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2022年01月25日 14:00 更新

【医師監修】会陰切開の傷跡の盛り上がり|自然に治る?受診が必要なときは?

出産の際、人によっては会陰切開を受けることも。必要な処置とはいえ、産後の治り方や痛みの続く期間はどれくらいなのか気になりますね。なかには傷跡が盛り上がって気になる人もいるようです。会陰切開の傷跡の盛り上がりが起こる理由と注意が必要な症状について解説します。

<アンケート>産後、会陰切開の傷跡は気になった?

トイレに座って悩む女性

妊娠・出産経験のある先輩ママ80人に、産後、会陰切開の傷跡で気になることはあったかどうか聞きました。

会陰切開の傷で気になることはあったかどうかの割合グラフ
会陰切開の傷で気になることはあった?

<体験談>盛り上がり・違和感・なかなか治らない……

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年12月28日~2022年1月4日 調査人数:80人(21歳~40歳以上の女性) ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

会陰切開を行うのはどんなとき?

疑問がある女性のイメージ

会陰切開は、最近ではお産のときの状況によっては行われないこともあります。会陰切開が選択されるのはどんなときなのでしょうか。

ママや赤ちゃんにとってメリットがあるとき

会陰切開は、ママや赤ちゃんの体にとってそのほうがメリットが大きいと判断されたときに行われます。具体的には以下などの場合です[*1]。

会陰切開が行われるとき

・会陰部の伸びが悪く、そのままではひどく裂けてしまうと予想される

・会陰部の抵抗が強く、胎児の頭がなかなか出てこない

・鉗子分娩や吸引分娩などの場合

・巨大児分娩や肩甲難産(赤ちゃんの肩がママの恥骨に引っかかってなかなか出られない)が予想される

・低出生体重児や頭蓋内の病気があり、赤ちゃんの頭部への圧迫を軽くしたいとき

会陰切開のやり方

また、会陰切開はおもに以下のような方法で行われます。

切開の仕方はおもに2種類

・正中切開法:肛門に向かってまっすぐに会陰を切る方法

・正中側切開法:正中切開より少し斜めに切る方法

それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが適しているかは人によって異なるので、状況をみて医師が選択します。

なお、傷口の縫合は「吸収糸(縫合糸)」を使い抜糸不要なことが多いですが、縫い方によっては吸収糸でも何本か抜糸することもあるようです。

会陰切開の傷跡の痛みはどのくらい続く?

股を押さえている女性

傷跡の痛みはどのくらい続くのかも気になりますね。

強い痛みがあるのはたいてい数日間

会陰切開の傷跡が強く痛むのは、だいたい2~3日間のことが多いようです。産院を退院するころには、痛みが和らいでくる人が多いでしょう。

会陰切開に限りませんが、体のどこかに傷ができたとき、数日後までは「炎症期」と呼ばれる時期に当たります。このころは、血小板が傷口を止血すると同時に、リンパ球などの白血球の仲間が傷口に集まります。

これらは、細菌などの感染から傷口を守る大切な役割を果たす一方で、痛みを起こす物質も放出します。そのため、炎症期は痛みを感じやすい時期です。

早くて産後1ヶ月くらいには気にならなくなる

その後、傷は「増殖期」に入りますが、これは傷になった部分を新しい細胞が埋めていく時期です。傷跡を埋める細胞を「肉芽組織」と言いますが、これにより傷跡が少し盛り上がることもあります。このころには軽い痛みやかゆみ、赤みなどが見られる場合があり、だいたい2、3週間続きます。

増殖期が終わると傷は「安定期」に入り、傷の修復が落ち着いてくると、傷跡の盛り上がりも気にならなくなってきます。痛みやかゆみもこのころにはほとんどなくなってくるでしょう。会陰切開の傷では、1ヶ月健診のころにはこの状態になることが多いようです。

なかにはこじらせてしまう人も

ただし、傷の治りには個人差があり、経過は多少前後します。痛みの感じ方も個人差が大きいので、気にならなくなる時期も人によって異なる可能性はあります。

個人差とは別に、傷が治る過程でなんらかの異常が起こり、痛みや傷跡の盛り上がりが長引くこともあります。安静を保てず傷跡の修復がスムーズに進まなかったり、細菌などが傷口に感染したりした場合などです。

<体験談>痛みや違和感が気になった期間

先輩ママの体験談では、会陰切開の傷跡の痛みや違和感は、だいたい半年後くらいまで気になったという意見が目立ちました。

産後半年くらいまでは気になった

産後1、2ヶ月で気にならなくなった人

1年かそれ以上気になった場合も

会陰切開の傷跡が盛り上がっていたらどうすればいい?

女性医師のイメージ

傷跡にできた盛り上がりが気になることもあります。

治る過程でいったん盛り上がるのは正常

「早くて産後1ヶ月くらいには気にならなくなる」で解説したとおり、傷が治る過程で傷跡が多少盛り上がるのは正常なことです。

ただし異常が続く場合は受診して

とはいえ、まれではあるけれど注意したほうが良い場合もあります。

会陰切開の傷跡が盛り上がっている他に、下記のような異常も見られる場合は、かかりつけの産婦人科に相談してください。

受診したほうが良い場合

・時間が経っても盛り上がりが小さくならない/大きくなってきた

・傷周辺に強い痛みがある

・出血が続いている

・熱がある

・肛門の違和感や痛み、便失禁がある

・膀胱の辺りを刺激される感じがある

・腰痛、おしりの辺りの痛み、下腹部の痛みが続いている

まとめ

両親に抱かれる笑顔の赤ちゃん

会陰切開の傷跡の盛り上がりについて、先輩ママの経験談も交えながら解説しました。

傷跡が治っていく過程である程度盛り上がるのは正常なことですが、なかなか小さくならなかったり逆に大きくなってきたりしている場合や、強い痛みがひかない場合、出血などほかの症状も伴う場合は注意が必要です。

傷の状態を確認してもらい適切な処置を受けるためにも、異常が続く場合や痛みがひどい場合は医療機関を受診してくださいね。

(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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