
字が汚い子に悩む保護者必見! 読めない字を注意する際に心がけるべき3つのこと
うちの子、字が汚くて……と気にされている保護者さんは多いようです。でも「きれいに書きなさい!」と注意しすぎて、書くこと、勉強することそのものを嫌いにさせてしまっては逆効果。プロ家庭教師・みみずく先生が「字が汚い」を気にするべきか、気にしないべきかの判断基準と、改善を目指す場合の声かけのヒントを教えてくれました。
「字が汚い」とは、どういう状態をいうの?

そもそも「字が汚い」とは、どういう状態をいうのでしょうか?
ここでは、子ども本人の努力や意識次第で改善できる「字の汚さ」のうち、とくに保護者が意識して声かけをしてくべきもの、逆に声をかけないほうがいいものについてご説明します。
判読不能の字は改善したほうがいい
判読不能の字は、たしかに「汚い」というべきでしょう。
数字であれば、「2」と「3」、「0」と「6」のそれぞれが区別できない字を書く子どもがいます。
さらにひどいケースだと、「1」なのか「7」なのかわからない数字を書く子どもも……。
ひらがなやカタカナだと、「れ」と「わ」や「シ」と「ツ」などが判読不能になりがちです。
また、行書体や草書体のような漢字は、一般の人たちにとって、読みづらく感じられます。
このような字の汚さは、テストでは計算ミスや誤読の原因にもなるので、改善することが望ましいです。
バランスが悪いだけの字は気にしない
判読不能ではないけれども、字のバランスが崩れているために「汚い」と感じられることがあります。
字を構成する上下や左右のパーツの大きさが不適切なケースと、いくつかの文字が並んだときのバランスが悪いケースがあります。


これらの字も「汚い」といえばそうなのですが、計算ミスなどの原因とはならないので、保護者は気にしなくていいでしょう。
保護者が注意して子どもが反発するという険悪な雰囲気になることを考えれば、むしろ放置しておいた方が賢明です。
ただし、「未」と「末」、「力」と「刀」などのように、線の長さが違うと別の意味になる漢字は、バランスまで考えて書く必要があります。
「字が汚い」を改善する場合はどうすればいいの?
判読不能の字を書く子どもに「字をきれいに書きなさい」と注意しても効果はありません。
抽象的なことを言われても、子どもは何をどうすればいいのかがわからないからです。
注意する場合は、次の3つのことを穏やかな口調で伝えるのがポイントです。
[1]短くわかりやすく具体的な書き方を教えよう
注意のポイントは、具体的な書き方を教えることです。
たとえば、「2」と「3」の書き方については、「『2』は、曲がり角の後は横にまっすぐ。『3』は、曲がり角の後は丸く」などと説明します。
また、「『未』は下の横棒が長くて、『末』は上の横棒が長い」「『力』は上が出て、『刀』は出ない」など、短くわかりやすく説明するのがコツです。
子どもは意外と細かい違いを知りませんし、気づきません。
そのため、違いを意識するようになっただけで、判読不能な字を書かなくなることがあります。
[2]「自分でも読めない字を書いている」と自覚させよう
判読不能な字を書く子どもはめんどくさがり屋であることが多いです。
「自分では読める字を書いているのに、それをどうして直さなきゃならないの? めんどくさい」という気持ちがあります。
こういう子どもには、「本当に自分では読めているの?」をチェックさせます。
効果的なのは、算数での間違い探しです。
模試などの問題用紙に残っている途中式などを子どもにひとつひとつチェックさせて、「どうして間違ったのか?」という理由を明らかにさせます。
判読不能な字を書く子どもの多くは、字の読み間違いで1、2問失点しています。
このことに子どもが気づけば、「自分でも読めない字を書いている」という自覚が芽生えて、字をていねいに書くよう意識しやすくなります。
[3]「字は、他人に見てもらうために書くものだ」と意識させよう
筆者は「字は、他人に見てもらうために書くものだよ」と生徒によく言っています。
子どもたちの中にある「自分が読めればいい」という考えが、そもそもまちがいだと伝えるためです。
提出しないノートや問題用紙などの字についても、「数分後の自分は他人だから、その他人のために字を書いて」と言います。
人間は“忘れやすい”生き物です。
数分前のことを思い出せないのは日常茶飯事。
だからこそ、数分後の自分を他人であると想定して、その他人のために、読んで理解できるメモを残すことが大切だと子どもに伝えます。
家庭教師として受験指導を行う場合は、とくに「他人に読める字を書く」必要性を繰り返し教えていきます。
勉強の中で他人を意識することは、受験を勝ち抜くためにも重要だからです。
読める字を書く練習は、志望校合格への最も効果的なトレーニングともいえるのではないでしょうか。
判読不能な字だけをターゲットにして改善を目指そう
書写の授業のように、あれもこれもと子どもに要求すると、子どもが字を書くこと自体を嫌がるようになります。
そのため、子どもの「字が汚い」を改善したければ、まずは判読不能な字だけをターゲットにして、それを「読める」字にしてしまうのがいいでしょう。
なお、なかには文字の読み書きに困難を伴う学習障害(ディスレクシア)が、字がうまく書けない理由となっているようなケースもあります。こうした場合、保護者の声かけや本人の意識だけで改善することは難しく、専門家に相談することをおすすめします。
✅参考記事(外部記事):国立成育医療研究センター:「ディスレクシア」
