子どもの事故の「ヒヤリ・ハット」事例、登園時やお迎え時も要注意!どのような状況で起きやすい?
子育てをしていると、事故になりかねなかった「ヒヤリ・ハット」の経験をしたことが誰しもあるのではないでしょうか。屋外や道路ばかりではありません。たとえば保育園や幼稚園の敷地内でも「ヒヤリ・ハット」の事例があります。どのような状況で起こったのでしょうか。
保育施設内で起こった「ヒヤリ・ハット」
内閣府では、「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業(国庫補助)」において、「教育・保育施設における事故に至らなかった事例の収集・共有等に関する調査研究」を実施しました。この調査研究では、ヒヤリ・ハット事例の効果的な収集と共有の方法について検討するとともに、「こどもの所在や行動を把握できなくなった事例」を中心に、認定こども園や幼稚園、保育所の各団体に依頼し、団体に加盟している認定こども園・幼稚園・保育所から事例を収集するなどし、ヒヤリ・ハット事例集を作成。
本記事ではこの事例集の中から、保護者もかかわる事例をいくつかご紹介します。
登園時に目を離したすきに行方不明に
<2歳8ヶ月の男児のケース>
朝の登園時でのこと。園の駐車場で保護者が車から2人の子どもを降ろすときに、2歳の男児を先に降ろし、0歳児をチャイルドシートから降ろしていました。そのさなか、2歳男児の姿が見えなくなってしまいました。たまたま搬入に来ていた業者が男児に気付いて保護してくれ、事なきを得ました。
駐車場は車の出入りが頻繁な場所だったため、非常に危険であり、事故になりかねない事例でした。子ども2人の世話をするときには、一方の子どもから目を離してしまうことが起きやすいといえますが、まさにそれを物語る事例といえます。
お迎えの時に目を離し、園内で行方不明に
<2歳6ヶ月女児のケース>
お迎えの時間に保育士が母親に女児を引き渡したあと、そのまま母親と保育士が会話をしていました。そして、いざ帰ろうとすると女児が見当たりませんでした。すぐに職員数名と保護者が手分けして敷地内を探したところ、裏手にある常設プールの脇で遊んでいる女児を見つけました。プールに続く扉(アコーディオンタイプ)は閉まっていましたが、その下を潜り抜けて入ったようでした。けがなどはありませんでした。
以前からお迎えの時に、女児が園庭で遊んでいるのを眺めながら母親と保護者が会話をすることがあったそうです。そのため、このときも「園庭で遊んでいるはず」という思い込みが母親と保育士にあり、しっかりと女児の行動を確認していなかったことが背景として考えられます。また、扉の下をくぐるという発想がなかったために発見も遅れてしまったようです。
お迎えの時に1人で門から外へ走り出た
<5歳9ヶ月男児のケース>
お迎えの時間に靴箱付近で園の職員が男児を保護者に引き渡しましたが、その場でその日の様子などについて保護者と職員が話している間に、男児が門から外へ走り出ていってしまいました。職員がすぐに走って連れ戻しに行き、大事には至りませんでしたが、ちょうど工事車両の出入りもあったうえ、お迎えの時間帯のため保護者の車も多く、事故になりかねない状況でした。
2つ目の事例と同様、お迎え時に保護者と職員が話している隙に起きたヒヤリハットです。大人同士で話をしていて子どもから目を離してしまわないよう、注意が必要といえます。
まとめ
保育園で実際にあったヒヤリハット事例の一部をご紹介しました。保育園の敷地内であっても、子どもを見失ったり、目を離したすきに飛び出してしまったりして事故につながる危険のあることがわかります。子どもの個性にもよりますが、この年齢はじっとしていられない子も少なくありません。園内であっても事故は起こりうるというのを肝に銘じておきたいですね。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
<資料概要>
内閣府 令和4年度子ども・子育て支援調査研究事業『教育・保育施設等におけるヒヤリ・ハット事例集』2023年3月