世にはびこる「オレサマ」から身を守るために「やってはいけないこと」は? 精神科医・和田秀樹先生が解説|オレサマのトリセツ #1
職場や家族、ママ友……それぞれの付き合いでさまざまな人がいるので人間関係で悩むことも多いですよね。なかでも、自分にだけ威圧的な態度をとってくる人には、「なぜ私ばかり……」と辛く感じてしまうこともあるでしょう。
「オレサマ」=特定の相手や周囲に対して、つねに威圧的で優越的な態度を取る人たち。
職場や家、街中にも……世間に増殖している「オレサマ」に振り回されないためにはどうしたらよいのでしょうか?精神科医・和田秀樹先生の著書『オレサマのトリセツ』(東京新聞)より一部抜粋してご紹介します。
今回は、特定の人間にだけ威圧的な態度をとる「オレサマ」について、和田先生の解説をお届けします。
オレサマ相手に本気になってはいけません
あなたの身近な人で、ことあるごとに威圧的に向き合ってくる人も、オレサマの一人と考えてください。周囲や世間にはどんなに愛想よく振る舞っても、あなたや特定の人間にだけは横柄で攻撃的な態度を取ります。
「なぜ私にばかり」と思うと、自分が悪いのか、何か気に障ることでも口にしたのかと悩んでしまいますが、それこそオレサマの思う壺です。オレサマの目的はあなたに勝つこと、あなたを凹ませることですから、落ち込んでいる様子を見せればますます調子に乗ってあなたを責めてきます。
では腹を決めて戦えばどうなるでしょうか?
バーンと強く出てオレサマを叩けばどうなるでしょうか?
これはやめたほうがいいです。理由は二つあります。
一つはあなたまで相手と同じレベルになり下がってしまいます。子どものケンカと変らないのです。勝たなきゃ気が済まないオレサマはあなたをつぶすためにどんな手を使ってくるかわかりません。SNSの時代ですから、あることないこと言いふらす可能性だってあります。
もう一つの理由は、あなたの代わりに別の誰かが犠牲になります。身近な人間にとにかく勝ちたい、勝たなければ気が済まない性格ですから、あなたがダメとなったら別の誰かをターゲットにします。本書の中でも説明していきますが、オレサマには自分より弱い人間を見つけだしてその人を叩かなければ気が済まないところがあるのです。そうすることでしか、自分の劣等感から抜け出せないということです。
だからオレサマ相手に本気になってはいけません。
オレサマはいつも身近な人間、しかも自分が勝てそうな人間を求めているのですから、わざわざ真正面から向き合う必要はないのです。そのあたりの距離感や構え方についても考えてみましょう。
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※本記事は、『オレサマのトリセツ』著:和田秀樹/東京新聞 より抜粋・再編集して作成しました。