築浅マンションが絶対条件だった夫婦が急遽家を建てることに! 15坪の小さな土地を購入した理由とは?|小さな家、建てました#1
人生最大の買物とも言われるマイホーム購入! 大きな買物だからこそ、絶対に後悔したくないはず。しかし、何からどう始めたら良いかわからない! そんな方は多いのでは?
整理収納アドバイザーの資格を持つ竹村真奈さんががあえて選んだ小さな家と小さな暮らし。現実と理想をすり合わせながら暮らしやすい家ができるまでの過程をまとめた『小さな家、建てました』(翔泳社)より一部抜粋して、連載(全3回)でお届けします。
第1回の本記事では竹村さんが、家を買うと決めてから土地購入までのエピソードをご紹介。
築浅マンション購入が絶対条件だったはずの夫婦が、15坪の小さな土地を購入した理由とは……?
家づくりは自問自答から
家を買う、人生で一番大きな買い物。家族にとって、私にとって、とてもとても楽しくて勇気のいること。これからの人生が大きく変わるターニングポイント。
これまでの賃貸物件探しとはまるで違う感覚で“家を買う”という現実味のなさに戸惑うばかり。どこから手をつければいいのだろう。まずは、あらゆる不動産のアプリを登録して、物件情報を夜な夜な見る日々。思い知ったのは理想とする家はひとケタ違う……東京をナメていました。
夫と私の絶対条件は景色のいい築浅マンション。耐震性がしっかりしていて、機能性に優れた物件ならなんでもいいよね。少しくらい都心から離れてもいい。住めば都ってみんな言うしね。戸建ては手入れが大変そうだから心配だよね。築浅希望だからリノベ物件は考えなくていいね。
そんな私たちが景色のいい築浅マンションでもなく、都心から少し離れた中古戸建てでもなく、建売住宅でもない、更地からの注文住宅を建てることになるなんて。人生何が起こるかわからないものです。何が「絶対条件」だ。
現実を突き付けられた私は正気を取り戻し、まずは家を買うことに対する不安要素をひとつずつ潰していきました。まず、よく耳にする「持ち家vs賃貸論争」についていろいろ調べましたが……これだ!という答えにはいたらず。ただ、買おうが買うまいがとにかく貯金しろ! ということだけは頭に入っております。夫婦共にフリーで仕事をしているので退職金もとくにないし、いざというときのために持ち家があったら安心ということ(家さえあれば生きていけるだろうという浅い考え)で意見一致。
万が一、住宅ローンが払えない日がくるとしたら、そのときは賃貸家賃も払えないということ。そのときは売るしかない非常事態。ローンを組むなら早いほうがいいし、年齢的にもギリギリだから買うなら今がベスト。
マンションと戸建てはどっちがいいだろう? 田舎の戸建て育ちだから戸建てのよさはよく知ってるけど、マンションは管理もしてもらえるし便利そうだなぁ。東京は土地が高いから戸建てだと細長い3階建てになるのかなぁ。おじいちゃんおばあちゃんになったとき元気に階段の上り下りできるかなぁ。いやいや、元気に階段を上り下りできる健康的な暮らしをすればいいだけ。どうせ何が起こるかわからないなら、あるかないかもわからない何十年も先のことを想像して今できることを諦めるのはもったいない。ちなみに、都会で夢の平家は金銭的にありえないので論外。
15坪の小さな土地との出会い
土地は出会い。出てくるものです。海の近くでもなく、今住んでる家付近よりは安くて、都心に程近いのに少しのんびりとした空気が流れる、子育てにもよさそうな土地。
そもそもマンションに絞って物件を探していたのに、やたら土地を勧めてくる不動産屋に不信感いっぱいだったのですがあまりにしつこいもんだから一度だけ流れに身を任せてみようと、言われるがまま見に行ったのが、15坪の小さな土地でした。坪数で言われてもピンと来ず、ふ〜んくらいの感じでした。そこにはまだ家が建っており、おばあさんが一人で暮らしていました。外から見ても広くはないけど、超絶激狭という感じはありませんでした。以前は家族で暮らしていたそうですが、これからは息子さんの家に住むことになり長年住んだ家を手放すことにしたんだそう。家の中にはもちろん入れずでしたが、外から凝視する私。近隣の家の外観や植物の手入れの様子からどんな方が住んでいるのかなと想像したり(三輪車があれば小さな子どもがいるなど)、道路環境(ゴミが散らかっていたりしないか)を見たり、あらゆる角度から写真を撮って入念にチェック。
立地よし! 角地! 日当たりよし! 隣接した南側の土地は近くに建つマンションの裏口にあるほぼ使われていない駐輪場! 小学校の雰囲気もよし! 事故物件なし(これ重要)!
このときは夕方でしたが、明るい大通りから大股10歩のところなので、夜中歩いても怖くない明るさ! しかも家が建つ場所は私道なので誰でもかれでも入って来られない通り。コンビニも近い(愛しのセブンイレブンではないけど)! くすみピンクとくすみブルーの建物が近くにあるのもかわいいじゃないか、と。
暮らしやすい家のサイズを知る
テンションが上がりまくった私は、(土地を見るだけの予定だったので)家で留守番をしていた夫と娘を意気揚々と呼び出し、土地を見てもらうことに。駆けつけた夫と娘も「いいじゃんいいじゃん」と気に入って、即決して契約へ。私より判断が早い夫にはびっくり。初めて見たひとつ目の土地で、その日のうちに契約するということにみなさん引いているかもしれません。アホだと思っていると思います。アホかもしれません。でも出会いってそういうものなんだと思います。直感も大事だと思います。しかも、占いで言われた方角内にすっぽり(ギリギリかも)収まり、1年早すぎると思っていた理想の時期にまんまと土地契約できました。入居は1年後ですが、土地契約したんだからこれはもう引っ越したも同然!という自己暗示をかけました。
この日、全集中力を使い果たしていたのですでにヘトヘトでしたがその足で不動産屋に戻り、仮契約。翌日は日曜でしたが「手付金の支払いをしてください」と、ものすごい急ピッチで進めてくる感じに不動産屋へのさらなる不信感を募らせつつ、でも気持ちは夢のマイホームに。月曜には本契約。それなりに有名な不動産屋でしたが、次々と担当が変わるので顔と名前も覚えられない状態。今となってはどうでもいいけど、不安感を与えたりやたら急かしてくる不動産屋にはやっぱり気を付けて、とみなさまにはお伝えしたいです。
このとき私たちはすでに引き返せない状況でしたがそこから私の鬼リサーチが始まりました。「小さい家」「狭い土地」「15坪家」など、いろんなワードを組み合わせて出てくるのはどれもこれも「狭小住宅」の文字。姫路と高知に住む両家の両親に伝えると反応は15坪でその価格⁉」「やってもうたな〜」でした。地元の相場感で言えば、この反応は当然と言えるでしょう。でもそれが東京の土地相場の現実なのです。わかっちゃいるけど、両親たちからの反応にはやっぱり少し胸が痛み、とんでもない失敗をしてしまったような不安な気持ちに襲われました。「やっぱり狭すぎるのかな」「高すぎるのかな」「騙されたのかな」「人生終わったかも」……とさえ思いました。この時期、いろんな情報に翻弄され過ぎて、感情が揺れ動きやすくなっていたと思います。
同時にリサーチを続けていると、狭くてもこんなステキな暮らしをしている人がいるんだとわかり少しずつ私たち夫婦の目に輝きが戻り始めました。私たちにとって理想の暮らしは「大きくて立派な家」ではない。自分たちが暮らしやすいサイズの“好き”が詰まった家だったのです。
著:竹村 真奈『家事がラクになる 小さな家、建てました 土地選び、断捨離、間取り。施主だからわかる、家づくりのポイント』(翔泳社)より一部抜粋・再編集/マイナビ子育て編集部