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2026年09月05日 08:41

「建築士ってオシャレにデザインするだけじゃないんだ!」小5息子の気づき。一級建築士から学ぶ【こども建築塾】(東京・大田区)

もともとレゴや工作が大好きな小5の息子。作品を見ながら「これは、将来建築士もアリでは?」と、筆者は密かに期待していました。そんなある日、一級建築士から建築の世界を学ぶ【こども建築塾】の取材のお話が。息子と参加してみると、思い描いていた「建物をオシャレにデザインする仕事」とはちょっと違う!? さて、その理由とは?

建築と教育のプロ・類設計室が手がける【こども建築塾】

50年以上の歴史を持つ一級建築士事務所・類(るい)設計室が、長年培ってきた建築設計と教育の経験を生かして開催している【こども建築塾】。

第一線で活躍する現役の一級建築士から、建築やモノづくりについて学び、未来の建築を担う力を育てます。対象は小学4年生から高校3年生まで。

我が家は、2026年7月28日~30日に東京本社で開催された夏休み特別イベント「建築の仕事の世界を知る3日間」の2日目、「熱中症にならない建物を作ろう!」に参加しました。

熱中症は“屋外より室内”で多い? 建築士と考える「熱」と「光」の建物づくり

会場は、類設計室の東京本社3階にある工房「Soil(ソイル)」です。
赤を基調としたスタイリッシュな工房に招かれ、席に着く子どもたち。息子も「何をするんだろう?」と興味シンシンな様子で、講師を務める建築士さんの話に耳を傾けます。

授業の開始時にまず挑戦したのは、「熱中症になりやすいのは、屋外? それとも建物の中?」というクイズ。答えは、なんと「建物の中」!
「えっ、家の中のほうが多いの?」意外な答えに、子どもたちからも驚きの声が上がります。

では、建物の中をどうすれば安全で快適にできるのでしょうか。そこで登場したのが、建物の内部を行き交う「熱」「光」「音」「風」「水」といった自然の要素。こうした環境を整える「環境設備設計」という仕事があることも教えてもらいました。

そのなかから今回は、「熱」と「光」に注目。つまり、室内の「温度」と「明るさ」をどう整えるかを考えます。
ここで大きな学びとなったのが、感覚で捉えがちな「快適」を数値で表せるということ。思わず親子で「へー!」と感想が漏れました。

たとえば室温は26~28℃程度が目安。明るさを表す「ルクス」も、寝室なら20ルクス以内、勉強部屋なら700ルクス以上など、過ごす場所によって適した明るさが異なるんだそうです。

では、快適な明るさを保ちながら、温度が上がりにくい建物にするにはどうすればいいのでしょうかこれが、今回の授業で考える大切なポイントです。

そこで注目したのが、「素材」や「建物の形・向き」。昔の暮らしの中で育まれた知恵から最新の建物づくりまで、こうした点に工夫を凝らしたさまざまな事例が紹介されました。

その一例として取り上げられたのが、沖縄の家で見られる「漆喰赤瓦」です。

赤い色は太陽の光を反射しやすく、素焼きの瓦に含まれる小さな気泡が断熱材のような役割を果たします。強い日差しのもとでも、室内が暑くなりすぎないようにする先人の知恵です。

さらに、自然光を調整する大きなシェードを取り入れた公共施設や、本に直射日光が当たらないよう北向きの光を生かした図書館の事例など、現代建築の工夫も紹介されました。

さまざまな建築の工夫を知ったところで、いよいよ自分たちで試してみます!

いよいよ実践編! 模型を使って、快適な建物づくりに挑戦

今回のミッションは、グループごとに模型を使って、明るさを確保しながら、できるだけ暑くならない建物をつくること。使うのは、15cm四方のフレーム模型です。

明るさを測る「照度計」と、温度の変化を測る「温度計」があらかじめセットされたフレーム模型

別のテーブルには、粘土、スポンジ、アルミホイル、色画用紙、フィルムシートなど、みんなで使えるさまざまな素材がずらり。これらを組み合わせて、壁や屋根をつくっていきます。

実験の条件は、日当たりのよいリビングを想定し、ライトを自然光に見立てて、室内の明るさを1000ルクス以上に確保すること。そして、4分間ライトを当てたときの温度上昇を、できるだけ抑えることです。

最も温度上昇を抑えたチームには「環境賞」が贈られると聞き、子どもたちのやる気も一気にアップ!
子どもたちはさっそくカラーフィルムやスポンジ、メッシュ素材などを手に取り、実験を始めました。

「これだと明るさはどうなる?」「温度は下がるかな?」と、さまざまな素材を屋根や壁に置いては、測定。

ピンクのフィルムシートによる温度の変化を、温度計で測定中
スポンジを屋根に置いて、照度計で室内の明るさをチェック

先ほど教わった光の反射などの知識も思い出しながら、「やってみる→結果を見る→変えてみる」を繰り返しながら、試していきます。

ふと隣のチームを見ると、模型がどんどん建物らしく仕上がっています。

隣のチームの作品

そこで息子たちのチームも、「環境担当」と「デザイン担当」に分かれて作業することに。
デザイン担当になった子どもたちは、粘土で親子や犬をつくったり、素材を使って庭をしつらえたり、部屋の中に家具を配置したり。思い思いのアイデアで、建物を仕上げていきます。

てっきり息子もデザイン担当に転向すると思っていたのですが、まさかの「環境担当」を続行。

素材を取りに行っては試し、光や温度の変化を確かめる実験にすっかり夢中。最後まで環境担当を貫いていました。

そして、完成した作品がこちら!

庭の緑を眺めながら過ごせる、心地よさそうなリビングに。明るさは1000ルクス以上を確保しながら、温度が上がりにくい工夫も施した模型が完成しました。

完成後は、工夫したポイントをグループごとに発表します。建築士さんから「自分で考えて、いろいろな素材や方法を試したこと」を褒めてもらい、息子もうれしそうな笑顔を見せていました。

そして迎えた温度上昇の最終測定のとき。息子たちのチームは惜しくも環境賞の優勝には届かなかったものの、温度上昇はプラス1度に抑えられ、数値では「全体3位」という結果に! 最後まで夢中になって取り組んだ成果が、うれしい結果につながりました。

「建築士って、思っていたのと違った!」息子が見つけた新しい世界

体験後に息子に感想を聞いてみると、「建築士って、オシャレにデザインするのが仕事だと思っていたけれど、僕が思っていたのと違った」とのこと。
明るさや温度を数値で確かめながら工夫する姿は、親としてもちょっと意外でした。デザインだけでなく、数字や科学的な視点からも建物の快適さを考える仕事だと知り、建築士という仕事の新たな一面を発見したようです。

そして何より、普段は初対面の子とのグループワークが少し苦手な息子が、この日はイキイキと楽しんでいたことも印象に残りました。
仲間と相談しながら夢中で取り組む姿に、「好き」ってこんなにも人を積極的にさせるんだ、とうれしく感じました。

そんな息子の姿を見て、授業の冒頭に聞いた建築士さんたちの子ども時代のエピソードも思い出しました。
自然の中で遊んだり、秘密基地をつくったり、工作に夢中になったり。子どものころの「つくりたい」「やってみたい」と手を動かし、試行錯誤した体験が、今の建築の仕事につながっているのだそうです。
自然遊びも、工作や実験も、そのときは将来何につながるのかわかりません。でも自分で考え、手を動かし、試してみる経験の積み重ねが、いつか「好き」や「得意」を見つけるきっかけになるのかもしれません。

AIが答えやアイデアをすぐに教えてくれる今だからこそ、すぐに答えを求めず、自分で試して、失敗しながら考える時間も大切にしてほしい。今回の授業を通して、建築士という仕事の奥深さとともに、そんな思いも改めて感じました。

そして体験後の会場には、翌日のデッサン講師を務める一級建築士の佐藤賢志さんがふらりと登場! 思いがけず、直接お話をする機会にも恵まれました。

佐藤さんのレッスンは、1回の参加でもかなり上達すると評判だそう。機会があれば、ぜひ息子にも挑戦させてみたいと思います。

(文・撮影:あゆーや/アソンデミエータ)

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