上の子は「我慢させられた」下の子は「おさがりがイヤ」……「きょうだい間格差はあって当たり前」調査結果
親子関係心理学の専門家・三凛さとし氏は、20歳以上50歳未満の男女全国2,998人を対象に「きょうだい間格差」について調査しました。その結果を踏まえ三凛氏は、それぞれ立場ごとの見方はあるものの「いくら親子関係といえども、気質が違う同士なので、シチュエーションなどによって合う・合わないは必ず出てくる」としています。
親子関係心理学の専門家・三凛さとし氏は、20歳以上50歳未満の男女全国2,998人を対象に「きょうだい間格差」について調査いたしました。
まず、「きょうだいはいるか」尋ねました。
その結果、長子39.7%(男性・女性ともに39.7%)、中間子12.5%(男性:12.0%、女性:13:0%)、末子32.1%(男性:30.5%、女性:33.6%)、一人っ子15.7%(男性:17.8%、女性:13.7%)となり、84.3%の人にきょうだいがいることがわかりました。
きょうだいのいる人に「他のきょうだいと自分の扱いに対しての親への不満はあるか」尋ねたところ、中間子女性は67.2%と最も「不満あり」が多い一方、末子男性は42.5%と最小でした。
また、生まれ順に関係なく、全体的に男性よりも女性の方が親に対して不満があったことがわかりました。
どのような不満があったのか、その内容を質問しました。
長子に尋ねたところ、半数以上が「弟・妹には甘かったのに、自分には厳しかった」(総合:54.9%、男性:50.0%、女性:58.4%)、「兄(姉)だから」と言われ、我慢することが多かった」(総合:53.2%、男性:49.6%、女性:55.8%)と回答しました。
同じ内容を中間子に質問しました。
49.6%の女性が「洋服や持ち物がお下がりだった」(総合:39.5%)と回答したのに対し、男性は26.5%と女性の半数程度に止まりました。男女ともに多かったのは「時と場合によって、上の子扱いされたり下の子扱いされたりした」(総合:37.8%、男性:36.3%、女性:38.9%)でした。
末子にも同じ質問をしました。
男女共に「洋服や持ち物がお下がりだった」(総合:54.6%、男性:50.5%、女性:57.3%)が最多となり、「兄・姉に比べて、子どもの頃の写真が少なかった」(総合:33.0%、男性:24.7%、女性:38.5%)は男女で差が見られました。
最後に、「他のきょうだいが好きか」尋ねました。
すると、約半数が「全員好き」(総合:51.1%、男性:54.1%、女性:48.3%)と回答しましたが、「全員嫌い」(総合:9.8%、男性:11.0%、女性:8.7%)も約1割いることもわかりました。
大人になっても子どもの頃のきょうだい間格差が改善されずにいると、親の介護の問題や遺産問題、またそれぞれの家族に対する不満などにも弊害が生じてしまうのだそう。また、海外の研究ですが、虐待を受けた人が大人になってから虐待をするようになる確率は30%前後という結果が出ています。
(参考資料)https://www.ojp.gov/ncjrs/virtual-library/abstracts/do-abused-children-become-abusive-parents
調査を行った三凛氏は、きょうだい間格差の解消法として3つをアドバイスしています。
1、きょうだい間格差はあって当たり前
長子にとっては、下の子ができた途端にそれまで受けていた愛情や注目が半減してしまうわけですから、「親から愛されている」という自信も崩れ去ってしまいます。一方、第二子以降は、一度経験したことをもう一度やるわけですから、慣れもあるし、長子の時の反省から子育ての方針が変わるのは当然のことと言えます。
生まれた順番によってきょうだいの間格差はあって当然で、きょうだい間格差のない家庭はないということを受け入れましょう。
2、親子にも相性がある
いくら親子関係といえども、気質が違う同士なので、シチュエーションなどによって合う・合わないは必ず出てきます。普段生活する中で、「この人とは何か合うな」と感じる人もいれば、「この人とは何か合わないな」と感じる人もいて、それは当たり前のこととして受け入れられているはずです。親子関係も全く同じです。
3、「隣の芝は青い」をやめる
大切なのは、長子・中間子・末子それぞれ、メリットもデメリットも受け取っているということです。大人になってもきょうだい間格差について恨みを持ち続けるよりも、次の4つの観点で現実を見ることで、それぞれ良いことも悪いこともあったのだと気づくことができます。すると、「隣の芝は青い」をやめることができます。
1)自分の方が他のきょうだいよりも得をしたこと
2)自分の方が他のきょうだいよりも損をしたこと
3)他のきょうだいが自分よりも得をしたこと
4)他のきょうだいが自分よりも損したこと
【調査概要】
調査期間:2022年2月21日~22日
調査手法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:20歳以上50歳未満の男女
サンプル数:2,998人(内訳:男性 1,499人、女性 1,499人)
※合同会社serendipity 調べ
(マイナビ子育て編集部)
