#古坂大魔王のモヤズバッ! Vol.8 イヤイヤしだすと手がつけられない我が子。古坂さんはイヤイヤ期をどう乗り越えた?
お笑い芸人や音楽プロデュース、テレビ番組のMCなど、多忙な毎日を送りながら、2児のパパとして育児に奮闘する様子をSNSで積極的に発信している古坂大魔王さん。同じように育児や夫婦関係のことで悩んでいるパパ・ママのお悩みに、ズバッと切り込みます。
今回のお悩み
とんさん(29歳/医療・福祉/専門職)
子どもが3人いるのですが、真ん中の子が絶賛イヤイヤ期です。嫌なことがあると、ものすごい勢いで泣いて怒ってと大騒ぎで手のつけようがありません。古坂さんはイヤイヤ期をどのようにして乗り越えましたか?
古坂さんの回答
非常に恐ろしいイヤイヤ期
イヤイヤ期は大変ですよね。お疲れさまです。うちも、上の子のイヤイヤ期ど真ん中に下の子が生まれ、しかも同時期に引っ越しもしたので大変でした。もう上の子は「赤ちゃん返りスーパー」って感じで「バブゥ、バブゥ」と言ってヨチヨチ歩きするし、昨日は大喜びしたはずの食事のお皿も「絵の向きが違う!」と言って急に激怒したり……。今思い出しても、非常に恐ろしいですね。
妻は産後すぐで満身創痍だし、僕は下の子の夜泣き担当までしていたので、手がまわらなくて。いろいろ試したりもしましたが、忙しいときは上の子の世話も普通にしつつ、「イヤイヤ」をスルーしていました。だって何をしてもダメなときはダメですからね。子どもの中のルールをひとつでも親が破ると大激怒ですから、イヤイヤ期の子どもは。もう無茶苦茶ですよ!
「ウワー、ギャー」って怪獣のように怒り出したら、「はい! イヤイヤ期スタート!」ってナレーション入れたりして、感情的に怒らないようにはしていました。ただ外でイヤイヤされると困るんですよね。スーパーで暴れ始めたときに、連れて帰ろうと子どもを抱き寄せたら、絶対に痛くないのに「イタイイタイ! イタイイタイ!」なんて泣き叫ぶこともあるわけです(笑)。
そのままだと、連れ去りか虐待に見えてしまいますよね。だから、「最近流行りのイタイイタイだ~!」などと、周囲に聞こえるようにわざと大きな声で言ったり、名前を呼んで落ち着かせたりしていましたが、やっぱりハラハラしましたね。そして「うるさくしてすみません」って1回は言っていましたが、キリがないので謝り続けないようにしていました。
「イヤイヤ期フォルダ」を作る
そのほかに実践していたのが、以前、仕事で教えていただいた「イヤイヤ期フォルダ」を作るというテクニックです。子どもが泣き出し始めたら「またイヤイヤが始まったね~! 動画を撮るよ~!」って声をかけて撮影します。撮影後は、「イヤイヤ期フォルダ」に保存。本人にも見せて、一緒に笑うんです。本人も「何これ?」と思ったのか大笑いし、一気に機嫌が直ったことがありました。
ただ、次のときは子ども自身に記憶があるから恥ずかしくなり、撮影すると余計に怒る子もいるかもしれません。その場合はイヤイヤしているところに近づいていって、ほかの子が激しく泣いたり怒ったりしている動画を見せます。ただ、自分のイヤイヤ言ってる声によって動画の声が聞こえづらいので、大音量で見せる必要がありますね(笑)。これも自分を客観視することにつながるので、効果があるかもしれません。
ほかの子の動画でなくても、親が大きな声で泣いて駄々をこねて見せるのもありではないでしょうか。うちの妻も嘘泣きして見せていたことがありました。ただ、これには騙されなくなっていくかも。そのほか、風船が割れるなどの大きな音が聞こえると、急に泣いたり駄々を捏ねたりするのをやめる子も多いようです。「パーン!」とか「ドーン!」とかいう大きな音が聞こえると、生命の危機に備えて我に返るんですね。
ちなみに、イヤイヤ期の様子を撮影するのは、子ども本人が嫌がる場合はやめたほうがいいと思います。でも将来、親子で楽しく振り返ることができるかもしれません。笑っている動画だけじゃなくて、泣いたり怒ったりしている動画もあったら楽しいでしょうね。
今日は無理でも明日はできるかも
よく思うんですが、同じ親のもとに生まれ、同じように育てられても、子どもは同じようにはならないですよね。だからイヤイヤ期だって、子どもそれぞれに違う。何をやってもイヤイヤをやめてくれない場合はあると思います。よくイヤイヤが激しい子がいると親のせいにされますが、それもそうとは限らない。子どもは多様性を教えてくれるなあと思います。
子育てで悩んだときに僕が思い出すのは、テレビ番組でご一緒させていただいている発達心理学を専門とされている先生のお言葉で「子どもが今できないことは諦めたらいい。その日の成果はそこまで。今日は無理だということ。でも子どもは成長するから、明日は違うかもしれない」というようなことをおっしゃっていました。
それを聞いて、僕は「ああそうか!」と思ったんです。その日はイヤイヤがやめられない子も、明日はやめられるかもしれない。子どもには大きな可能性がある。今日できないからといってガッカリしたり、急かしたりする必要はないんだって。だから働きかけてもダメなら、いったん笑いに変えたり、スルーしたり、「今日は無理だな」って諦めたり、やり過ごしたりしていいと思うんです。
そうして、あとで振り返ると、イヤイヤもおもしろかったと思う日が来るかもしれない。僕は自分が子育てでしんどいときに他人に「今が一番いいときだよ」って言われて、内心「こんなに大変なのに……」と思っていたんです。でも振り返って見ると、いいときだったと思います。今だって、そうですけど。お互いに子育てを、楽しみながら適度にがんばっていきましょう。
今回の結論!
古坂大魔王さんプロフィール
1973年7月17日生まれ。青森県出身。1992年にお笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。現在は、芸人、DJ、音楽プロデューサーのほか、文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使を務めるなど、マルチな才能を活かして活躍中。2児の父。NHK Eテレ『すくすく子育て』、日本テレビ『スッキリ!』をはじめ、多数のバラエティ・情報番組に出演中。プロデュースするピコ太郎の公式YouTubeチャンネル内に幼児向けコンテンツ「ピコスタキッズ」を開設した。
ピコ太郎のYouTubeチャンネル『-PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-"PIKO ST KIDS"』
Twitter @kosaka_daimaou
(取材・文:大西まお、撮影:天田輔[インタビュー]、佐藤登志雄[タイトル・結論]、編集:マイナビ子育て編集部)