読書の秋!でも本を読まないうちの子、どうすればいい?|中学受験塾のトリセツ#19
国語の読解が苦手な我が子…。読書をさせればもっと成績は上がる?国語の成績を上げるために読書をさせたいというのは、塾でも質問されやすいトピックのひとつです。そこでお話を伺うのは、受験生の親でもあり、塾講師としても活躍する天海ハルカさん!「国語の勉強と読書の関係」について話してもらいました。
国語の成績アップのために読書をさせるべき?
中学受験を志すなら、読書はしないよりはしたほうがいいです。
読書をすると、長い文章を頭に入れて理解することに慣れるというメリットがあります。
また、さまざまな論理パターンを学んだり、さまざまなシチュエーションを疑似体験したりできるのも読書の魅力。
たとえば「突然、山奥の学校へ転校する」なんて、めったに遭遇しないレアな状況ですよね。自分が経験したことのない世界で、登場人物がどんな気持ちになりどんな行動に出るかというのは、物語を読んでストックするしかありません。
ストックした気持ちや行動のパターンは、国語の読解で役に立ちます。
そういうわけで、読書はしないよりはしたほうがメリットは多いといえるのです。
読書をさせたい!どうすればいい?
子どもに読書をさせたいと思ったときに試してみてほしい作戦を紹介します。
親が読書する姿を見せる
簡単にできる方法は、親が読書をする姿を見せることです。
読書に限らず子どもに何かをさせたいと思ったら、まず親がやって見せるのが効果的です。
効果が表れるまでに時間がかかる方法ですが、まったく本を読まないタイプの子にはよく効くでしょう。
親が読む本は物語などの小説でなくても構いません。
活字部分が多ければ、仕事用の本でも雑誌でもいいと思います。
音や映像ではなく活字を楽しむ時間を作ることで、子どもに「自分もやってみようかな」と思わせることが重要なのです。
テレビやタブレットで映像を楽しむのが好きなタイプの子どもは、活字を楽しむ習慣が ありません。
娯楽イコール音や映像となっているなら、活字を楽しむ無音の時間を作るだけでも読書へ気持ちが向く可能性もありますね。
タブレットが使える子なら、電子書籍のほうがとっつきやすい子もいるでしょう。
本を読むなら紙でなければならない、ということはありません。
ゲームやSNSなどの誘惑という別の問題も生じますが、電子書籍が合うのならぜひ活用してみてくださいね。
図書館へ行く
自ら興味を持って本を読むようになってほしいときは、図書館が効果的です。
本がずらっと並んでいると、なんとなく手に取ったり興味を抱いたりしやすいんですよね。
本屋でも良いのですが、漫画や文房具など、読んでほしい本以外の誘惑が多いのが難点です。
また、本屋だと気になる本があったとしても「買うほどでもないから」と棚に戻してしまうケースも考えられます。
その点、図書館なら本だけに集中できますよね。
ほかに、図書館だと学校にも置いてあるような本を見つけやすいのもメリットです。
どこかで見た本というのは手に取りやすいもの。その場でぱらぱらと流し見もしやすいので、読むきっかけになるかもしれませんね。
ちなみに我が家の場合、娘が塾のテキストにあった読解文の続きが気になり、探したことがあります。
その本は短編集だったのですが、値段を確認すると2,000円のハードカバー……。娘は「塾で読んだ話しか読むつもりがない」と言うし、さすがにためらってしまいました。
図書館にあったので借りて読ませましたが、買うしかなければ諦めていたかもしれません。
親にとっても図書館はありがたい存在ですね。
どんな本を読ませるべき?
子どもが読書を苦と思わない場合は、どんな本を読ませるかが悩みとなりますよね。
私は子どもが読みたいと思えるものが一番だと考えています。
一方的に与えても、読み切れなかったり集中できなかったりしては意味がありません。
中学受験に役立つレベルの本は読みごたえがありますからね。読み切るのも一苦労です。
活字に慣れたり普段使わない言葉や表現を吸収したりと読書は役に立つため、どんな本でも読む意味はあります。
子どもが興味を持てるもの、自ら読みたいと思ったものを読ませてあげてください。
もし子どもが読む本に悩むようであれば、中学入試の出典としてよく上がる作家の本を薦めたいです。
物語文であれば、重松清・森絵都・あさのあつこ・椰月美智子などが頻出作家といえるでしょう。
入試問題で出題される可能性があるからというより、中学入試レベルの文章であるというのが大きな理由です。
繊細な心の機微など、入試問題で問われやすい内容を含んでいるものが多いというのも理由にあります。
志望校がある程度決まっているようなら、その過去問に出てくる著者の作品という選び方も良いです。
志望校への意識がある子なら、入試対策という観点から読みたいという気持ちになるかもしれませんしね。
それでも子どもが本を読みたがらなかったら?
読書をしてもらいたいとさまざま手を尽くしても、子どもが読書をするとは限りません。
やりたくない子は、何をやってもやらないものですよね。
読書は国語の役に立つとはいえ、読書をすれば国語の成績がどんどん上がるというわけではありません。
国語の成績を上げたければ、国語そのものの勉強をしたほうが効率的かつ確実です。
今はその気になれなくても、待っていたら急に読んでみようと思うようになる可能性もあります。
読みたくない子には無理に読書をさせず、「今はその時ではない」と一旦諦め、機を伺いましょう。
読書は「興味を持てばラッキー」くらいの気持ちで
読書で学べることは多いので、読書したくなる環境を作ることは子どもにとってプラスになります。
また、中学受験国語の問題文の出典になるような本は、子ども向けでないものがほとんどです。
大人でも読みごたえがあるので、親も読んで感想を話し合ってみるのも楽しいでしょう。
とはいえ、中学受験のためにと無理に読書をさせる必要はありません。
読書をするに越したことはないですが、読解問題を解くことでちゃんと力はついていきます。
読書をしなかったとしても、勉強面では心配しなくて大丈夫ですよ。
活字を嫌いになっては本末転倒なので、あまり気負わずに軽い働きかけをするくらいがちょうどいいと思います。
「読み始めたらラッキー」くらいの気持ちで、本に触れてみてくださいね。