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2024年02月04日 10:00 更新

「ねずみの嫁入り」あらすじ|「日本一の娘にふさわしい婿はねずみの中にはいない」と思った両親がたどり着いた答え

親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回は馴染みのある昔ばなしのひとつ、「ねずみの嫁入り」をご紹介します。同じ対話が反復されるのが面白く、楽しいお話タイムになること間違いなしです。一周回って元のところに戻ってくる構成が何ともユーモラスですが、意外と考えさせられる部分も。

「ねずみの嫁入り」を子どもに聞かせよう!

「ねずみの嫁入り」は日本の昔ばなしのひとつ。絵本でもお馴染みですね。日本一美しいねずみの娘を持つねずみの両親が、娘にふさわしいお婿さん探しをするというストーリーです。物語が進むほどクスっと笑えてくるので、お子さんとぜひ読んでみてください。

「ねずみの嫁入り」のあらすじ

ねずみの嫁入り

「うちの娘は日本一!」ねずみの両親が婿探し

むかし、むかし、ある家のお倉の中で豊かに暮しているお金持ちのねずみがおりました。子どもがないので神さまにお願いすると、やっと女の子が生まれました。その子はやがて美しく成長し、ねずみの国で一番の娘になりました。

ねずみの両親は「うちの娘は日本一の娘なのだから、日本一のお婿さんをもらわなければならない」と考えました。しかし、もうねずみの仲間にはとても娘のお婿さんにするようなものはありません。

そこでこの世の中で誰が一番えらいかを考えると、それは世界中を照らしているお日さまの外にはありません。そこでお父さんは、お母さんと娘を連れて、お日さまのもとへ向かいました。

\ココがポイント/
✅子どものない裕福なねずみが神様にお願いして娘を授かった
✅美しく育った娘にふさわしい婿は誰かと考え、お父さんは「この世で一番えらい」お日さまのもとへ向かった

この世で一番えらいものは誰だ?

「お日さま、あなたは世の中で一番えらいお方です。どうぞわたくしの娘をお嫁にもらってください」とお父さんが言うと、お日さまは「それはありがたいが、世の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ」と返しました。

「まあ、あなたよりもえらい方があるのですか。それはどなたですか」
「それは雲さ。わたしがいくら空で照てっていようと思っても、雲が出てくるともうだめだからね」


そこでお父さんは雲のところへ出かけます。

「雲さん、あなたは世の中で一番えらいお方です。どうぞわたくしの娘をお嫁にもらってください」
「それはありがたいが、世の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ」
「まあ、あなたよりもえらい方があるのですか。それはどなたですか」
「それは風さ。風に吹きとばされてはわたしもかなわないよ」


そこでお父さんは、今度は風のところへ出かけます。

「風さん、あなたは世の中で一番えらいお方です。どうぞわたくしの娘をお嫁にもらってください」
「それはありがたいが、世の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ」
「まあ、あなたよりもえらい方があるのですか。それはどなたですか」
「それは、壁さ。壁ばかりはわたしも吹きとばすことはできないからね」

お父さんはそこでまた、のこのこ壁のところへ出かけていきました。

\ココがポイント/
✅お日さまは、自分よりも雲の方がえらいと答えた
✅雲は、自分よりも風の方がえらいと答えた
✅風は、自分よりも壁の方がえらいと答えた

最後にたどり着いた最良のお婿さんは…

「壁さん、壁さん、あなたは世の中で一番えらいお方です。どうぞうちの娘をお嫁にもらってください」
「それはありがたいが、世の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ」
「まあ、あなたよりもえらい方があるのですか。それはどなたですか」


お父さんが驚いて尋ねると、壁はこう答えます。

「それはだれでもない、そういうねずみさんさ。ねずみさんは平気でわたしの体を食い破って、穴をあけて通り抜ぬけていくじゃないか。だからわたしはどうしてもねずみさんにはかなわないよ」

お父さんは心から感心したように「なるほど」と手を打ちます。「今まで気がつかなかった。じゃあわたしどもが世の中で一番えらいのですね」とにこにこしながら、いばって帰っていきました。

そして帰るとさっそく、お隣のちゅう助ねずみを娘のお婿さんにしました。

若いお婿さんとお嫁さんは仲よく暮らして、両親を大事にしました。そしてたくさん子どもを生んで、お倉のねずみの一家はますます栄えました。

(おわり)

\ココがポイント/
✅壁は自分よりえらいのは、あなたたちねずみだと言う
✅自分たちが一番えらいと知った両親は、お隣に住むねずみの若者をお婿さんにした

子どもと「ねずみの嫁入り」を楽しむには?

日本一の娘にふさわしい婿はねずみの中にはいないと考え、一番えらい存在を求めて、訪ね歩いたねずみの両親。結局、一周回って同じねずみの若者に落ち着くという、ユーモラスなお話ですね。また、世の中で誰が一番えらいかを問うことはできないのだとも教えてくれます。

お子さんには、
・日本一えらいのは誰(何)だと思う?
・太陽、雲、風、壁の中ならどれが好き?
・人間以外で結婚してみたいものはある?

などと聞いて楽しむのもよさそうです。

まとめ

結局、巡り巡ってたどり着いたお婿さんは、お隣のちゅう助ねずみだったという、結末にクスリとさせられる「ねずみの嫁入り」。太陽や雲、風や壁は日本一美しいお嫁さんを貰いそこねてもったいないと思ったのかな?などと親子で想像してみるのも楽しいでしょう。

(文:千羽智美)

※画像はイメージです

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