- 掲載
- 2026年07月15日 08:01
- 更新
- 2026年07月15日 11:25
夏休み中の子どものスマホ・タブレット、どう制限すべき? Google・YouTubeの“中の人”が実践している「我が家のルール」
Googleは7月1日、Google渋谷オフィスにて「家庭でのデジタルセーフティに関する説明会」を開催しました。説明会では、家庭における子どものデジタル機器利用について考えるパネルディスカッションが行われました。
パネルディスカッションに登壇したのは、サイエンスアーティストの市岡元気さん、LM虎ノ門南法律事務所の弁護士・上沼紫野さん、YouTube Japan Head of MediaCo and Responsibility Partnershipsの早川ゆかりさん、Google DeepMind プリンシパル サイエンティスト・東京拠点リードの全炳河(ぜんへいが)さんの4名。モデレーターはGoogle コミュニケーションマネージャーの赤野景子さんが務めました。小学生から中高生まで、多くの子どもたちがスマホやタブレットを使う時代。親子でどのようなルールをつくればいいのでしょうか。
子どものデジタルツール、どんなルールにしてる?
最初のテーマは、各家庭で実践しているデジタルルールについて。
全国各地でサイエンスライブや実験教室を行い、登録者数110万人超のYouTubeチャンネル『GENKI LABO』が人気の市岡元気さん(以下、元気先生)は、現在中学2年生の双子姉妹と小学6年生の女の子を育てるパパ。子どもたちはYouTubeを夜中まで見ているそうで、「(上の子が)小学校のころ『学校で寝ちゃう』と言われたこともありました」と、子どものデジタルツールとの付き合い方に頭を悩ませているようです。
そのため、元気先生はこれまで親のスマホで設定できる利用時間の制限やWi-Fiの停止など、さまざまな対策を試してきたものの、子どもたちは次々に突破方法を発見。ときには、夜中におばあちゃんのスマホを勝手に使ってテザリングまでしていたんだとか! 現在は22時半にタイマー付きのロックボックスにスマホを入れる「物理ルール」で管理していることを明かしました。
全さんは中学1年生のお子さんがいて、小学6年生からスマホを与えていたとのこと。
基本的にはGoogleの「ファミリーリンク」を利用しながら、
①7時~20時まで利用してOKだが、トータル3時間しか使えない
②YouTubeとゲームはそれぞれ1時間ずつしか使えない
③検索は制約しない
という条件のもと管理しており、「限られた3時間をどう使うかは本人に任せている」と話しました。
小学1年生と幼稚園の子どもを育てる早川さんは、「YouTubeはリビングのテレビで見る」というルールを実践中。親が自然に視聴内容を把握できるだけでなく、検索する際も「音声検索」を使って声で検索させているので、「変なワードで検索したときに親が介入できるのがメリット」と語りました。
一方的な制限は逆効果? 専門家が語る子どもとデジタルツールとの向き合い方
続いての話題は、「親が一方的に制限することの難しさ」に移りました。
このテーマについて聞かれた元気先生は、「子どもの学校の友だちはみんな無制限に使っているようで、うちだけ時間などを制限することで、『うちの子、仲間外れにならないかな、いじめられないかな』と心配になることもあります。どこまで周囲の子どもたちと合わせるのかが難しいです」と親としての葛藤を口にしました。
青少年のネット利用環境整備に取り組む弁護士の上沼紫野さんは、自身が子どものころに「漫画」を禁止されていたものの親に隠れて見ていたという経験を紹介。「ダメと言われると、子どもはいろいろ工夫するんです」と語る一方で、「『親に見つからなければやってもいい』ではなく『なぜ制限が必要なのか』を子どもが理解し、納得することが重要」だと話します。
さらに印象的だったのが、「16歳になって突然SNSを使い始めるほうが怖い」という言葉。小さな失敗を経験しないまま、いきなり大人と同じようにSNSの世界へ飛び込むことは危険だといいます。それはまるで「泳ぎ方を知らないまま大海原に出るようなもの」だといい、デジタルリテラシーを身につけるうえで失敗から学ぶ経験も必要だと語りました。
元気先生も、「YouTubeは危険な面だけでなく、学びにつながる側面もある」とコメント。自身のチャンネルでは、ゲームやアニメをきっかけに科学に興味を持てるような動画づくりを心がけているといい、元気先生の動画をきっかけに「科学の道に進みたい」という声も届いていることを明かしました。
家庭のルールづくりのコツは「子どもを納得させること」
では、親子でルールを決めるとき、どんなことを意識すればいいのでしょうか。
早川さんは、お子さんが「タブレットを1日にどこで使うのか」について親子で話し合う宿題が出たというエピソードを紹介。利用時間や利用場所を子ども自身に決めてもらったところ、想像以上にしっかり守っていたそうで、「自分で納得したルールだから守れるんだなと思いました」と語りました。
また全さんは、子どもが新しいアプリをインストールしたいと言い出したら「親を説得すること」をルールにしていると説明。「大人になれば交渉する機会はたくさんあります。なぜ必要なのかを説明して、相手を納得させる経験も大切だと思います」と、交渉・提案スキルを身につける入口としてとらえていました。
夏休み前に考えたい、子どもの好奇心とデジタル活用
最後に、夏休みを目前に控え、家庭でできることについて聞かれると、全さんは「これからの時代にもっとも大切になるのは『好奇心』」だと話します。先述の元気先生のコメントにあったとおり、デジタルコンテンツは知識への入口になり、子どもの興味や関心を広げてくれる存在であるのは間違いありません。
その一方で、「YouTubeで自転車の乗り方をずっと見ていても、自転車には乗れません」とコメントし、知識だけでは不十分だとも指摘しました。本当に身につくのは、実際にやってみた経験があってこそ。全さんは「夏休みには、動画やAIで生まれた興味をリアルな体験につなげてほしい」とコメントしました。
また上沼さんは、子ども向けSNS相談の現場で感じていることとして、「『親に絶対言えない』という相談が本当に多い」と語ります。だからこそ、「トラブルが起きて困ったら親に相談していい、というメッセージを日頃から伝えてほしい」と保護者に呼びかけました。
スマホやSNSとの付き合い方に正解はありません。しかし今回のパネルディスカッションでは、制限か自由かという二択ではなく、親子で話し合いながら家庭に合ったルールを作り、好奇心と安全の両方を支えていくことが大切だという共通認識が示されていました。
(取材・文:マイナビ子育て編集部)
