「周りがするからウチも中学受験」って、あり?|中学受験を決めた理由
中学受験熱が高いエリアでは、小学3年生ごろから多くのお友だちが塾通いを始めます。けれど、周囲に流されるように中学受験を決めることには、抵抗があるママ・パパも多いですよね。子供の学級崩壊を経験し、知識ゼロからの中学受験に挑んだ木村美鈴さんが、ふたりの子供の中学受験をサポートする立場から、ひとつの考え方を紹介します。
「なんとなく」で始める中学受験はOK?
中学受験には覚悟がいる。そう聞く機会は多いと思います。
それでは、周りの状況をキッカケに、なんとなく中学受験の世界に足を踏み入れるのはNGなのでしょうか?
以前、友人からも相談がありました。「『みんなが塾に行ってるから、自分も行きたい』って子供が言うの。そんなふうに中学受験を始めるのって、ありなのかな?」といった内容です。
私は、次のふたつの理由から「それもありだと思う」と答えました。
・子供が勉強に興味を持ったときはチャンスだから
・がんばる友達の姿を見て「自分もやろう」と思うタイプの子もいるから
子供が勉強に興味を持ったときはチャンス
塾に通えば、今よりたくさん勉強することは、子供でもわかっているはずです。
にもかかわらず「塾に行きたい」と言うのであれば、子供が勉強に対して興味を持ったということ。
受験のための勉強が、勉強の習慣をつける良いチャンスと、前向きにとらえてもOKだと思います。
がんばる友達の姿を見て「自分もやろう」と思うかも
塾には集団塾と個別指導塾があります。とくに、集団塾の場合には「一人ひとりのがんばりが、ほかの子にも良い影響を与える」という雰囲気があります。
たとえば、わが子は通信教育で勉強していたときはモチベーションが上がらない様子でしたが、集団塾に通い始めると「今の勉強量じゃ足りない……」と焦り、勉強に前向きに取り組むようになりました。
子供は良い意味でも悪い意味でも、まわりの影響を受けやすいものです。勉強面でいえば、まわりの子の存在が良い結果につながることが多いな、と感じています。
中学受験を始めるときに意識したポイント
とはいえ、中学受験始めるときに、やはり覚悟する部分も必要だと思います。
わが家では受験勉強を始める前に「努力や我慢も必要になるんだよ。それでもがんばれそう?」と、本人のやる気を確認しました。
そして、親である私自身も、子供と受験を始める覚悟があるのか、心のなかで何度も確かめました。
また、塾に通うだけで子供が満足してしまうことに不安も感じ、次のような目標を持って勉強することも約束しました。
・志望校を決めて、その合格を目指して勉強をする
・目指す偏差値を決めて勉強をする
具体的な目標が見つかるまでは、塾からもらえる「ごほうび」を目標に勉強しても良いかもしれません。
塾の先生によっては、実力テストや確認テストで100点を取ったときに、消しゴムやノート、賞状などをくれることもあります。
わが子も、勉強をがんばった結果としてもらえる賞状やごほうびはうれしかったようで、勉強のモチベーションが下がったときにひとりで賞状を眺めていたこともありました。
まわりの環境もチェック
中学受験をするかどうか考える際、まわりの環境を冷静にチェックしてみることも大切です。
・地元の公立中学の様子
・近くの塾の定員がオーバーしていないか
子供のタイプ・性格によっては、地元の公立中学の環境が合っている場合もあります。受験熱の高い地域でも、中学受験を選択しない家庭も当然あるので、まわりの様子を冷静に確認してみるのも大事なことだと思います。
そして近年の中学受験熱の高まりから、塾によっては定員オーバーで入れないケースもあるようです。通いたい塾が決まっている場合には、そもそも空きがあるのか聞いてみることも大事です。
受験生活で気をつけていること
「中学受験をする」と決めた方に向け、受験生の子を持つ私が、ふだんから気をつけていることをお伝えします。
注意しすぎない
受験生といっても、まだ小学生。常にやる気満々とはいかない。そう、わかっていても、勉強しない子供を見るとイライラが募ってしまうんです。
私も以前は「やるって決めたでしょ!」と子供に注意していました。でも、そうやって怒ってしまった後の子供との関係はギクシャクして、私が注意すればするほど子供のやる気はなくなっていきました。
そのため、今は「そろそろやる時間だよ」と声をかけるだけに留め、子供の自主性に期待するようにしています。
まわりの意見に流されすぎない
塾から口酸っぱく言われているのが、まわりの意見に流されすぎないことです。
中学受験の世界は、ママ友の話やインターネットなどで多くの情報が入ってきます。私も経験がありますが、とくに、掲示板やSNSは見れば見るほど不安になってしまうのです……。
そのため「どんな目的で受験を始めたのか」を振り返りつつ、自分にとって必要な情報だけを見るように心がけています。情報を取捨選択していくと、冷静に考えられるようになるのでおすすめです。
「受験をやめたい」と言われた場合を想定しておく
もし、子供が「受験をやめたい」と言ったらどうするかも、考えておくようにしています。
たとえば、「友達が塾をやめたから」といった理由では認めない、「地元の公立中学の部活に興味があるから」といった前向きな理由なら、受験をやめるかどうか家族で話し合うことにするなど、もしものときのことを考えておくと、親としても動揺することなく、子供に向き合うことができます。
ちなみにわが家では、子供を追い詰めないために「受験をやめたくなったら正直に伝えてね」とも伝えています。
子供のやる気が、スタートの合図かも
子供の受験生活をサポートしていて感じるのは、中学受験をめざすうえで大切なのは子供自身のやる気だということです。
はじめは「友達が塾に通い始めたから」といった理由でも、子供が勉強に興味を持ち始めたのなら、それはチャンスだと思います。がんばる友達の姿を見て「自分も勉強をしよう!」と考える子も少なくありません。
キッカケが周りからの影響だとしても、目標に向かって家族がまとまり、親子で話し合う機会が増えれば、受験のプラスの面を感じられるのではないかと思います。