ピスタチオの食べ過ぎは大丈夫?1日何粒まで?気になる体への影響を解説【管理栄養士監修】
ナッツの一種であるピスタチオは栄養が豊富で、おやつやおつまみとしても人気ですよね。味付きのものは手軽に食べることができますが、ついつい食べ過ぎてしまうこともあるのではないでしょうか。食べ過ぎによるリスクや注意点などを見ていきましょう。
ピスタチオに含まれる栄養と効果
最近、ピスタチオを使ったお菓子が増えるなど人気が高まっているピスタチオ。その栄養についてみてみましょう。なお、そのまま食べるピスタチオは炒って塩などで味付けしたものが多いため、ここでは味付きのピスタチオについてご説明します。
不溶性食物繊維|便秘の改善
ピスタチオには100gあたり9.2gの食物繊維が含まれています[*1]。食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維がありますが、ピスタチオは水溶性食物繊維が0.9g、不溶性食物繊維が8.3gと、不溶性の方が多いのが特徴です。
不溶性食物繊維は便のカサを増やすため、腸の運動を刺激し排便をスムーズにする効果が期待できます。
リノール酸|体内で合成できない必須脂肪酸
ピスタチオは植物や魚の脂に多く含まれる不飽和脂肪酸のうち、n-6系脂肪酸のリノール酸が豊富です[*1]。n-6系脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸の1つなので、食品から摂取することが必要になります。身近なものではコーン油や大豆油、ゴマ油などの植物油にも含まれています。
なお、n-6系脂肪酸が冠動脈疾患の予防に役立つ可能性があるともいわれていますが、まだしっかりと解明されてはいません[*2]。動脈硬化などの血管に関する病気の予防にと思う方もいるかもしれませんが、効果を期待してピスタチオだけを多く食べ続けるといったような、極端なことはしないほうがよいでしょう。
カリウム|過剰な塩分を調整
ピスタチオにはカリウムも豊富で、可食部100gあたり970mgも含まれています[*1]。これは一般的にカリウムが多いといわれる果物や大豆類と同レベルかそれ以上です。
カリウムには体内の塩分濃度を調整する働きがあり、余分な塩分を排出してくれます。炒って味付けしたピスタチオは塩分が多めで、可食部100gあたり0.7gくらいの塩分が含まれるので、塩分を排出するカリウムを同時に摂取できるのはうれしいですね。
なお、腎臓に疾患がある場合はカリウムの摂り過ぎが心配になるでしょう。ピスタチオを食べ過ぎないように注意するとともに、食事全体で調整することが大切です。心配な場合は医師に確認してください。
食べ過ぎが健康や美容に与える影響は?
ピスタチオはお酒のおつまみなどにもぴったりなので、ついつい食べ過ぎてしまうこともありそうですが、注意したい点もいくつかあります。食べ過ぎが健康に与える影響について見ていきましょう。
リスク① 腹痛や下痢
ピスタチオに含まれる不溶性食物繊は水分と一緒に摂取することで便のカサを増やして排便を促します。ピスタチオには水分がほとんどないため、ピスタチオばかりに食べていると逆効果になることがあります。場合によっては便秘が悪化したり、消化不良や腹痛、下痢などの症状を引き起こすことが考えられるので、注意が必要です。
水溶性食物繊維を豊富に含む海藻類や果物、ビフィズス菌や乳酸菌を含む発酵食品なども摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。
リスク② 太る
脂質が多いピスタチオは、可食部100gあたり617kcalとカロリーが高めです[*1]。また、味付けがしっかりしているので、ついついお酒と一緒にたくさん食べてしまいがちでしょう。袋から直接食べるのではなく、量を決めて小皿などに取り出して食べるようにすると、食べ過ぎを抑えることができますよ。
なお、ピスタチオに含まれるリノール酸は必須脂肪酸ではありますが、ほかの身近な食品からも摂取する機会があるため、リノール酸を摂るためにピスタチオをたくさん食べようとするよりも、脂質が多いことを理解し、摂り過ぎに気を付けるほうがよいでしょう。
リスク③ ニキビなど肌荒れ
ニキビや肌荒れといった皮脂の異常は睡眠などの生活習慣、もともとの肌質、洗顔などのケアが大きく影響しますが、食生活も原因の1つになりうるでしょう。脂質は摂り過ぎると皮脂の過剰分泌につながる可能性もあるので、ピスタチオなどのナッツ類や揚げ物など脂質の多いものを偏って食べることは避けるとよいですね。
ピスタチオを食べるときの適量は?
栄養豊富なピスタチオも、健康や美容のためには食べ過ぎを控えたいですね。どのくらいの量が適量になるのでしょうか。
1日の摂取量の目安|15~25粒程度
ピスタチオの摂取量に決まった目安はありませんが、間食として食べることが多いので、間食のカロリーの目安である200kcal[*3]を基準にして考えてみましょう。
ナッツだけでなく200kcal摂るよりも、果物や飲み物も組み合わせる方がバランスの良い間食になるので、ナッツ類で100kcal強を摂るくらいのイメージがおすすめです。
そうするとピスタチオ15g程度(殻付きだと36g程度)、数で言うと15粒~多くても25粒程度を目安にするとよいでしょう。
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ピスタチオを食べるときの注意点
最後に、食べ過ぎ以外の注意点として知っておきたいことをお伝えします。
5歳以下の子どもにはNG
ピスタチオなどナッツ類や硬い豆は、子どもには噛み砕きにくく、のどに詰まられて窒息するなどの危険があります。細かく砕いたものを与えても、かけらが肺に入ってしまうことが考えられます。消費者庁でも「5歳以下にはあげないように」と注意喚起を行っているので[*4]、気を付けましょう。
ピスタチオペーストやピスタチオクリームなら問題ありませんが、粒のないものを選んでくださいね。
ナッツアレルギーに注意
ナッツ類はアレルギーを引き起こす可能性があります。個々のナッツによって症状の有無は異なるため、1つのナッツにアレルギーがあると他のナッツもひとくくりに除去しなければならないというわけではありません。
しかしピスタチオに関しては、カシューナッツにアレルギーがある場合には避ける必要があります。ピスタチオとカシューナッツはアレルギーの原因物質の形が似ているためです。ピスタチオはナッツ類のアレルギーの中で症例が多いわけではありませんが[*5]、カシューナッツにアレルギーのある人は注意しましょう。
まとめ
ピスタチオは栄養豊富な反面、食べ過ぎるとさまざまな不調を引き起こす可能性があります。手軽なおやつやおつまみにと活躍してくれますが、食事のバランスを考えつつ、食べ過ぎに気を付けて楽しみたいですね。
(文:宗政 祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]農林水産省:食事バランスガイドについて
[*4]消費者庁:Vol.540 もうすぐ節分。硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!
[*5]平成30年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます