【魔の7才】小1の交通事故は、小6の約2.5倍という事実。子どもの安全を守るために、親ができることとは?
7才は小学校に上がり、登下校や友だちとの外遊びなど、ひとりで行動する機会が一気に増える時期です。政府広報オンラインが2026年3月に公開した記事によると、小学校1年生の歩行中の死者・重傷者数は、小学校6年生の約2.5倍にのぼるとされています。
7才の子どもは、大人に比べて目線が低く、まだ十分な注意力が育まれていないため、ほかの年齢に比べてもっとも交通事故のリスクが高まる時期でもあるのです。
大切なわが子を守るために、親はどのようにして子どもに交通ルールを伝えればよいのでしょうか。こくみん共済 coop のSDGs・ブランド戦略部で「7才の交通安全プロジェクト」に取り組む比企野淳史(ひきのあつし)さんにお話をうかがいました。
「7才」が事故に遭いやすい理由とは?
――子どもの交通事故において「7才」のリスクが高いのはなぜでしょうか。
比企野さん(以下:比企野) 7才前後、つまり小学校に上がる時期の子どもは、新しい環境に身を置くことで友だちが増え、行動範囲が広がります。その一方で、子どもは大人に比べて目線が低く、見える範囲が限られています。車や障害物に視界を遮られやすく、危険を察知しにくいという特徴がありますね。
また、注意力がまだ十分に育っていないことや、複数のことを同時に考えることが苦手で、「早く公園に行きたい」といった目的に意識が傾き、安全確認がおろそかになるケースも。年齢が上がるにつれてこうした特性は徐々に改善されていきますが、入学直後の春先は、登下校や外遊びなど、初めて親元を離れて子どもだけで行動する機会が増えるため、特に注意が必要です。
――小学校1年生の歩行中の死者・重傷者数は、小学校6年生の約2.5倍にものぼるとか。
比企野 令和3年から7年までの間で、小学生の死者・重傷者数は1,842人にのぼり、学年別では7才にあたる1〜2年生が突出して多くなっています。この社会問題に着目し「未来ある子どもたちを交通事故から守りたい」という思いから、2019年3月に生まれたのが「7才の交通安全プロジェクト」です。
「危ないからダメ」では子どもに伝わらない
――小学校入学までに親子でやっておきたい交通対策を教えてください。
比企野 一方的にルールを押しつけるのではなく、子ども自身が交通ルールや危険性を理解し、納得することで、初めて行動に結びつくようになります。「どうしたら安全か」を一緒に共有することが大切ですね。
大人がまず危ない道を把握し、入学前の時期に、お子さんと実際に通学路を歩いて「登校練習」を行うことが、事故を減らすきっかけになるはずです。
たとえば、危険な場所に立ったときに「ここは車が多いけど、どう思う?」と問いかけてみる。あるいは「どこを通ったら安全かな?」と子どもに考えさせる。こうしたやりとりを少しずつ積み重ねることで、子どもは自分で判断する力を身につけていきます。
――なじみの道で一緒に危険なポイントを知るということですね。
比企野 まずはそこが第一歩です。可能であれば、晴れの日だけでなく、雨の日にも一緒に歩いて、天気による視界の違いを体感させてあげられるといいですね。雨の日は視界が悪くなるため、反射材を身につけるなど、周囲から見えやすくする工夫も大切です。
また、入学後は行動範囲がどんどん広がっていきます。公園へ行くなら「その道に危険はないか」など、成長に合わせて定期的に親子で安全性を確認したいですね。
――子どもに危険認識を持たせるのは難しい印象ですが、何歳くらいから交通ルールを教え始めたらいいのでしょうか。
比企野 早いうちに越したことはありません。 親御さんの目が届かないときでも、「危ないから手を挙げて渡ろう」「ここで一旦止まろう」という知識が習慣づいていれば、事故を減らすことにつながります。
手を挙げて「渡ります」という意思表示をしていれば、周囲のドライバーも気づいてくれますよね。まずは手を挙げるという習慣を身につけるだけでも、素晴らしいことだと思います。
そのうえで、小学校入学は環境が大きく変わるポイントなので、ひとつのきっかけになると思います。 幼稚園児までは親の送り迎えやバスがあり、大人の目がありましたが、1年生になると登下校や友だちとの遊びを自分たちだけで行わなければなりません。
――逆に、避けたほうがいい教え方はありますか。
比企野 大人の目線だけで安全を判断してしまうことです。大人には見えていても、子どもの低い目線では見えていなかったり、標識の意味を十分に理解できていなかったりすることがあります。そのため、しゃがんで子どもと同じ目線で状況を確認してみることが大切です。
標識にはどのような意味があるのかといった背景まで丁寧に説明することで、より理解が深まります。当会が公開している「私のまちの7才の交通安全ハザードマップ」も活用して、まずは身近な危険を知ることから始めてみてほしいですね。
さらに「ルールを守りなさい」と子どもを叱るだけでは、十分には伝わりません。当会が全国の小学生を対象に行った、クイズ形式を取り入れた「交通安全オンライン授業」では、全国75校、7,104名の児童が参加し、教員からも「子どもたちが楽しみながら学んでいた」という声が寄せられています。
大切なのは、子どもが理解しやすい形で、楽しく学べる工夫を取り入れることです。
交通ルールを“自分ごと”にするには?
――子どもが危険を「理解したつもり」になってしまうこともありますよね。
比企野 はい。自宅で言葉だけで「あそこは危ないよ」と言っても、子どもはわかったつもりになってしまいます。 実際の環境は異なりますから、可能であればその場所へ行き、「ここは車が多いね」「近道しようとせず、あそこの横断歩道を渡ろうね」と、実際の現場とイメージを結びつけることが重要です。
――交通ルールを「自分ごと」として子どもに理解させるにはどうすればいいですか。
比企野 子どもの生活と結びつけて考えさせることです。「ここは危ないから気をつけてね」と伝えるだけでなく、「もしここで車が来たらどうなるかな?」と問いかけることで、自分ごととして考えるきっかけになります。
怪我の恐ろしさや事故の重大性をどこまで伝えるかは難しいところではありますが、日常生活の「痛い」「怪我をした」という経験と結びつけて、「あんなふうになったら嫌だよね」「走れなくなったら悲しいよね」と、理解できるように説明するといいと思います。
――交通事故をなくすためにはどうしたらいいと思いますか。
比企野 「地域社会の見守りの目」「子ども自身が学ぶ教育」「ドライバーの安全運転」の3つの視点が重要だと考えています。
「7才の交通安全プロジェクト」の活動における「地域社会の見守りの目」としては、2020年6月から全国の小学校や児童館に横断旗を届ける活動を続けています。これは当会の自動車共済「マイカー共済」のお見積もり1件につき、横断旗1本を寄贈する取り組みで、これまでに194万本以上を届けてきました。
そうしたなかで、横断旗を各家庭に行き渡る形で活用していただけるようになったことや、「生地がしっかりしていて両面プリントなので長く使える」といった声をいただくと、この取り組みが交通安全に役立っていると実感します。
――最後に、保護者へのメッセージをお願いします。
比企野 「7才の交通安全プロジェクト」の取り組みとして、2025年より、4月4日を「こども見守り活動の日」に制定しました。今後もこの日を起点に見守り活動の大切さを発信し、社会全体で子どもたちを見守る文化を定着させていきたいと考えています。
家庭から交通安全を意識し、地域・教育・ドライバーが連携して事故のない社会を目指していけたらと思います。
7才の交通安全プロジェクト特設サイトでは、「交通安全デジタル絵本」「交通安全マップ」「安全運転診断」など、親子で学べる多彩なコンテンツを用意しています。
https://www.zenrosai.coop/anshin/7pj/
(取材・文:宮本貴世、撮影:マイナビ子育て編集部)
