カシューナッツの食べ過ぎはこんなリスクが!賢く栄養をとるための目安【管理栄養士監修】
おつまみやお菓子、中華料理など幅広く使われるカシューナッツ。ナッツ類は栄養価が高く体に必要な栄養素をとることができます。その反面、おいしく手軽に食べられるので食べ過ぎてしまいやすい食べ物でもあります。食べ過ぎにならない適量や注意点を見ていきましょう。
カシューナッツは栄養豊富!
ナッツ類は植物の種子の部分にあたるため、植物が成長するための栄養分をたくさん含んでいます。では、カシューナッツにはどんな栄養が含まれているのでしょうか。
カシューナッツの健康効果
■オレイン酸■
カシューナッツの脂質にはオレイン酸が多く含まれています。このオレイン酸には血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を下げる効果が期待できます[*1]。オリーブオイルに豊富なことでも有名ですね。
■ビタミンB1■
ビタミンB1は糖質を分解してエネルギーに変えるために重要な栄養素です[*2]。カシューナッツは主なナッツ類の中でも最もビタミンB1を含んでいます[*3]。
■鉄分■
鉄分は貧血の予防などに役立ちます。カシューナッツに含まれる非ヘム鉄(※)は、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取することで吸収率がアップします。鉄分以外にもカリウムやマグネシウム、リン、亜鉛といったその他のミネラルもバランスよく含まれています[*3]。
(※)鉄は動物性食品に多い「ヘム鉄」と植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2つに分けられる。鉄はどちらかというと吸収率の低いミネラルだが、ヘム鉄は非ヘム鉄と比べて吸収率が高い。
カシューナッツを食べ過ぎるとどうなる?
アーモンドやマカダミアナッツなどと比べてカシュ―ナッツは食感が柔らかく、食べやすいという方もいるでしょう。ただし、食べ過ぎには気を付けたいところです。
食べ過ぎのリスク① 太る
カシューナッツなどのナッツ類は栄養価が高い分、食べ過ぎてしまうとカロリー(エネルギー)や脂質のとり過ぎにつながるという面も。カシューナッツ(フライ・味付け)は100gあたりでカロリーは591kcal、脂質は47.6gです[*3]。ご飯が100gで156kcalであるのと比べると、重さの割にカロリーが高いため食べ過ぎると太りやすいという面があります。
食べ過ぎのリスク② 肌荒れ
ナッツ自体の脂質だけでなく、味付けに使われるオイルやバターも加わるなどして脂質の摂取が多くなると、ニキビなどの肌荒れの原因になる場合があります。
食べ過ぎのリスク③ 腹痛・便秘
カシューナッツには不溶性食物繊維が多く含まれています。便のカサを増やす作用のある不溶性食物繊維は適量であれば便秘を予防する方向に働きますが、過剰に摂取すると逆におなかの調子を悪くし、腹痛や便秘、下痢を起こす原因となる場合があります。
カシューナッツの目安量は?
栄養価のあるカシューナッツなので、カロリーや脂質の摂り過ぎにならない程度で食生活に取り入れていきたいですよね。1日どのくらいが目安になるのでしょうか?
目安量|1日15~20粒くらい
カシューナッツは10gで59kcal、脂質も4.7gとなります。1日の摂取量は20g程度とし、15~20粒程度を目安にするのがよいでしょう。
成人の1日あたりの間食は200kcalくらいが望ましいのですが、ナッツだけ……など1つのものに偏ることはあまり望ましくありません。ナッツ類20gでだいたい半分の100kcalをとり、飲み物や果物で残りの100kcalをとれるといいですね。
食べるときのポイント|素焼きを選ぶ
味付けされたものは食べやすいですが、オイルやバター、砂糖がついているため素焼きに比べるとカロリーや脂質が高くなりやすいという面があります。また、塩味がついているものは知らず知らずのうちに塩分のとり過ぎになる場合も。選ぶ際には素焼きタイプにするとよいでしょう。
その他のナッツの食べ過ぎは?
カシューナッツ以外のナッツの食べ過ぎについて知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
▶ナッツの食べ過ぎは太る?便秘する!?
▶クルミの食べ過ぎのリスクは?
▶アーモンドの食べ過ぎのラインは?
▶ピスタチオの食べ過ぎは大丈夫?
▶ピーナッツは何個まで?食べ過ぎたらどうなる?
妊娠中や子どもの場合
妊娠中や子どもの場合が気になる方もいるでしょう。妊娠中もカシュ―ナッツは食べて大丈夫です。ただし小さな子どもの場合には注意が必要になります。
妊娠中もおすすめ!
カシューナッツには妊娠中に嬉しい栄養素も含まれています。たとえば葉酸は不足すると胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクがあるため、妊娠前や妊娠中はしっかりとりたい栄養素です。また、妊娠中は妊娠していないときよりもエネルギーが必要になるため、糖質をエネルギーに変えるために重要なビタミンB1がとれるのもうれしいですね。
ただし、やはり食べ過ぎには注意が必要です。先ほどお伝えした1日15~20粒を目安にするのがよいでしょう。
子どもの場合の注意
■5歳以下の子どもには与えない
ナッツ類や硬い豆は小さな子どもには窒息などの危険があります。細かく砕いたものでも気管に入って肺炎などが起こり得ます。5歳以下のお子さんには噛み砕く必要がある硬いナッツ類や豆類は与えないようにしましょう[*4]。
■ナッツアレルギーにも注意
カシューナッツは食物アレルギーを引き起こす可能性のある食材の1つでもあります[*5]。必ず起こるわけではありませんが、初めて食べるときには注意してください。
まとめ
カシューナッツはオレイン酸など健康効果が期待できる栄養素が豊富です。ナッツの中では比較的柔らかいため、他のナッツよりも食べやすいという方もいるでしょう。量を決めて食べれば体に嬉しい栄養をとることができます。持ち運びも便利な間食のレパートリーにいかがでしょうか。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」
[*2]公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット「ビタミンB1の働きと1日の摂取量
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*4]消費者庁:Vol.540 もうすぐ節分。硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!
[*5]公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット「食物アレルギーの食事や調理のポイント」
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます