ママ友とうまく付き合えない妻。PTAや自治会は夫が行っているが…<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、パートナーの人間関係についてのお悩みです。「表面的な付き合いはそこそこ。でも特定の人とは……」というその困りごととは。
特定の人との付き合いだとしんどくなってしまう妻。どうすればママ友とうまくいく?
妻がママ友といつもうまくいきません。
妻は精神的に弱いところがあって、性格的にも少々偏りがあり、表面的な付き合いはそこそここなせますが、特定の人と継続してつながっていると必ずうまくいかなくなり、本人がしんどくなってしまいます。
なので、自治会やPTAの係などはできるだけ夫である私が行くようにしています。それでも、子ども同士が友だちになると、どうしても母親同士での付き合いが出てきます。
どうすれば妻はママ友とうまく付き合えるようになるのでしょうか。
(46歳・男性・医療・福祉/専門職)
■家族構成:自分46歳、妻45歳、長女15歳、長男4歳
■お困り度:★★★★★★★★☆☆
妻さんが特定の人と深く付き合うのが苦手で、ママ友とのお付き合いが深くなってくるといつもしんどくなってしまうということですね。
子ども同士が友だちになったり、習い事が一緒になったりしても、親同士が気が合うとは限りません。「子どもが友だち」という共通項以外、年齢も性格もバラバラな親同士が仲良く付き合っていくのは、実はとても難しいことです。
そして、相談者さんの言葉を借りれば、妻さんは「精神的に弱く、性格に偏りがある」と。初対面の人と仲良くするのが苦手であったり、人から言われることに傷付きやすかったりという人物であれば、ママ友付き合いが難しいのは尚のことでしょう。
きっと、ほかのお母さんたちのようにママ友を作ることができないことで一番悩んでいるのは妻さん自身なのではないでしょうか。
子どもを産んで母親になったからといって、苦手な人付き合いが突然上手くなるわけではありませんし、必ず親しいママ友を作らなくてはいけないわけでもありません。
妻さんは、表面的なお付き合いはうまくできるのですよね。習い事の送り迎えの時にほかの保護者にあいさつし、ほんの少し会話する……など、最小限の関わりが大丈夫ならば、その距離感が妻さんにとってベストなのでしょう。「無理してママ友を作ろうとか、仲良くしようと頑張らなくてもいいんだ」と割り切るのも一つだと思います。
自治体やPTAなどは相談者さんが率先して行かれておられるとのこと。妻さんにとっては本当に頼もしい存在ですね。相談者さんには「妻は妻のままで大丈夫」と受け止めた上で、妻さんが孤立したり、人付き合いに悩んで追い詰められたりしないよう、見守り支えてあげてほしいなと思います。
人は、親になったからといって急に性格まで変えることはできません。「親になったのだから、苦手だけど人付き合いを良くしないと」とか、「親になったのだから、疲れてても毎日子どもを公園に遊びに連れて行かないと」とか、“理想の親像”と“現実の自分”とのギャップに苦しんでしまう保護者の方は少なくないのです。でも、理想通りにいかなくてもいいではないですか。無理して自分を変えようとし過ぎず、自分たちらしく自分たちのできる範囲で子育てをしていっていただきたいなと思います。苦手な部分は、パートナーなど周りの方に助けてもらったり補ってもらったりすることも大切です。これからも補い合いつつ進んでいってくださいね。
(文:臨床心理士 亀井紗代子/うららか相談室)