【助産師解説】妊婦の時からできる「乳カス」(乳垢)ケア方法と原因
妊娠中や産後に、乳カス(または乳垢)と呼ばれる乳頭部分に白いカスのようなものができた経験があるママは多いようです。乳カスは、入浴前にご家庭にあるものを使えば、簡単に取り除くことができます。乳カスの掃除方法と必要な道具について、この白いカスの正体とともにお伝えします。
乳カス(乳垢)のお掃除の仕方
乳頭に白い塊やカスがくっついていると、つい気になってしまう人も多いのではないでしょうか。乳カスは無理に取ろうとはせず、適切なケアをして取り除いてあげましょう。
ここからは、乳カスのお掃除で必要な道具と手順をお伝えします。妊娠中はもちろん授乳中でも、乳カスが気になったタイミングで試してください。
乳カス(乳垢)のお掃除で用意するもの
ラップ、コットンパフ、オイルの3点です。オイルには、オリーブオイル、馬油、ベビーオイルなど様々なタイプがありますが、基本的にはオリーブオイルをおすすめしています。
ステップ① オイルを塗る
乳頭全体にオイルを染み込ませたコットンで覆うように当てて、その上からラップで覆ってパックします。オイルの量が少ないと乳カスに染み渡りませんので、オイルは十分な量を使うようにしましょう。
ステップ② パックした状態でしばらく待つ
乳カスがオイルでふやけるのを待つため、10〜15分を目安にパックします。ラップの上から下着をつけても汚れませんし、パックはズレませんので、パックしたまま普段どおり過ごせます。
パックする時間は、乳カスのたまり具合とふやけ方を見ながら調整しましょう。
ステップ③ オイルごと洗い流す
パックを取り去り、そのまま入浴します。パックしていた部分は、全身と同じようにお湯やソープを使用して洗います。乳カスを落とそうとゴシゴシこすったりする必要はありません。くれぐれも傷つけないよう、優しくケアを行いましょう。
1回で落ちきれなかった場合は、また後日オイルパックをしてみてください。
乳カス(乳垢)の基礎知識
妊娠後期や出産後に乳首にできる乳カスは何なのか、赤ちゃんが口に含んでも大丈夫なのかと不安に思うことでしょう。ここから先は、乳カスの正体と乳カスと乳腺炎の関連などについて説明します。
乳カス(乳垢)とは「母乳や垢(アカ)」
妊娠16〜22週ごろに入ると、乳房の中では生まれてくる赤ちゃんのために母乳が作られ始めます。妊娠期間中は、妊娠を維持するホルモンの作用を受けて、母乳が出ないような仕組みになっています。しかし、人によっては妊娠中に母乳が乳頭からにじみ出てくることもあります。乳カスとは、出産に先立って作られた母乳に、皮脂、角質など様々なものが混じり合ってできたものと言えるでしょう。
特に陥没乳頭の場合は、陥没した部分に乳カスがたまりやすいです。陥没乳頭の場合は、乳頭のケアや乳カスの掃除方法について、かかりつけの産婦人科もしくは助産院で相談されることをおすすめします。
ケアをしないとどうなるの?
乳カスがあることで、衛生的な問題や乳腺炎につながる可能性を心配される方もいると思います。
乳カス自体は悪いものではないので、必要以上に心配することはありません。ただ、乳頭は赤ちゃんの口に入る部分なので、乳カスがあるならお掃除を含めた乳頭のケアをおすすめします。ママによっては乳頭に極力触れないようにしていることで、授乳の時に乳カスが溜まっているケースもありました。妊娠中から清潔を保ち、やさしくケアできるといいですね。
なお、以前は乳カスが乳腺炎の原因になるとされていましたが、現在では根拠がないと言われています。
いつからいつまでケアが必要?
乳カスのたまり方には個人差があります。たまりやすい人でも、気になった時にお掃除するくらいの頻度でいいでしょう。
なお、出産後に乳頭の清潔を保つため、授乳前の清浄綿での乳頭の清拭は不要です。
授乳中の乳首まわりの清拭について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎乳首の周りのブツブツは?授乳前に清拭した方がいい?
早産気味の人は医師に相談を
妊娠中、乳カス掃除ついでに乳頭マッサージをする人もいますが、乳頭への刺激がもとでオキシトシンが分泌されお腹が張るので注意しましょう。切迫早産と診断されている人などが乳頭マッサージをしたい時は、まずはかかりつけの医師に相談してください。
妊娠中の乳首マッサージについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎乳首マッサージで母乳は出るようになる? やり方と注意点
まとめ
乳カスは、妊娠16〜22週以降のママの乳頭にできやすい白いカスです。乳カスは母乳や皮脂など様々なものが混じり合ってできたもので、そのままでも健康上問題はありません。ただ、乳頭はいずれ赤ちゃんが口に含む部分ですので、オイルを使って定期的にお掃除し、清潔を保つことをおすすめします。乳カスの掃除ついでに乳頭マッサージをしたいのであれば、医師や助産師に相談の上、お腹の張りに気をつけながら行いましょう。切迫早産の人などは、かかりつけ医に相談し指示を仰ぎましょう。
(文:本河美佳/監修:坂田陽子 先生)
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※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、監修を経た上で掲載しました
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