「怒り」は心を育む大事な感情。おこりんぼかいじゅうポポリといっしょに、親子で取り組む「子どものアンガーマネジメント」
子どもの「かんしゃく」に困り果ててしまうこと、珍しくありませんよね。怒りとどう付き合えばいいのか、親子でアンガーマネジメントを学べる絵本『かいじゅうポポリは こうやって いかりをのりきった』(作/新井洋行 監修/岡田俊 パイ インターナショナル)を、この絵本の編集者である沖本敦子さんが紹介します。
子どものかんしゃくや理不尽な要求に、「いいかげんにしなさい!」と怒鳴り返してしまったことはありますか? 私はあります。たくさん、あります。怒ったあとは、自分が情けなくなり、自己嫌悪。それは子ども同じようで、かんしゃくを起こした後は「ぼくなんてダメだ」と、いじけています。
でも、一見厄介に思える怒りの奥には、実は相手に伝えたい「本当の気持ち」が隠れています。怒りの感情を抱くのは、悪いことでも、恥ずかしいことでもありません。上手に怒ると、大事なものが見えてきます。
すぐに爆発しようとする「いかりのしっぽ」をつかまえて、自分の中に少しのあいだ留めておけるようになると、怒りの裏側にある「本当の気持ち」が見えてきます。それを、自分の言葉で相手に伝えられるようになると、子どもの世界は広がり、味方がどんどん増えていきます。そんな風に、怒りと上手につきあう方法を教えてくれるのが、『かいじゅうポポリは こうやって いかりをのりきった』です。
怒ってばかりのかいじゅうポポリ
ポポリは、怒ってばかりのかいじゅうです。
しっぽの形をほめられたのに、「どうせ ぼくのしっぽは へんな かたちだよ」と大爆発! みんなが楽しそうに遊んでいるのを見つけた時も、「ぼくをなかまはずれにしたな!」と、勘違いして大爆発。怒ってばかりのポポリからは、友達がどんどん離れていってしまいます。
「コーピング行動」で怒りの爆発を防ぐ
そんなポポリの前に、怒りのマスターかいじゅうプワイズが現れ、怒りと上手につきあうための方法を伝授します。
「いかりは すばしこくて パワーが つよい。
すぐに ばくはつしようとする。まずは そのしっぽを つかまえて、
いかりが なにに おこっているのか、いっしょに かんがえる。
いかりのこえを きいてあげるんだ」
プワイズは怒りが飛び出していきそうになった時にする「コーピング行動」を教えてくれます。「ゆっくり10までかぞえる」「みずを のむ」「あさ たべたものを おもいだす」など。この通りでなくても、自分がやりやすいコーピング行動を持っておくことが大事です。
「本当の気持ち」を言葉にできると……
怒りのしっぽを掴んで、怒りの爆発を抑えることを覚えたポポリは、
少しずつ、友達ともけんかしないで楽しく遊べるようになってきます。
しかし、そんなポポリをショックな出来事が襲います。
突然、ひどい言葉を投げつけられたポポリ。コーピング行動を全部試しても、怒りは全然抑まりません。苦しい気持ちが心の中で、大きくふくらんでいきます。今にも爆発しそうな怒りのしっぽを必死で押さえ、ポポリは言います。
「きょう ぼくは はじめて ともだちと けんかしないでバイバイできた。
そんなひを ばくはつで だいなしにしたくない。いかりは なにを いいたいの?
ほんとのきもちを おしえてよ」
ポポリは、怒りの裏側に隠された「本当の気持ち」に必死で耳を傾けようとします。
すると、ポポリにある変化が訪れて……。
この絵本では、「怒り」という感情が人間にとってどれほど大切か、また、怒りに向き合い、自分がなぜ怒っているのかを知ることで、心が成長し、世界が広がっていくことをポポリの経験を通じて教えてくれます。
自分の中に怒りの感情があるのは自然なこと。怒りを恥じたり、無理矢理追い出したりせずに、「怒りと上手につきあう練習」を重ねることで、すてきな変化が訪れます。もちろん最初から上手にはできません。なんべんも失敗を重ねながら、親子で一緒に練習してゆけたらいいですね。我こそはおこりんぼ、という方は、怒りと上手につきあう方法を、ぜひポポリと一緒に練習してみて下さい。
『かいじゅうポポリは こうやって怒りをのりきった-かいじゅうとドクターと取り組む2 怒り・かんしゃく-』