
突然の哺乳瓶拒否!<体験談>その理由と4つの対処法|小児科医監修
突然哺乳瓶を嫌がるようになり、ミルクを飲んでくれなくなる赤ちゃんもいるようです。これはいったいなぜ起こり、起こった時はどうすればいいのでしょうか。考えられる理由と対策を解説します。
<アンケート>赤ちゃんが急に哺乳瓶を嫌がったことはある?

赤ちゃんが急に哺乳瓶を嫌がるようになった経験はあるか、先輩ママに聞きました。
<アンケート>約4割のママが経験アリ!
哺乳瓶を使用していた75人に聞いたところ、約4割のママが「赤ちゃんが急に哺乳瓶を嫌がった経験がある」と回答しました。

※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年12月6日~2021年12月14日 調査人数:75人(21歳~40歳以上の女性)
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。
<体験談>急になんで!?哺乳瓶拒否
哺乳瓶拒否はなぜ起こる?

赤ちゃんが哺乳瓶を拒否するようになる理由として、考えられるものをみていきましょう。
ミルクの温度が熱すぎる/冷たすぎる
ミルクの温度が熱すぎたり、逆に冷たすぎたりすると哺乳瓶から飲んでくれなくなることがあります。
赤ちゃんに飲ませる前には必ず腕などの内側にミルクを少し垂らし、「人肌程度の温度」になっているか確認してから与えましょう。
乳首が合ってない
哺乳瓶の乳首が嫌で飲まなくなることもあります。
哺乳瓶の乳首は、穴の大きさや形状が異なるさまざまなタイプが市販されています。ミルクの飲み方の発達には個人差がありますが、各製品には対象月齢の目安が書いてあるので、それを参考に「違うタイプのもの」をいくつか試してみたら飲んでくれる場合もあります。
哺乳瓶の乳首は「消耗品」| 定期的に交換を
なお、哺乳瓶の乳首は使っていくうちに劣化します。劣化した乳首で飲みにくいので嫌がっている可能性もあります。交換時期はメーカーによって多少異なりますが、「乳首2個以上を交互に使っている場合は、2ヶ月程度で交換」を推奨していることが多いようです。
交換の際は一度にすべて交換してしまうと、新しい乳首を嫌がって飲んでくれなくなることがあるので、「普段から2個以上を使って順繰りに交換」していくと良いですよ。
お腹が空いてない
単にお腹が空いていないので、哺乳瓶を嫌がっている可能性もあります。
母乳・ミルク混合でミルクを足している場合、実は母乳を十分飲めているのであればミルクを欲しがらないでしょう。
また、少食タイプの赤ちゃんの場合、1回の目安量を飲みきれないこともあります。ミルクの場合は、1回に飲んだ量ではなく1日のトータルでどのくらい飲んだかをチェックしましょう。
なお、1日の授乳量はミルクのみの場合、「赤ちゃんの体重1kg当たり165~180mLくらい」[*1]と言われていますが、個人差が大きいのでこの目安に達していなくても「赤ちゃんが元気」で「体重が増えている」のならほとんど心配はいりません。
環境が落ち着かない
生後3~4ヶ月ごろになると、周囲の物や音で気が散るあまり、急に飲むのを止めてしまうことも。
テレビをつけたままの授乳や、周囲で人が動いているなど落ち着かない環境で起こりやすいようです。
体調が悪い
「喉の痛み」や「鼻づまり」「中耳炎」や「発熱」「腹痛」など、体調が悪いので哺乳瓶を拒否することもあります。
「ミルクアレルギー」の可能性も
哺乳瓶を拒否するだけでなく、
・血便
・下痢
・体重が増えない
といった症状もある場合は、まれに「ミルクアレルギー(新生児‐乳児消化管アレルギー)」のこともあります。
上記のような症状があったらミルクアレルギーだけでなく別の病気の可能性もあるので、できるだけ早めに小児科を受診してください。
哺乳瓶拒否の時はどうする?4つの対処法

赤ちゃんが哺乳瓶を拒否して困っているとき、試してみてほしい対処法を4つ紹介します。
(1)乳首を見直す
赤ちゃんの好みはその子によって異なるので、別タイプの乳首をいくつか試してみましょう。
なお、乳首を選ぶ際は、短めのものより長くてまっすぐな形状のもののほうが、ママの乳房に吸い付くときのように深くくわえることができるので、赤ちゃんは飲みやすいかもしれません。
(2)ミルクの温度を変える
比較的温かいミルクを好む子もいれば、室温程度に冷めたミルクが好きな子もいます。いくつか試してみましょう。
乳首の温度も
授乳前に哺乳瓶の乳首を温水などで少し温めてあげると、気に入ることもあります。
逆に、歯が生えるころの場合は、乳首のみを冷蔵庫で冷やしてから授乳すると機嫌が良くなることもあります。
(3)スプーンやコップであげてみる
ミルクは「スプーン」や「小さなコップ」で与えることもできます。
これらで授乳する際は、
・赤ちゃんを膝のうえでまっすぐに支える
・スプーンやコップのふちで赤ちゃんの上唇に触れる
・赤ちゃんが自分で口に入れるのを待ち、赤ちゃんのペースで飲んでもらう
ようにします。
無理に飲ませようとすると窒息の危険もあるので、あくまで赤ちゃんが自分で口に入れるのを待つようにしてください。
(4)母乳から哺乳瓶に慣れる方法

それまで母乳だった赤ちゃんに哺乳瓶で飲んでもらいたい場合は、以下のような方法を試してみてください。
ママ以外の人が与える
ママが近くにいると赤ちゃんは母乳を欲しがってしまうので、ママは別の部屋に行くかママ不在のときに別の人が哺乳瓶で授乳してみてください。
赤ちゃんが「あまり空腹ではないとき」に試す
それまで母乳だった赤ちゃんが哺乳瓶の乳首に慣れる場合は、赤ちゃんが空腹で興奮しているときではなく、落ち着いているときに試したほうがうまくいくかもしれません。
哺乳瓶の乳首で赤ちゃんの上唇と鼻をくすぐる
こうすることで、赤ちゃんは自分から大きく口を開けて乳首に吸い付くことがあります。
ママが着ているシャツや布で哺乳瓶を包む
哺乳瓶からママのにおいがするので、飲んでくれるようになることがあります。
<体験談>哺乳瓶拒否|こうしたら成功した!

先輩ママが試してみて成功した方法も紹介します。
小児科で診てもらったほうがいいとき

赤ちゃんが哺乳瓶を拒否したときは、次のような症状がないかも確認してください。病気や体調不良の可能性がありそうだったら、できるだけ早く小児科を受診しましょう。
他に何か症状がある
哺乳瓶を拒否する以外にも、以下のような症状があったり、当てはまる状況があったりする場合はすぐに受診してください。
・熱がある
・吐く
・便の異常がある:下痢、便秘または便がとても硬い、便の色がおかしい(血便など)
・おしっこが少ない・口や舌が乾いている・涙が出ない(脱水の可能性)
・泣き声が弱々しい、ぐったりしている
・呼吸がおかしい
・じんましんがある
・頭をぶつけた
・何かを誤飲した可能性がある
ほかにもいつもと違う様子が見られたら、ほうっておかずに受診したほうが安心です。
体重が増えない
母乳とミルクの混合で母乳が十分飲めていたり、離乳食をよく食べていたりと、単に満腹で哺乳瓶を拒否しているのなら心配いりませんが、栄養が足りないのに何かの理由で哺乳瓶を拒否し続けていると赤ちゃんの体重は増えません。
体重が増えているかどうか心配な場合は、母子手帳にある「発育曲線」をチェックしましょう。普段から体重測定したら、書き込んでおくと良いですね。
哺乳瓶を拒否することが多く、体重があまり増えていないことに気づいたら、やはり早めに小児科を受診してください。
赤ちゃんの体重についてくわしくは下記の記事を参照してください。
まとめ

赤ちゃんが哺乳瓶を拒否したときに考えられる理由と対処法を紹介しました。それまで何の問題もなく飲んでくれていたのに、急に嫌がられるとびっくりしたり困ったりしますが、乳首が合わなくなっているなど、赤ちゃんなりに何か理由があるのかもしれません。ここで紹介した方法をいくつか試し解決するか様子を見てみてください。
ただ、哺乳瓶拒否以外の症状もある場合や体重がなかなか増えない場合は、健康面で気がかりなことがないか、まずはかかりつけの小児科でよく調べてもらいましょう。
(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:森戸やすみ先生)
※画像はイメージです
[*1]母子衛生研究会:授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)実践の手引き, p.34, 2020.
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます