#古坂大魔王のモヤズバッ! Vol.9 僕の子どもは連れ子。血が繋がっていない子どもに、どう接すればいい?
お笑い芸人や音楽プロデュース、テレビ番組のMCなど、多忙な毎日を送りながら、2児のパパとして育児に奮闘する様子をSNSで積極的に発信している古坂大魔王さん。同じように育児や夫婦関係のことで悩んでいるパパ・ママのお悩みに、ズバッと切り込みます。
今回のお悩み
rivaaaiaさん(23歳/電力・ガス・石油/販売職・サービス系)
僕の子どもは、いわゆる連れ子です。子どもが1歳のときに出会いました。今では妻と一緒に暮らすことができて幸せです。ただ、自分と血が繋がっていない子どもへの一番いい接し方があれば教えてください。
古坂さんの回答
血のつながりは重要じゃない
この相談に、ぜひ答えたいと思った理由があります。それは、僕が歳をとっていることもあってか、実際にパートナーの連れ子と幸せに暮らしている人を何人も知っているけど、まだ若いrivaaaiaさんの周囲にはそういった「ロールモデル」的な存在がいないのかもしれないと思ったからです。
まずは僕自身、今まで子どもと「血が繋がっている」ことを意識したことがありません。少し似ている部分はあるかもしれませんが、長く一緒にいることで、しぐさや言いまわしなどは似るからです。「子どもと血が繋がっているから、そんなのんきなことが言えるんだ」と思う人もいるかもしれない。でも、昔から友だちの子も親戚の子もかわいいと思うタイプでした。
子どもが生まれて実際に育ててみると、ますます「血が繋がっていても、繋がっていなくても、どっちでもいいんじゃないか」と思うようになったんです。とにかく子どもがあまりにもかわいいから。血が繋がっていなくてもめちゃくちゃかわいいんです。まして好きな人の子どもなら、最高ではないかと思います。
一方で、rivaaaiaさんの不安もわかります。でも、こうして相談をしてくれたこと自体も、お子さんへの「一番いい接し方」を知りたいと思うことも、もうお子さんへの愛情をしっかり持っている証拠だと思いますよ。これは血の繋がりよりも、ずっとずっと大事なことだと、僕は思います。
くさくてもなんでも「愛こそ最強」
では満を持して、子育てにおいてもっとも大事だと思うことを伝えたいと思います。「愛こそ最強」です。愛の正体は「言葉」「スキンシップ」「時間」の3つ。これらのどれが欠けてもダメです。
「かわいい」「大好きだよ」「大事だよ」などと愛を伝えたり、「ダメ」「やめなさい」ではなく「○○をすると怪我をするからやめよう」と説明したり、言葉を使わないとコミュニケーションはとれません。子どもの話をよく聞くことも大事です。昼食に何を食べたか聞いておかないと、夕食に同じものを出してしまうかもしれない。そんな小さなことも愛です。
スキンシップも普通のことですが、頭をなでたり、手を繋いだり、高い高いをしたり、戦いごっこをしたり、抱きしめたりすることです。子どもの年齢や好み、特性に合わせて、嫌がらない範囲で触れ合うことは重要だと思います。そして時間。ある程度の時間を一緒に過ごして、世話をすることも愛を育むためには必須です。
こうして愛さえあれば、もう血の繋がりなんて関係ないと思います。夫婦も他人ですが、愛があるからこそ一緒にいられる。時空も条件をも超えるのは、愛なんです。これを鼻で笑う人もいるかもしれないけど、大人になってもひねくれていたらもったいない。何しろ「愛が最強」なのは事実だと、僕は思います。
売れなかったころは、性格が悪かった
実は、売れない芸人だったころの僕はかなりひねくれていました。先にブレイクした先輩たちがスタッフさんにお礼を言ったり、すべった他の芸人さんをフォローしたりしているのを見て、「ほら~、売れたら性格が変わる! きっと売れて一段階上のステージに行ったから、周囲を下に見てるんだ! へッ!」なんて思っていたんです。性格が悪いですよね(笑)。
ところが、ある日、急にハッと気づいたんですよ。因果関係が逆だと。ブレイクした人たちは周囲への愛があったから売れたんです。僕は青森から出てきて自信がなくて怖くて、だからひねくれていて、性格が悪くとんがっていたわけです。でも、その日以来、悪い部分を改め、周囲に愛や感謝を伝えるようになり、さらに経験を積んで自信をつけていったら、いつの間にか仕事がうまくいくようになりました。
これはたぶん、子育てでも同じこと。ちゃんと愛情や感謝を伝えること、子どもの反応を見ながら少しずつ成功体験を積み重ね、トライ&エラーで調整していく。そうすれば、きっと親子としてうまくやっていけるという自信がつくし、お子さんも、奥さんも、rivaaaiaさんも家族全員が幸せになれるのではないでしょうか。
最後に、若いときって今の悩みや不安を「すぐに解消したい」「すぐに解決できる」と思いがちです。でも、歳をとると「時間をかけなければ解決できないことがある」と感じることが多々あります。結局、一つひとつ自分で経験し、努力し、軌道修正していくしかない。若いからこそ不安になるときもあるだろうから、23歳のrivaaaiaさんには「大丈夫、歳をとれ~!」って言葉を贈りたいと思います。
今回の結論!
古坂大魔王さんプロフィール
1973年7月17日生まれ。青森県出身。1992年にお笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。現在は、芸人、DJ、音楽プロデューサーのほか、文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使を務めるなど、マルチな才能を活かして活躍中。2児の父。NHK Eテレ『すくすく子育て』、日本テレビ『スッキリ!』をはじめ、多数のバラエティ・情報番組に出演中。プロデュースするピコ太郎の公式YouTubeチャンネル内に幼児向けコンテンツ「ピコスタキッズ」を開設した。
ピコ太郎のYouTubeチャンネル『-PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-"PIKO ST KIDS"』
Twitter @kosaka_daimaou
(取材・文:大西まお、撮影:天田輔[インタビュー]、佐藤登志雄[タイトル・結論]、編集:マイナビ子育て編集部)