【国語調査】年代問わず浸透している“気になる言葉”は「すごい速い」、一方で最も使われていないのは「ちがくて」
普段何気なく使っている日本語ですが、時代によって使い方や意味が変化することも。今回は、文化庁が行った「国語に関する世論調査」をもとに、とくに口語として使われることが多い7つの「気になる言葉」について、年代別に聞いた結果を紹介していきます。
意外!? 60代以上にも浸透している「気になる言葉」
文化庁国語課では、現在の社会状況の変化に伴って、日本人の国語に関する意識や理解の現状を知るために「国語に関する世論調査」を実施。全国の16歳以上の個人6,000人に対して、郵送法による調査を行い、3,579人から有効回答を得ました。その結果を見ると、いわゆる「若者言葉」をはじめとした「気になる言葉」には、年代に関係なく浸透しているものもあることがわかりました。
「すごい速い」は約6割が使用している
今回の調査では「気になる言葉」として以下の7つの言い方について聞いています。なお、これら7つの言葉は、文法的には破格とされる場合があるものなどの中から、新しい使い方や意味が辞書に記載されてきたものです。
1.「そうではなくて」→「ちがくて」
2.「すごく速い」→「すごい速い」
3.「あの人みたいに」→「あの人みたく」
4.「なにげなく」→「なにげに」
5.「中途半端でない」→「半端ない」
6.「正直なところ」→「ぶっちゃけ」
7.「実態などを分かりやすく示すこと」→「見える化」
これらの言葉を使うことがあるかと聞いた結果、「使うことがある」という人が最も多かったのは「すごい速い」であり、約6割に上りました。「なにげに」や「半端ない」も5割に近い人が使っていることがわかりました。
一方で使う人が少なかったのは、「ちがくて」や「みたくなりたい」、「見える化」でした。
次に、これらの回答を年代別に見た結果が次のとおりです。
10代が使わない「見える化」
全体で見ると若い世代の方が使用割合が高く、年齢が高くなると割合が減っていく傾向にあります。その中で高齢の年代にも比較的使われているのが「すごい速い」です。とくに50代までは70%以上と非常に高く、60代でも半数近くに上ります。70歳以上の高齢者でも4割以上が使用しており、年代を問わずに浸透している言葉のようです。
「ぶっちゃけ」はくだけた表現ですが、意外にも10代や20代より30代で最も使っている人が多いという結果でした。
また、「見える化」に関しては、30代から50代の使用割合が3割を超えていますが、16歳~19歳では16.2%とほかの年代より少ない傾向にあります。主にビジネスシーンで使われるようになった言葉なので、10代にはあまり浸透していないのかもしれません。
気になる人が過半数となったのは「ちがくて」
これらの言葉をほかの人が使っているのを見たり、聞いたりした場合に気になるかどうかを聞いた結果も見てみましょう。
世代を問わず浸透している「すごい速い」は約8割の人が「気にならない」という結果に。使うことがある人は約6割だったので、自分は使わないが、他人が使っていても気にならないという人も一定数いることが推測されます。それほど違和感なく受け入れられている言葉ということでしょう。
また、全体的に「気にならない」人が5割以上となっており、唯一、「気になる」人が多かったのは「ちがくて」でした。この言葉を使うと相手に違和感を与える可能性も低くないかもしれません。
ちなみに、基本的に若い世代の方がどの言葉も「気になる」人の割合が少ないですが、唯一、16~19歳の「気になる」が他の年代よりも多かったのが「見える化」でした。その割合は60.8%に上ります。若い人と話しているときに「見える化」と言うと、違和感を持たれることもあるかもしれませんね。
まとめ
今回、取り上げられた7つの「気になる言葉」は、本来の意味や使い方とは異なっているものの、新しい使い方や意味が辞書にすでに記載されているものです。これらは、テレビなどのメディアやSNSなどを通して人々に浸透し、本来の意味や文法とは違う使われ方が「当たり前」になっていった言葉とも言えます。中には思いのほか、多くの年代の人に受け入れられている言葉もあります。その一方で、年代での違いが大きいものもあり、そうした言葉は時代とともに使われなくなっていく可能性もあるのでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
調査概要
■令和3年度 国語に関する世論調査/文化庁国語課
調査地域:全国
調査対象:16歳以上の男女
調査時期:令和4年2月21日から2月21日まで
有効回答数:3,579サンプル