家族にギャンブル問題を抱える人がいる割合は14.4%、その影響は「浪費、借金による経済的困難が生じた」が3割に
気晴らしに楽しむ程度なら生活に大きな影響を与えないギャンブルも、やめたくてもやめられないほどのめり込んでしまうと、さまざまな問題が生じてきます。そこで今回は、久里浜医療センターが実施した「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」をもとに、ギャンブルによって家族などが受ける影響について見て行きます。
■ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査
ギャンブル依存症は、法律上は「ギャンブル等依存症」と呼ばれ、「ギャンブル等にのめりこむことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」と定義されています(※)。
政府は法律に基づき、3年ごとにギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするために必要な調査を行っており、最新の令和2年度調査では、全国の18歳以上75歳未満の男女、17,955人を対象に実施されました。
今回はこの調査結果をもとに、家庭へのギャンブルの影響についてお伝えします。
※医療的に定義された疾病とは異なる。医療上の疾病としては、世界保健機関による「病的賭博」や米国精神医学会による「ギャンブル障害」がある。本調査では「ギャンブル等依存症」と医学的疾病概念である「病的賭博(ICD10)」、「ギャンブル障害(DSM-5)」を同義として扱うこととする。
なお、本調査における具体的なギャンブルの種類は、以下の通りです。
パチンコ、パチスロ、競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ(ロト・ナンバーズ等も含む)、サッカーくじ、証券の信用取引、先物取引市場への投資、FX、インターネットを使ったギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレースを除く)、海外のカジノ、その他のギャンブル
■家族などにギャンブル問題がある人は14.4%
「過去または現在、家族や重要な他者でギャンブルの問題がある(あった)人がいるか」を聞いた設問では、「ある(あった)」と回答した人は全体の14.4%でした。男女別では、男性が10.5%、女性が18.1%という結果で、女性の方が約8ポイント多くなっています。
具体的に誰かという点では、「父親」(6.1%)、次いで「配偶者」(3.4%)、「兄弟姉妹」(2.3%)と続きました。このうち「配偶者」に関しては男女差が大きく、男性が0.5%とわずかであるのに比べ、女性は6.1%と、その差は12倍以上となっています。
■家族などのギャンブルの影響、「経済的困難」「怒り」が3割
「家族や重要な他者でギャンブルの問題がある(あった)」と回答した人を対象に、さらに、「その人から何か影響を受けたか」を聞いた結果が以下のとおりです。
まず、最多回答は37.2%を占めた「あてはまるものがない」でした。男女別では男性が45.5%だったのに対し、女性は32.8%と、13ポイント近く開きが見られます。
受けた影響としては、「浪費、借金による経済的困難が生じた」(30.4%)、「ギャンブルをやめられない人に怒りを感じた」(30.0%)がほぼ同率となっていて、「借金の肩代わりをした」(17.3%)、「家庭不和・別居・離婚を経験した」(16.2%)が続きました。
これを男女で比べると、「浪費、借金による経済的困難が生じた」「ギャンブルをやめられない人に怒りを感じた」「家庭不和・別居・離婚を経験した」において、男性よりも女性が多くなっていることがわかります。
まとめ
■ギャンブル問題は家族にも及ぶ
今回は、家族や身近な人のギャンブルの問題について、調査結果を見てきました。とくに、家計を担うことの多い父親や夫などが問題を抱えてしまった場合には、子どもや妻に影響を及ぼす可能性が高いことがわかりました。
ギャンブル依存(ギャンブル障害)は、人生に大きな損害があるにもかかわらず、ギャンブルを続けたいという衝動が勝ってしまう状態です。脳内の機能異常が原因と考えられており、アルコール依存症や薬物依存症と似ている点が多いとされます。ギャンブル依存と診断されれば、医療機関の治療などを受けることができますが、お金が絡んだ問題は相談しにくいと感じる人もいるでしょう。
ギャンブルをする人は誰でも依存に陥る可能性があり、特に若い人や男性、ストレスへの対処が上手くない人などはリスクがあると指摘されています。多くの人は楽しみのためにギャンブルを行っていると思いますが、いったん依存状態になってしまうと、その影響は本人にとどまらないことがうかがえる結果でした。
(マイナビ子育て編集部)
・調査概要
■「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」報告書/久里浜医療センター
調査対象:日本全国日本国籍を有するの18歳以上75歳未満の男女
調査時期:令和2年10月22日~12月16日
有効回答数:8,223