老いに逆らう? 共に生きる? 「不幸ジワ」と「幸せな横ジワ」の違い|美しい表情#3
年齢を重ねると、自分に起こる変化に戸惑うことがあります。しかし、そんな加齢を魅力に変える方法があるというのです。
世界的フォトグラファーであるジョー・モリヤマさんは、世界中の著名人を含め2万人以上のポートレートを撮影してきました。そんな彼が説く“表情と魅力の方程式”について、著書『美しい表情は人生を変える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)よりお届けします。
今回のテーマは「年齢を魅力に変える」。老いに逆らって生きるのか、共に生きるのか――
年齢を自分の魅力に変える力
老いに逆らって生きるのか、共に生きるのか?
答えは、今すぐに出ますよね。
だって、老いに逆らうことはできませんから。
だから、すべての人にとってのテーマは、
「逆らうことのできない老いを、どうやって自分の魅力に変えるのか」
になります。一生、魅力的に生きる自分をつくり上げるためには、老化していく自分を念頭に置いたトレーニングを考えなくてはならないのです。
例えばシワは年齢を感じさせるものではありますが、言い換えるなら人生の年輪です。だから、「どんな表情で日々過ごしているのか」で、シワのつき方が変わっていきます。
小さなことにいつも感謝したり、他人に幸せを提供できる人は、笑顔の数が増え、「幸せな横ジワ」(目尻のシワなど)が刻まれることでしょう。
一人で家にいる時間は、気が抜けると同時に自分にベクトルが向くので、特に自分に対して厳しい人や自己評価の低い人は、眉間にシワを寄せ、口角を下げ、険しい顔をしてしまいがち。そうすると一気に「不幸ジワ」が増えます。だからとにかく顔に余計な力を入れないこと。それが最も効果的な「不幸ジワ」対策になります。
また、人は老化とともに筋力が衰えていき、口角が下がっていきます。顔の筋肉が地球の重力にさらされている以上、下へ下へとたれていくのは自然の摂理と言えるでしょう。
筋肉の硬直によって張りが減少していくのも原因の一つになっています。だから、口角は常に2ミリ上げることを意識してください。繰り返しになりますが、2ミリというのは、最大限の効果をもたらす絶妙な加減なのです。その小さな努力の積み重ねによって、老化を美しく表現することができます。
僕はいつも、年齢を重ねることによる女性の変化をさまざまな花にたとえています。
<20代は薔薇>
華やかで、弾けるツヤ感、時にトゲトゲしく、トレンドを追いかけ、女性とは何かを知る期間
<30代は桜>
社会でほかの女性と自分とを比べながら、他人と同調する能力を鍛え、他人の良いところを吸収していく期間
<40代は百合>
自分らしい生き方が見えてきて、棘はなくなっても、存在感を放つことができる期間
<50代は金木犀>
雰囲気で漂わせる、いるだけで優しい気持ちにさせる最強の女になる期間
どの年代にもそれぞれの素晴らしさがあります。その良さを受け入れられれば、自然と年齢を美しく表現できるはずです。
いつまでも薔薇のままでいようとしても、本当の若さには負けてしまいますし、無理をしてボロが出てしまっては、美しさを保つことさえ困難です。若さにしがみついて若い子に対抗するように自分を着飾ることほど悲しいものもありません。
だから、新しい花に変貌を遂げることをもっと楽しみましょう。次の世代に移る日は、新しい花に変わる日です。そんな記念すべき日が10年に一度訪れるのは、ワクワクすることではないでしょうか?
そんなふうに生まれ変わることを楽しみながら、その年齢に見合った花になることが美しい老い方です。ただ精神的な活動に関しては、年齢の足かせを外す「生き方」を実践すると、いろんな体験を楽しむことができます。
年齢以上に老けて見える表情に注意
年齢を重ねるごとに、そこには新しい魅力があるとお伝えしました。しかし中には、実年齢以上に老けて見えてしまう、残念な表情が癖になってしまっている人もいます。笑うときに顔中にシワがたくさん浮かぶのは、悪いことではありません。それは周囲を明るくする「幸せジワ」です。問題なのは、ネガティブな表情から生まれてしまう縦方向のシワです。
・口をすぼめる
不満気な表情を浮かべるときに、ついつい口をすぼめてしまう人がいます。そうすると、普段の表情から口元に縦ジワがクッキリと刻まれてしまいます。よくマンガで見るような、梅干しみたいな口元になってしまうのは、残念ですよね。口元に力を入れるのは、口角を上向きにするときだけ! と心がけましょう。
・鼻の下を伸ばす
考え事をしているときに、「ん〜どうかな〜?」と、鼻の下(人中)を伸ばす癖のある人がいます。それを繰り返していると、面長が強調されたり、マリオネットラインが深くなったりします。美容整形では、人中を短くする施術もあるように、人中は長く見せない方が若々しく見えるようです。やっているな、と気づいたときは基本顔にリセットしてください。
・眉間にシワが寄っている
イライラしたときや、困ったときに眉間にシワを寄せてばかりいると、眉間にくっきりとシワが残ってしまいます。「ん? この人、何言ってるんだろ?」と思ったときに眉間に力が入る人もよく見かけます。そういう人は、他人の言動にあまり神経質にならずに、おおらかに受け止めるように心がけるといいでしょう。
そしてもちろん、忘れてはいけないのは口角が下がらないようにすること。この本では繰り返しお伝えしていますが、年齢を重ねれば重ねるほど口角はどんどん下がってしまいます。ここだけは年齢に逆らって、しっかり持ち上げていきましょう。
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島田順子さん、榮倉奈々さんも推薦! 写真の中の自分も、リアルな自分も好きになれる、これまで知らなかった自分の新しい表情が見つかる一冊です。