マイホームの強盗・泥棒対策はどんなものがある? お金をかけるならば、高い塀よりも…!? 住まい大全#3
家族が快適に住まう家。学校や会社から帰ってきたら、暖かく安心できる我が家が迎えてくれて……と思っていたら、空き巣が侵入した形跡が!! そんな事態にならないためにも、防犯対策は重要です。一方で、私たちが良かれと思っていることの中には、逆に侵入者を入りやすくしてしまうものもあるようです。
建築歴23年。人気YouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」の配信者で、10年間で100軒以上の住宅を解体・修繕し、住宅の性能の特徴を理解しつくしている平松明展さん。今回は「家の防犯対策」について、平松さんの解説を著書『住まい大全』よりお届けします。
家と家族を守る防犯対策
ライフプランに基づいて完成させた家。人生は予測がつかないもので、思わぬ被害や損害を受けることも。そのひとつが盗難や強盗被害です。ここでは家をつくる際に取り入れられる防犯対策について解説します。
費用を極力かけずに防犯設備をつける
命はお金には代えられません。また、不安の中で生活するより、安心して暮らせるほうがいいに決まっています。それでも防犯設備にかける費用が極端に高くなるようなことは避けたいという思いもあるでしょう。考え方次第ですが、ほかの設備の無駄を省くことで費用を確保し、また適切な選択によって投資効果の高い防犯設備をつけることができます。
泥棒や強盗が入ってくる場所は、玄関、窓、勝手口。玄関は錠を2箇所つけ、ピッキングしにくい鍵にするのが第一。窓はないほうがよいのですが、日射による熱と光の取り入れを考えるとゼロにはできません。ただ、無駄な窓はあると思います。これを見直して窓数を減らせれば費用削減につながります。入りにくい大きさにするのも一手でしょう。
勝手口は防犯の観点からはないほうがよいです。ただこちらも生活動線のことがあるので、「つけるな」とはいえません。
では防犯対策です。格子を設置する。これは窓にも勝手口にも有効な手段。格子をつけにくい窓にはシャッターか防犯フィルムを設置する選択があります。前者は自動で開閉できるものもありますが、常に開閉をしなければならないというのが難点。後者は設置するだけで防犯の効力を得られますが、初期費用が上がります。また日射の取得量が落ちるのでパッシブデザインには取り入れにくいといえます。
狙われにくい家にすることも重要です。高い塀があれば入りにくいと思う人もいますが、そこを乗り越えたら周囲から犯行が見えなくなります。塀は低いほうがよく、プライバシーとの兼ね合いもありますが、周囲から異変がわかるようにしておくとよいでしょう。塀を低くすれば費用削減にもなります。その分を窓の防犯に当てるという考え方もできるでしょう。
異変に気づく点としては、防犯砂利というものが有効です。この上を歩くとジャリジャリと大きな音が出ます。それで住人は人の侵入に気づくことができ、避難したり、通報したりする時間をつくれます。この音は犯罪者にとってリスクです。周囲に気づかれることもありますから。
同じ観点でいうと、自動センサーの照明は有効です。侵入者を照らすことになります。また防犯に限らず、住人が夜に家を出入りする際に自動で照明がつくのは便利ですよね。設置費用がかかったとしても生活の利便性を得られていることになります。
防犯カメラはつけたほうがよいでしょう。それがあるだけで抑止力になります。玄関のインターフォンとセットになったものもあります。
またWi‒Fi対応の防犯カメラもあり、録画データをパソコンやスマホに保存できます。需要の高まりもあって手に入れやすい価格帯のものが増えているので、今住んでいる家にもつけていただきたいですね。
家の中でも対策できることがあります。寝室のドアを内開きにしておくこと。初期費用は同じです。これまで解説した対策をしていれば、寝室に逃げるだけの時間をつくれるでしょう。内開きのドアであればつっかえ棒や家具でバリケードをつくることもでき、そうこうしているうちに警察が駆けつけてくれるわけです。
このように通常設置しているものを防犯対策の仕様にすることもできます。ほかの無駄なものを省いて防犯設備費用を確保する手段もあります。ただトータルコストで比較するものではないと思います。
防犯設備の充実が安心安全な暮らしにつながるのであれば、高性能住宅の追求と同じように捉えることができるのではないでしょうか。
『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(著:平松 明展)より一部抜粋・再編集
本書では上記以外にも「災害時にも役立つ太陽光発電」や「合理的な家と無駄のある家の違い」などについても解説されています。続きは書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』でお楽しみください。