パクチーを食べ過ぎると下痢になる?適量は?効能とリスクを解説【管理栄養士監修】
エスニック料理には欠かせないパクチー。最近では専門店も登場し、身近な食材になってきました。好きな人にとっては独特の強い香りがたまらないですよね。たくさん食べたい!と思う方もいるでしょう。食べ過ぎるとリスクはあるのでしょうか? 適量についても解説します。
パクチーとは?コリアンダーとは別物?
パクチーは地中海沿岸が原産のセリ科の植物で、夏に収穫期を迎えます。日本では「パクチー」として広まっていますが、これはタイでの呼び方で、英語の「コリアンダー」や中国語の「香菜(シャンツァイ)」も同じ植物を指した言葉です。葉から茎の部分を食べることが多いですが、種子も香りが強く、スパイスとして使われています。
ちなみに英語の「コリアンダー」は、ギリシャ語でカメムシの一種の南京虫を表す「koriandron」が語源という説もあります。パクチーが苦手な人が「カメムシの匂いがする」と感じるのも納得ですね。
パクチーを食べ過ぎるとどうなる?
パクチーをたくさん食べるとどのようなリスクがあるのでしょうか?
リスク|腹痛や下痢
パクチーは体に蓄積されやすい栄養素が少ないので、食事として適切な量であれば、少し食べ過ぎることがあっても、過度に心配することはないでしょう。
ただし海外の報告として、パクチーの抽出液を7日間摂取したところ、重度の下痢や腹痛などの症状が出たというものがあります[*1]。パクチーそのものを摂取したケースではありませんが、一度にたくさんの量を続けて食べることは避けたほうが良いでしょう。
セリ科のアレルギーや花粉症の人は注意
クミンなどのセリ科のスパイスや、セロリやにんじんといったセリ科の野菜のアレルギーを持っている人は、同じくセリ科のパクチーでも症状がでる可能性があります。また、セリ科のアレルギーはヨモギやシラカンバなどの花粉症を持っている場合に発症することもあります[*2]。
アレルギーが必ずでるということではありませんが、心当たりのある人は気を付けましょう。
パクチーに含まれる栄養素の効能
パクチーはリスクが少なく安心して楽しめる野菜であることがわかりましたね。ここからは、パクチーに多く含まれる栄養素についてお伝えします。
β-カロテン|緑黄色野菜レベルの多さ
パクチーには体内の活性酸素の発生を抑える働きがあるβ-カロテンが多く、100gあたり1700μg含まれています[*3,4]。β-カロテンが600μg以上の野菜を特に緑黄色野菜と定義するので、意外なようですがパクチーは緑黄色野菜の1つにあたるのですね。
なお、β-カロテンは別名「プロビタミンA」とも呼ばれ、体内で適宜ビタミンAに変換されるため、ビタミンAを補う役割も持っています。加えて、ビタミンAは過剰症のリスクがありますが、β-カロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるので、摂り過ぎの心配がない栄養素です。
カリウム|バナナよりも豊富!
パクチーには体の中の塩分量を調整し、摂り過ぎた塩分を体外に排出しやすくするカリウム[*5]も豊富です。カリウムが豊富なことで知られるバナナは100gあたり360mgですが、パクチーはそれよりも多い590mg[*3]。とはいえ、パクチー100gは香味野菜としてはかなり多いので、パクチーを主なカリウムの摂取源としてとらえるよりも、カリウムを補える食材の1つという程度に考えるのがよいでしょう。
なお、腎臓病などでカリウムの摂取量を制限する必要がある場合、パクチーを100gも摂取するとカリウムの過剰摂取につながる恐れが高まります。パクチーは生で食べることの多い野菜でもあるため、食べる場合は香りを楽しむ程度の量にするなど、注意しましょう。
デトックス効果や体臭を抑える効果は?
パクチーはデトックス効果や体臭を予防する効果があると思われがちですがいずれも科学的な根拠は確認されていません。エスニック料理や辛いものと一緒にパクチーを食べると、すっきりと爽快な風味が楽しめるのが最大のメリットではないでしょうか。適量をおいしく味わうのがよいですね。
パクチーの1日の適量は?
パクチーをたくさん食べたからといって重大なリスクがあるわけではありませんが、健康効果のために1つの食材に偏るようなことは避けるようにしましょう。食事バランスを踏まえたパクチーの適量をお伝えします。
適量の目安|1日10g程度
パクチーの1日の摂取量は、薬味やトッピングとして、生の状態で5~10g程度がよいでしょう。1株でおよそ10g程度になります。
パクチーが好きな人は大盛りにして食べたりするかもしれませんね。基本的にパクチー以外の食べ物もバランスよく食べていれば、多めに食べることがあっても心配はありません。しかしながら、毎日続けてたくさん食べ過ぎないようには注意をしましょう。β-カロテンやカリウムの効能を期待して多く食べるよりは、香りや食感を楽しむ程度がよいですね。
小さな子どもが食べる場合は?
小さな子どもはパクチーを食べても大丈夫なのでしょうか? 危険性が確認されているわけではないためNGではありませんが、風味も強く刺激の強い野菜なので、使うときはあくまでも薬味のように少量使う程度にできるといいでしょう。
パクチーの保存方法
パクチーを一度に食べきれないときの保存方法をお伝えします。
加熱調理で使いたい場合→冷凍保存がおすすめ◎
よく洗ってしっかり水気を切り、ザク切りにしてからジッパー付きの保存袋に入れて冷凍しましょう。冷蔵よりも長く保存することができます。
生の状態で使いたい場合→冷蔵保存がおすすめ◎
洗って水気をしっかり切り、軽く湿らせたペーパータオルで包んでから保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。買ってきた状態にもよりますが、3日程度は色も鮮やかでシャキッとした食感をキープできますよ。
まとめ
パクチーは基本的に安心して食べられますが、食べ過ぎると下痢や腹痛の原因になる可能性があります。また、花粉症やセリ科のアレルギーがある人は症状が出る場合もあるので注意しましょう。β-カロテンやカリウムが豊富ですが、1日に食べる量は10g程度にし、薬味やトッピングとして取り入れるのがおすすめです。食生活はバランスが大切なので、パクチーだけではなくいろいろな食材から栄養素を摂取しましょうね。
(文:村上あゆみ 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報
[*2]原田晋、松永亜紀子、宮地理江子、正木太朗、森山達哉 :セリ科スパイスアレルギーの2例, アレルギー56(12)1515-1521(2007)
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*4]厚生労働省:e-ヘルスネット「カロテノイド」
[*5]厚生労働省:e-ヘルスネット「カリウム」
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます