歩、外に出たり、家で何かやってみたりすることが大事だと思います。普段はまったくやらないことだからこそ、『ちょっとやってみるか』という感じで見識や興味を広げると、なにか見つかるかもしれません。『明らかにする』ことだけが自由研究の目的ではないですし、ご家庭やお子さまによっていろいろなやり方があると思うので、ぜひいろいろ試してみてくださいね」(出沢さん)

ほかの子と違うテーマである必要も、難しい内容である必要もありません。大切なのは、その子自身の「なんで?」や「好き」を追いかけること。今年の自由研究は、まず親子でそんな会話をするところから始めてみてはいかがでしょうか。

日本科学未来館
https://www.miraikan.jst.go.jp/

所在地:東京都江東区青海2-3-6
開館時間: 10:00〜17:00(入館券の購入および受付は16:30まで)
休館日: 火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、12月28日~1月1日
<8月は休館日なし>
※春・夏・冬休み期間等は火曜日も開館する場合があります。
※2026年10月1日(木)から2027年4月22日(木)までの約半年間、施設整備工事のため全館休館となります

アクセス
・新交通ゆりかもめ「東京国際クルーズターミナル駅」より徒歩約5分、または「テレコムセンター駅」より徒歩約4分
・東京臨海高速鉄道りんかい線「東京テレポート駅」より徒歩約15分
・都営バス「日本科学未来館前」下車

(取材・文 有山千春/撮影 松野葉子)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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